2011.03.13
緊急支援が難しい3つの理由~緊急支援NGOのJENさんとの経験を通して
2008年以来、Chabo!という印税寄付金プログラムを通じて、緊急支援を専門とするNGOのJENさんと深くつき合ってきました。
今回の地震に対して、JENさんもすぐに行動を起こして、現地への調査員の派遣を決めていました。
私も調査員の1人として現地に行くべく、準備を進めていましたが、その時に起きたのが、3/11の福島原発の臨界や、水素爆発でした。結局、様子がわかるまで一日出発を延期、拠点を構える予定であった仙台まで進まず、まずは茨城まで、少人数で、車2台で動いて、ニーズ調査をすることになりました。私は東京に残ることになりました。
よく、なぜプロの支援が現地に入ることが必要か、ということを聞かれますが、以下の3点にまとめられると思います。
【緊急支援が難しい理由3つ】
1. 現場のニーズに合わない、物資支援ばかり集中しやすい
2. 目出つ場所にばかり支援が向かい、限界集落や避難場所がないところに支援が向かいにくい
3. 期待のコントロールが難しい。ヒアリングだけして支援ができなかったときの落胆が大きい
1. 現場のニーズに合わない、物資支援ばかり集中しやすい
まず1点目ですが、○○が足りない、という報道が流れると、どーーーっと全国からその物資が流れ込みます。しかし、物流インフラが麻痺しているので、それが必要な人に届くとは限りません。また、その物資を仕分けをする人も足りませんし、必ずしも必要としている物資でないこともあります。
さらに、毛布、食糧、衣類といった、手に入りやすいものは多くなるのですが、ジェネレーターや医療器具など、企業の協力が必要なものには、必ず仲介者が必要になります。
そして、もっと深刻なことは、物資以外のケアとして、本当に何が必要かということは、実際に現地の人と決めの細やかなコミュニケーションをもたないとわからない、ということなのです。多くの場合、必要なのは問題解決で、物資ではありません。そのためには、仲間に入った、はらの割った話ができないといけません。
2. 目出つ場所にばかり支援が向かい、限界集落や避難場所がないところに支援が向かいにくい
JENさんは、報道でもっとも目立つ避難所よりは、避難所が設けられていない地域、報道から外れている地域を重視します。どうしても、行政の支援も、自衛隊の支援も、メディアの報道も、「わかりやすい場所」に集中しがちなのですが、実際には、目に入らなかった地域こそ、いちばん困っています。中越地震の時も、JENが活動したのは、小千谷市ではなく、十日町市でした。
今回も、実際に現地に行ってヒアリングを重ねながら、困っているけれども、支援のめどが立っていないところまで前進をしながら、インフラや物資の手配をする予定です。
私は今回、現地にいかないことになりましたが、仙台在住のボランティア学生さんなどを通じた情報収集や、支援内容が決まったあとの企業との交渉や資材の調達などに東京から当たる予定です。
3. 期待のコントロールが難しい。ヒアリングだけして支援ができなかったときの落胆が大きい
例えば、Twitterなどを通じて、「今必要なものはなんですか」と呼びかけて、情報を集めることはできます。しかし、いたずらに期待値だけを高めても、結局はそのソリューションを提供できない場合、市民と団体の間に不信感が高まってしまいます。
特に物資の場合、入手も、その流通も大変難しく、物資からみたソリューションではなく、問題解決のためのより大胆なソリューションが必要なのです。
現在、携帯の電源がないということが問題になっていますが、本当に携帯充電器を配ることがいいのか、それとも、ジェネレーターかなにかで大きく発電をして、それを充電池に入れて、それを配った方がいいのかなど、複数の解決策を比べる必要や、それに協力してくれる企業や人を集める必要があります。
長々と書きましたが、とにかく、みなさんからいただいた寄付を無駄にすることなく、最大限の活用をということを考えますと、現地での決めの細やかなコミュニケーションとオペレーションがないと、ほんとうに、ほんとうに難しいのです。
今回現地入りする第一陣から、新しい情報が入り次第、また、必要な行動を起こしていきたいと思います。
JENでは今回の義援金をこちらのサイトで募集しています。
寄付プログラム/寄付方法 JEN - 特定非営利活動法人 ジェン
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NGO JEN Official web site
JENは、確実に、必要とされる支援を、最小限のコストで届けること、それをモットーとしています。継続して、応援していきます。
これからも、さまざまな情報発信をJENさんと共同で、あるいは私単独で行っていきたいと思いますので、ご賛同いただける方、ぜひ、協力をお願いします。