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宮城県石巻市訪問初日。被災から9ヶ月たちました。

12月の7日、8日の1泊2日で、石巻で支援事業をしているJENの拠点を訪問してきました。被災から約9ヶ月がたっています。石巻に来るのはこれが3回目です。

同行者は、Chabo!の支援をしてくださっているディスカヴァー21の干場社長と、光文社の新書編集長の森岡さん、そして被災地支援バーを開いてくださった、銀座のバー、グレのママの山口さゆりさんです。こちらでは、Chabo!のお金や、被災地支援バーで集めることができた寄付金の一部をJENさんの事業資金活用していただいています。

仙台駅前は順調に建物も直ってきていて、人通りも震災前のように戻っていました。しかし、駐車場などの地面をよく見ると、まだまだ地震の影響が残っています。
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そして仙台から車に乗り換えて、石巻市へ。石巻市は市町村合併でとても大きな市になっているので、中心地と、沿岸部では1時間くらい車で走ることもあります。

9ヶ月がたち、夏の頃のように道にがれきかおちていたり、加工工場からあふれた魚やその材料がすごい異臭を放っていた頃とはことなり、道もすっかりきれいになり、においもまったくなくなっていました。しかし、それでも多くの家がまだまだ、取り壊しを待っている状態です。そして、町のあちこちにまだ、がれきや廃車が残っています。
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JENはこちらで仮設住宅のためのコミュニティスペースを提供したり、沿岸部の被害がひどい地域への漁具支援などを行っています。

今回、JENの石巻所長の小暮さんの被災した家の中に入って被災した家の様子を中から見せてもらいました。小暮さんは津波から夫婦で車で逃げ、渋滞の中、裏道を使って高台に上がることで九死に一生を得た方です。

多くの方が、車の中で亡くなってしまったのを目の当たりにしたそうです。ご自身も、逃げたあとで交通が分断した地域に他の車とともに取り残され、数日間、ほとんど食べ物も飲み物も無い状態で、自衛隊の救助を待ちました。

まず、目立つのは、こちらの時計。ちょうど、津波の到達した時間で止まっています。1階は天井の上まで、完全に津波にのまれました。
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お風呂場も、どこもかしこも、砂だらけです。これでもずいぶん、みなさんが手伝ってきれいにしてくださった後だということでした。もちろん、もう住むことはでききません。
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石巻の市内には、このように倒壊は免れたけれども、もう住めなくなって取り壊しを待っている家が何千軒もあるめそうです。ただ、がれきの処理がまだ追いついていないのと、どこに代替して住むかという都市計画がまだ完全には定まっていないので、いまはこのままになっています。
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沿岸の工場地帯も地面の陥没がひどいため、このままでは再稼働できないので、わずかな企業しか操業をできていません。
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そして漁港も同様に、地盤が下がって船着き場が壊れたり使えなくなっている上、商売道具である漁網や魚カゴ、牡蠣だななどが流されてしまっています。JENでは、そういう沿岸部の漁業を営んでいる人たちに、魚カゴと魚網の提供をしています。
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この魚網も、完成品はなかなか品不足で手に入らないため、材料を買ってきて、その材料を地元の方に提供し、地元の方の手で網を編んでもらいながら、完成品と材料の差額のお金を当面の生活資金としてもらうための日当としてお渡ししています。さらに、若い世代のひとは編み方を知らないため、ベテラン漁師さんに習いながらの作業です。

私も生まれて初めての漁網作りにチャレンジしてみました。13目通して、しばって目を作って、しばって、4回おきに浮きを入れて、など、慣れないとなかなか大変な作業です。この網ではシャコを捕ります。生きたまま取る必要があるので、大変繊細な網です。
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この地域は牡蠣が主力産品で広島より出荷高が多い位なのですが、牡蠣棚は1セット200万円くらいする高価なものなので、まずは漁網で牡蠣棚を買える資金を貯めていきます。この漁網も、1反は7000円くらいですが、1つの漁港の集落には500反とか1000反の分量が必要なため、漁網だけでも何百万円もの資金が必要です。

この気が遠くなるような作業とお金をJENさんは何とかして集めて、地元の人たちと共同で支援に当たっています。
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また、魚カゴも寄付をしています。こちらは1つ3000円くらいだそうです。これを10個以上、しかけて、タコやアナゴが取れるのを待ちます。
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ちょうど、グレのバーでワインやシャンパンを1杯3000円のチャリティーでお願いしていましたが、シャンパン1杯が魚カゴになるのです!!
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そして、仮設住宅付近では、さまざまな地域の人たちが集まってきているため、コミュニティの再生が必要です。そのお手伝いとして、JENではコミュニティスペースを建設して、そこに子どもや大人が集う場を提供しています。こちらは、日本ロレアルさんが資金を提供して作った、「Hana荘」というスペースです。子どもたちがたくさん遊んでいました。運営も、JENだけではなく、地元の町内会の人たちと連携しながら行っています。
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これまで、何十年、何百年とかけて作ってきたものを再生するわけですから、一筋縄ではいかないことはわかっています。それでも、多くの人の善意が集まることによって、一歩ずつ、前に進んでいます。

これからの課題は、地元の人に聞けば聞くほど、なんといっても「雇用の回復だ」と言います。漁業もまだ稼働が小さく、工場地帯はバリューチェーンが壊れ、そしてそのうち失業保険が切れ、がれきの片付けなどの仕事も少なくなってきています。

JENが中越地震の支援をしたときには、地元の農業の回復と、ウェブサイトを通じたお米の直販、後継者支援などを行い、地元の自立を見届けて事業を終了しました。石巻でも、同じようにこれからはもっともっと、雇用創造、価値創造の支援をしていくフェーズに変わってきています。

石巻の雄大な自然を見るたびに、何がもっとできるのか、みなさんと一緒に知恵を絞らないといけないと感じます。
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そしてJENの事務所に戻りましたら、なんとサプライズでお誕生日ケーキを用意してくださっていました。プレゼントは、地元復興支援のためのお歳暮セットです。
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これだけの縁と絆をいただいているのですから、これからもできる限り、支援に携わっていきたいと考えます。
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下記の2日目のブログに続きます。
宮城県石巻市訪問2日目。みなさんの話を直接もっともっと、聞きたい、広めたい。そして継続的な支援を。- 勝間和代公式ブログ: 私的なことがらを記録しよう!!

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