2013.03.04
「サイコロをたくさん振る」ということ~なぜオオゼキはNPS(ネットプロモータースコア)が50を超えているのか
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こんにちは、勝間和代です。
最近、うちの近所のスーパーチェーンの「オオゼキ」がすごい、ということをメルマガなどでたくさん書いたら、友人がオオゼキの代表取締役、八十川さんを紹介してくださいました。
そこで、会食する機会があったのですが、オオゼキのすごいところは
「NPS」= Net Promoter Score
と呼ばれる、
「あなたは自分の知り合いに、そのお店や商品・サービスを勧めるか」
というベインというコンサルティング会社が開発した顧客満足度の指標があるのですが、ベインの世界中の小売りの調査の中で、唯一、50%を超えている企業だそうです(52%の顧客が、ぜひ、オオゼキを友人に勧めたいと評価しています)。
私もこのNPSは好きで、よく自分でも意識していますので、もしNPSについてより詳しく知りたい場合は、下記の書籍を参考にしてください。
顧客ロイヤルティを知る「究極の質問」 (HARVARD BUSINESS SCHOOL PRESS) [単行本]
フレッド・ライクヘルド (著), 鈴木 泰雄 (著), 堀 新太郎 (著)
そして、なぜオオゼキだけが、世界中の小売りの中でNPSについて50を超えているのかという理由について、八十川さんの話しから分かったところ、その仕組みはここに書き切れないくらいたくさんあるのですが、特になるほどと思ったのが、とにかく
「うちはお客さんの一番近くにいるお店の従業員が、サイコロをどんどん振って、当たり目が出るまで現場で試せる仕組みになっている」(=一人一人の社員が、数多くの試行錯誤を自分の判断で繰り返すことができる仕組み)
ということでした。
まず、オオゼキ、マニュアルがありません。そして、レジや仕入れ、ほとんどが正社員です。そして、正社員の使命は
「(顧客満足度を上げて、)今日来たお客さんが、また明日も来てもらえるようにすること」
です。
なので、小さなお子さん連れのお客様は、レジ係の人が袋詰めをしてくれますし、魚も、肉も、野菜も、日配品も、総菜も、菓子も、すべて担当者が自分で仕入れを決めて、値段を決めて、自分で売り上げを管理するそうです。だから、店によって仕入れた内容も、値段も、ある意味、バラバラです。
そして小売りですから、すぐに、売り上げと粗利という形で結果が出るので、毎日、毎日、担当者は工夫を繰り返します。
大手のスーパーチェーンがPOSデータを見て、本部で方針を決めて、そして新しい仕入れを決めて、売り上げが上がるまでのサイクルをたとえば1ヶ月だとしたら、オオゼキはそれを毎日、しかも店舗単位でやっているわけですから、サイコロを振る回数が全く違ってくるわけです。
また、オオゼキは商圏をだいたい1キロと考えており、特に500メートル圏内のお客様は100%、自分のお店に来てもらうことを方針としているそうです。私は3キロなので圏内より遠いのでそうするとどうしても「毎回」とはならないのですが、500メートルだったら、必ず毎回にしたいとか。
いやもう、すごすぎです。私、次に引っ越すとき、オオゼキの500メートル圏内にしようかと思ったくらいです。
実は、大阪で橋下さんが行った改革も、まったく同じ仕組みでした。これまで1年に1回しかレビューがない、すなわち、サイコロを振らないのを、1週間単位に変更して、52回、振るようにしたのです。
私も、メルマガをこれまでの2週間に1度から、毎日にするようになって、確かにサイコロを振りまくるようになり、ぐーーーっといろいろなレスポンス、学びが増えました(もちろん、勝間塾の会員も(笑))。
ぜひ、サイコロをたくさん振る仕組み、考えてみませんか? そして、自分がサイコロを振っているかどうか、あるいは、自分の組織がそういう仕組みになっているかどうかも。
私もサイコロ、当たり目が出るまで振り続けたいと思います。