3.お勧めの書籍 バックナンバー


October 03, 2010

「やればできる」と「残酷な世界で生き延びるたった一つの方法」は実はかなり似ていることを言っているのではないでしょうか?

いろいろな方に「書かれているよ」と勧められたので、橘玲さんの、「残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法」を通読しました。

私が書いた、「やればできる」は本当か、ということを繰り返し、引用されています。

ところが、ぜひ、橘さんにお伺いしたいと思ったのが、橘さん、「やればできる」を正直、通読していないのではないかという印象を受けました。

なぜなら、「残酷な世界で~」と「やればできる」でいっている手法は、ほぼ、同じだからです。

それは、「自分が相対的に得意な能力を生かせる仕事に就こう」、この言葉に凝縮されます。

それをなぜか、「やればできる」を自己啓発の能力開発手法の典型として、いわゆるマルチプル・インテリジェンスの論理・数字的能力を中心とした開発手法として引用されている印象を受けました。

ちなみに、やればできる、は

しなやか力
したたか力
へんか力
とんがり力

にわけて、長所をみつけ、それを伸ばして、上手に環境に合わせて、ある分野でとんがる、そのための考え方・手法の本です。

もし、このエントリーを橘さんや、その関係の方がご覧になったら、ぜひ、ご意見いただけると興味深いです。

したがって、本の内容にはほとんど違和感はありません。ただ、以下の2点については、相違があります。

違和感1. 能力が遺伝であるということにやや強調しすぎているのではないかと思います。

最近の研究では、遺伝の影響は半分を超えないし、人種による能力差もない、ということで一致してきていると考えています。

ぜひ

頭のでき、などを読んでいただければと思います。

違和感2. 愛情空間と貨幣空間のルールの差について

橘さんの本で秀逸なフレームワークが

愛情空間
貨幣空間

の考え方です。私はこの区別は、わかりやすいし、必要だと思います。

ただし、私は愛情空間の延長に貨幣空間があってしかるべきと考えていまして、それほど橘さんほど、両者に強い区別があると考えていません。貨幣空間も、ウェットであるべきと考えています。そうすると、橘さんの指摘する「残酷さ」が実は貨幣空間にも広がることになって、よくないのかもしれませんが。

いずれにしても、たいへんおもしろい本でした。筆力がある著者さんなので、エピソードも含めて、すーーーーっと読むことができます。お薦めです。

2010 10 03 [3.お勧めの書籍] | 固定リンク

September 15, 2007

過体重について知っておくべきこと~過食と健康の関係


半年ぶりの更新です。今回は、ここ1ヶ月、私が夢中になって分析している「過体重」の話について考察してみたいと思います。

結論から言うと、「過体重は喫煙、過度の飲酒並みに怖い。ただし、適切な知識を身につけることで過体重は是正・防ぐことができる」ということです。

過体重について、くわしく知りたいと思ったきっかけは、下記の3つでした。

1. アメリカでの「過食」の原体験(8月なかば)

8月なかばにフォトリーディングの開発者であるポール・シーリーさんに会いにミネソタまで1週間行ってきました。フォトリーディングの合宿だったのですが、とにかく、アメリカで見かける人、見かける人、みな太っている。私も米国風食生活を1週間しただけで、1.5キロ、太りました。

2. 「ダイエットと経済学」という行動経済学のシンポジウムへの出席(8月末)

過体重と人間行動の関係について、くわしい実証分析がされていました。結論から言うと、「我慢のきかない人が太る」ということです。我慢がきかないとは、すなわち、現在の楽しみのためには、将来の負債が増えてもかまわないと思う借金体質の人です。

3. 知り合いのダイエット経験の紹介(9月初め)

仲のいいネイリストさんが食生活・生活習慣指導を受けることで2ヶ月で、社会人になって10年かけて太った7キロ分を丸々落とした、ということを聞きました。そこで、同じ指導をしてくれるところに話を聞きにいって、なるほど、と目から鱗が落ちる経験をしました。

1-3の体験の前、私はBMIが24ありました。BMIは体重を身長のメーター表示の自乗で割った値ですが、25以上が過体重、30以上が肥満です。要は、私は標準のギリギリ太いところ、洋服を買いに行くと一所懸命、11号やLサイズの中からから選ばなければならない、という感じでした。

現在、1-3をきっかけに、かなりの量の関連書籍を読み、ようやく自分が何をすべきだったのか腹落ちして、とりあえず、1ヶ月弱でとりあえず、BMIを23まで落とすことができました。現在の体重の目標は、実証分析の結果として導かれている、一番病気が少ない女性のBMIの21.7です。

過体重について、これまでの学習内容をまとめると、以下の9つになります。

勝間流、あなたが過体重について知っておかなければならないこと

1. 過体重(=肥満)は生活習慣病において、喫煙に次ぐ第2位の原因である。
2. 過体重は将来の健康を借金して現在の楽しみを優先している、健康負債である。
3. 過体重の原因は、標準的なライフスタイルにおける摂取カロリーの取りすぎ、消費カロリーの少なすぎである。
4. 摂取カロリーの取りすぎの原因は間食と清涼飲料水、加工食品から来る。
5. 消費カロリーをより増やすには、週2回の筋トレ、毎日30分以上の軽い運動が有効である。
6. 睡眠はストレスを緩和し、過食を抑える。毎日最低でも6時間以上眠ることが望ましい。
7. 代謝をよくするために入浴は有効である。下半身入浴、冷水浴などを併用してもいい。
8. 栄養があるもの、すなわち、加工度が低くて新鮮な、野菜、果物、優良なタンパク質、炭水化物などを取る限り、空腹感は上がらない。
9. 過体重を防ぐ生活習慣は、体重だけではなく、健康全体に非常に有効である。

以下、説明していきます。

1. 過体重(=肥満)は生活習慣病において、喫煙に次ぐ第2位の原因である。

これは当たり前ですが、意外でした。肥満は伝染病であり、病気であるというのが医学界の常識のようです。日本ではさほど肥満が諸外国に比べていないので深刻ではありませんが、それでも、男性を中心に肥満が急増中です。

私も、喫煙と過度の飲酒は極力避け、メディアでも危ないと言い続けていましたが、同じくらいの認識を過体重、過食についても持たなければならないと言うことをアカデミックデータその他から再認識しました。

2. 過体重は将来の健康を借金して現在の楽しみを優先している、健康負債である。

このことは主に行動経済学の実証から出てきた結果ですが、要は、我慢できない人が過食・過体重になるということです。太っている人と、太っていない人を比べると、例えば借金の多さとか、享楽的性格が統計上、有意なレベルで異なります。

なお、男女差で言うと、女性の方が男性よりも我慢強い傾向があるので、女性の方が過体重が少ないし、喫煙・飲酒も少ないのではないかという仮説があります。なるほど、です。

つまり、太っている人=自己規制が効かない人、というのは特殊な遺伝子の欠陥を除いて、一般的には当てはまるそうです。

3. 過体重の原因は、標準的なライフスタイルにおける摂取カロリーの取りすぎ、消費カロリーの少なすぎである。

これもシンプルです。ここ数十年で、だいたい摂取カロリーが100-200Kcalぐらい、1日に増えてきているようです。人間が太り続けないのは、太ると消費カロリーも増えるからだそうなのですが、そのバランスするポイントがどんどん上昇しているわけです。

4. 摂取カロリーの取りすぎの原因は間食と清涼飲料水、加工食品から来る。

コーンシロップや砂糖の消費量が急増しています。特に、コンビニその他の発展で、おなかがすいたら、なんでもカロリーを安価に買える時代が来ました。新鮮なものを買うよりは、加工食品を買った方が安いのです。

しかし、本来、生物はおなかがすいてから動いて捕食をするようにできているらしく、おなかがすいたからといって、腹持ちの悪い加工食品をぱかぱかと食べれば、あっという間に太ります。

しかも、過度の加工食品の摂取は消化への負担が重く、胃腸に負担をかけ、胃腸疾患の原因にもなりかねません。

5. 消費カロリーをより増やすには、週2回の筋トレ、毎日30分以上の軽い運動が有効である。

私たちはあまりにも座り仕事が増えたので、意識的に体を動かす必要があるそうです。特に骨粗鬆症対策には筋トレがいいそうです。毎日の運動は、1万歩を歩くことで解決できます。

運動をしている人としていない人では、明かな体型の差と、病気のなりやすさがあります。

6. 睡眠はストレスを緩和し、過食を抑える。毎日最低でも6時間以上眠ることが望ましい。

睡眠は代謝を上げます。ストレスがたまると過食をするので、睡眠不足は過食の大敵です。睡眠時間は7時間くらいの人がもっとも健康だということも実証分析でありますが、私もやってみてわかったのですが、7時間寝ようとすると、ライフスタイル全体が健康的にならざるを得ないのです。

7. 代謝をよくするために入浴は有効である。下半身入浴、冷水浴などを併用してもいい。

こちらも代謝の話です。睡眠と同じく、リラックス効果もあり、交感神経・副交感神経の刺激になるそうです。また、入浴すること自体が、睡眠と同じく、生活リズムの形成に寄与する効果の方が高いのではないかと思います。

8. 栄養があるもの、すなわち、加工度が低くて新鮮な、野菜、果物、優良なタンパク質、炭水化物などを取る限り、空腹感は上がらない。

皮肉なことに、過食だからといって、栄養が足りているとは限らないようです。逆に、こういった加工度が低いものをおなかいっぱい食べても、カロリーはそれほど稼げないので、過食になりにくいわけです。

すなわち、スナック菓子をどんなに食べても空腹感はすぐ来ますが、新鮮な野菜・果物などを多く食べる習慣がある人は、摂取カロリーの割りに満腹感が高いのです。

9. 過体重を防ぐ生活習慣は、体重だけではなく、健康全体に非常に有効である。

やはり統計分析で、以下の7つの健康習慣を守っている人ほど、死亡率が低いという調査があります。
・標準体重の維持
・適度な運動
・非喫煙
・過度の飲酒をしない
・朝食の習慣
・間食の制限
・十分な睡眠
(出所:科学が証明する新朝食のすすめ 香川靖雄)

この7つは、過食をしないようにしようとすると、自動的に守られる習慣なのです。

以上の1-9は、分かってしまうと当たり前なのですが、分かるまでにはこれまでの悪い生活習慣も見直さないといけないし、逆に認知的不協和で「そこまでしなくても」と思いがちだったのですが、一度気づいてしまったからには、少し続けていきたいと思います。

BMIが無事21.7になり、リバウンドもしないというのが現在の目標です。みなさんもぜひ、1-9を覚えてみてください。

なお、読んだ本の中で、特に参考になった本を下記にまとめておきます。それぞれの本のくわしい内容はリンク先を参照ください。

100歳まで元気に生きる!
太りゆく人類
ファストフードが世界を食いつくす
生活習慣病に克つ新常識
生活習慣病を防ぐ
科学が証明する新朝食のすすめ

(なお、このエントリーは医学的なアドバイスではありませんので、行動については自己責任でお願いします。筆者は行動の結果についての責任は負いかねます)

2007 09 15 [2.実体験観察から, 3.お勧めの書籍] | 固定リンク | コメント (23)

December 03, 2005

ドラッグは世界をいかに変えたか~酒・たばこ・カフェインの歴史上の役割を理解する

ドラッグは世界をいかに変えたか―依存性物質の社会史

ドラッグは世界をいかに変えたか―依存性物質の社会史

今回は、ドラッグの歴史について解き明かしている書籍、「ドラッグは世界をいかに変えたか」を紹介します。

この本は、依存性のある意識に作用する物質、具体的には、アルコール、たばこ、カフェイン、アヘン、大麻、コカなどが、どのように見つかり、開発され、淘汰され、貿易や権力争いに使われ、国の統制に会い、税金の対象となり、生態系や社会体制を変化させていったのか、説明しています。

ふと気づくと、私たちはドラッグに囲まれて暮らしていることがわかります。

例えば、免税店を思い出してみてください。たばこ、お酒、ベルギーチョコ、コーヒー、どこをどう見回しても、この手のサイコアクティヴ製品(=精神に作用して、気分を高揚させる商品)ばかりです。

また、道を歩いていても、たばこの自動販売機、お酒の自動販売機、スターバックスにタリーズ、コンビニに山のように並ぶチョコレートの新製品など、昼となく、夜となく、誰もがサイコアクティヴ製品を口にしています。

一方、アヘン、大麻、コカはなぜか非合法です。しかし、ニコチンがよくて、大麻がダメだ、という違いを説明できる人はいないはずです。一方、アメリカでも、ソ連でも、禁酒法は失敗しました。

では、ドラッグは私たちにどのような影響をもたらしてきたのでしょうか?

本の内容をまとめると、以下の3つになります。

(この本、2,500円もする上、実はあまりわかりやすい構成になっていませんので、少し並べ替えてあります。ただし、内容はとても濃い本です)

1. サイコアクティヴ物質はもともと薬としての面があり、人に快楽をもたらすことで広がってきた
2. サイコアクティヴ物質は西欧がアメリカなどを侵攻する中で見いだし、貿易や管理の手段として、政治的に発展してきた
3. サイコアクティヴ物質は合法と非合法の間で揺れ動くが、一部のドラッグは最後まで生き残り、功罪が引きつづき議論されている

一つずつ簡単に説明してきます。

1. サイコアクティヴ物質はもともと薬としての面があり、人に快楽をもたらすことで広がってきた

植物系のドラッグは、もともと動物に食べられるときに酩酊状態をもたらすことで採取を防ぎ、繁殖するために発達したと考えられます。しかし、おかしなことに、人間が逆にそのドラッグ物質を活用することで、かえって繁殖し、発展してきたのは皮肉なものです。

本の中で、3大ドラッグをニコチン、アルコール、カフェイン、そして、その他の3大ドラッグとして、アヘン、コカ、大麻を挙げています。その他には、チョコレートや砂糖などがあります。

どのドラッグも、医者の正しい利用方法と管理の下で適切に利用すれば、それなりの薬効があると考えられています。しかし、実際には、快楽を目的に乱用し、生態系を荒らし、そのドラッグに目をつけた非合法のお金の流れを作りました。

これは今でも変わっておらず、合法なドラッグでも、大変な税金をかけられているのを見れば、いかに権力側が集金マシーンとしてドラッグを活用してきたのか、ということがよくわかると思います。

また、おもしろいインサイトとして、ドラッグと砂糖の親和性を挙げています。例えば、アルコール飲料やカカオは砂糖と組み合わせることで、その普及が進みました。

こうやって考えると、私たちは、確かに一日中、何らかのサイコアクティヴ製品を口にしながら、暮らしていることになるのかと思います。よほど気をつけない限り、全く摂取しないような生活習慣は作りづらいほど、文化と一体化してしまっているわけです。

2. サイコアクティヴ物質は西欧がアメリカ・アフリカなどを侵攻する中で見いだし、貿易や管理の手段として、政治的に発展してきた

しかし、このサイコアクティヴ物質の発見は、貿易を活発化させ、植民地施策を加速させました。ヨーロッパの列強はたばこやコーヒーを栽培するために植民地を支配し、奴隷を確保し、そのドラッグをせっせと本国に輸出するわけです。

また、危険な航海や戦争の危険などを紛らわせるために、ドラッグは利用され、普及していきました。そして、今でも、例えばカフェで、濃いコーヒーを飲みながら、チョコレートをつまみ、たばこを一服する、などという光景が日常化しています。

その結果、アルコールに変換させるための砂糖、穀物を含め、たばこやコーヒーの栽培は、森林伐採、土地の消耗や浸食、化学薬品の廃液流出、森林の破壊などをいまでも助長しています。人類生態学から見た場合、ドラッグ作物の集中的な栽培は、人口を維持するために必要な食料の生産をおろそかにし、飢餓を拡げる結果になります。

もっとも、こういったドラッグが普及したことで、その害で、少なめに見積もっても、人口が5億人は地球全体で少なくなったそうで、その分は地球破壊を遅らせている、という皮肉な結果もあります。

3. サイコアクティヴ物質は合法と非合法の間で揺れ動くが、一部のドラッグは最後まで生き残り、功罪が引きつづき議論されている

これらのドラッグは、子どもでも飲めるカフェイン飲料から、製造、販売すら禁止されているヘロインまで、合法・非合法のいろいろな区別があります。その区分はどこから来ているのでしょうか?

まず、特殊なのがカフェインです。カフェインだけは、各種ドラッグの中で、特権的な乱用を許されています。

その理由は非常に簡単で、どうも、功罪のうち、功のほうが今のところ大きそうだから、という理由です。かなりの量を乱用すれば別ですが、当面はカフェインが理由である、という命に関わるほどの病気が見つかっていないのです。一方、抗鬱の働きがあり、運転を覚醒し、気分を落ち着かせます。

結果、ありとあらゆる場所に、喫茶店やカフェの乱立を招くわけです。

比べて、アルコールに規制があるのは、酩酊により身体的な衰え、投与中の反社会的行動、感情的な依存などが明確にあるためです。薬学的な分析によると、アルコールはヘロインやコカイン、マリファナなどよりも毒性が強く、アルコールがなぜ合法かということについての疑問を投げかけています。

たばこは依存性が強く、特に肺ガンや、視力低下、暴飲の助長などの弊害があり、同じく、規制の対象になっています。最近、勤務時間中のたばこの喫煙は厳しくなってきましたが、ただ、お酒ほどは規制されていないのは、お酒ほどの毒性がないからのようです。

もっとも、アルコール、カフェイン、ニコチンが合法で、アヘン、大麻、コカが違法だというのは、実は根拠がないことと言われています。

どうもその違いは、指導層にすでに浸透しいるドラッグか、そうでないかの差のようで、指導層が自分の快楽をわざわざ禁止するようには動かないため、これから先も合法のままでしょう。

さて、ここまでドラッグの話をまとめてきましたが、やはり、ドラッグは摂取しないにと超したことはないわけです。私は2002年を境にたばことお酒の摂取を一切やめてしまいました。結果、かなり人生が快適になったような気がしています。

もともとドラッグは、指導層が快楽のため、そして労働層が毎日のつらい生活をごまかすために使われてきたものです。そこにお金の流れが生まれ、指導層が搾取の手段として活用し、知識層が害を訴えて反対する、という構造が永遠と繰り返されています。

ドラッグを摂取する習慣がない人はほとんどいないと思いますが、一度、ドラッグの本質は何か、このような本を読んで、振り返ってみるとおもしろいと思います。

2005 12 03 [3.お勧めの書籍] | 固定リンク | コメント (5) | トラックバック

November 13, 2005

第三の消費スタイル「利便性消費」から考える、今後の成長市場

第三の消費スタイル

第三の消費スタイル

今週は、最近買った本の中で、久々におーー、と思った、第三の消費スタイル
という本の中にある「利便性消費」という概念について、考えてみたいと思います。

この本をどこで見つけたかは忘れてしまいました。確か、特に書評で紹介されていた、とかではなく、店頭でなんとなく手に取った本の一つだったと思います。

この利便性消費という考え方は非常にシンプルで、この本の分析では、消費者を二つの軸で四つに分解して考えています。

二つの軸とは、価格へのこだわりと、嗜好へのこだわりで、以下の4つに顧客を分解します。

その1 自分の嗜好にこだわり、価格は高くてもいい人・・・プレミアム消費
その2 自分の嗜好にこだわるが、価格は安いものを探す人・・・徹底探索消費
その3 自分の嗜好にはこだわらず、価格が安いことを最優先する人・・・安さ納得消費

ここまでは納得のいく話なのですが、第三の消費スタイルと、というのは下記の人です。すなわち

その4 自分の嗜好にはこだわらず、価格にもこだわらない人・・・利便性消費

という人たちが日本人に35%もいる、という発見なのです。第三と言っているのは、嗜好にも、価格にもこだわらないため、第三、という表現を使っています。

では、この利便性消費がなぜ、よい分析なのでしょうか?それは、利便性消費をするセグメントが、日本では最も多いが、海外ではあまり見られないからなのです。

この考え方は、海外企業の日本進出をいろいろなプロジェクトで手伝っていた身としては、とてもしっくり来ます。そう、海外だと、品質にこだわるか、価格にこだわるか、とちいう消費スタイルは一般的なのですが、あまり「便利であれば、価格にも品質にもこだわらない」という人は意外に少ないのです。

例えば、海外で育った人と食事に行くと、当たり前のように、お金を払う前にレシートを一つ一つチェックして、食べていないものがついていないか、金額は合っているか、というのを確認するような気がします。また、商品を一つ買うにしても、いろいろなものをいろいろな角度から分析し、比較購買をするスタイルが一般的です。

ところが、日本の場合、レシートをチェックする人はまれですし、比較購買もかなり限られた範囲でしかやらないような気がしています。

本の中では日中の比較しかないのですが、日本で35%いる利便性消費は中国では16%、一方、日本ではマイノリティである徹底探索消費13%は、なんと中国では40%になります。

結果、特に消費者相手の小売業において、私の感覚では、利便性消費に合った企業は成功していますが、そうでない企業は撤退しているような気がします。

例えば、日本で成功した外資(と言うか、外国から入ったビジネスモデル)と言えば、下記が思いつきます。
・マクドナルド
・宅配ピザ
・アマゾン
・ヤフー
・デル

逆に、失敗、あるいは苦戦している外資は下記でしょうか。
・ウォールマート
・カルフール
・プランタン
・サブウェイ
・ブーツ
・セフォラ

そう、違いは明確です。成功している組は利便性がそもそもの強みであり、失敗組は品揃えや価格などが強みだったのです。

日本人が利便性消費になるのは、下記が理由ではないかと仮説としては考えられます。

1. 品質が全体的に高く、価格のばらつきが低いため、価格対品質を細かく追求する必要がなかったこと
2. 全体的に長時間労働の習慣のため余暇が少なく、消費に使える時間が短いこと
3. 他の日本人を信頼する傾向があり、自己責任の概念が発達していないこと
4. 平均的な家庭は十分な購買力があり、あまり価格にこだわる必要がなかったこと

結果、世界でもっともコンビニエンスストアが発達した国になっています。

この本では、こういった利便性消費の消費者に向けて、ますます利便性を追求することがマーケティングの解である、ということが一つの提案になっています。

しかし、私は現状を分析する際にはその提案でいいと思っていますが、もう一強く主張したいこととして、今後、消費者はインターネットや情報網という口コミを手に入れることで、嗜好にこだわるセグメントが今後どんどん増えてくるのではないかと思っています。

この本にある野村総研の調査でも、2000年の時点で嗜好にこだわらないユーザーの合計は利便性消費の37%と安さ納得消費の40%を合わせ、計77%を占める多数派でした。

ところが、2003年の時点では、両者の合計は利便性が35%、安さ納得が34%と計69%に減り、プレミアム消費ユーザーが13%から18%へ、徹底探索消費ユーザーが10%から13%へと大きく伸びています。

明らかに、伸びているユーザー層は嗜好こだわりユーザーであり、利便性ユーザーや安さ納得ユーザーは減りつつあるわけです。

したがって、解としては、「わかりやすい品質が即座に顧客にコミュニケートできる」ということがあると考えられ、今後もいわゆる「ストーリー訴求」としての売り方は、増えることはあれ、減ることはないのかな、と感じた次第です。

なので、私の提案としては、利便性消費とプレミアム消費の両狙い、という戦略が今はおもしろいかと思っています。

一度、みなさんが携わっている製品やサービスが何を特徴としているのか、このフレームワークで考え直してみるとおもしろいと思います。

2005 11 13 [3.お勧めの書籍] | 固定リンク | コメント (10) | トラックバック

October 23, 2005

階層化社会に直面すると言うこと

下流社会 新たな階層集団の出現 希望格差社会 不平等社会日本

昨日の土曜日の夜、NHKの「日本の、これから」という市民を招いた討論番組に縁があって出席してきました。

ただ、残念ながら、番組の構成上、50人の市民になるべく発言させようとしたこと、一部のゲストのやや偏った意見が多かったことから、私を含め、マイノリティの支援にたった側の意見が通りにくかったと思いますので、もういちどブログの形で、まとめてみたいと思います。

まず、番組の趣旨は「若者の問題について討論する」ということが問題意識でした。

そして、私が一番行ってほしくなかった結論は
今の若者はたるんでいて、チャンスはいくらでもあるんだから、がんばればなんとかなる
ということです。

案の定、結局そういう結論でまとまってしまいました。

では、なぜそれに反対なのか。私はその意見に、権力側の大きな欺瞞を感じるためです。また、もし努力の問題であれば、この問題はとっくに解決しているはずです。

若者の、特に非雇用の問題は、これは社会の構造の問題であり、1人1人の努力の範囲で解決できることは非常に小さいのです。

なぜ私がそんなにここにこだわるのか。それは、私がずっと続けている女性の労働問題についてと同じにおいを感じるためです。

ここに主張をまとめますが、より興味を持った方は、ぜひ、上にお勧めする3冊をざっと読んでみてください。他にもいくつも出ていますが、少し統計を見て、周りを見るだけで、十分に理解できるはずのことです。

問題は、そのことを大手のメディアや、政治がふれないことだと思います。

それでは、問題は何か。一言にまとめると若者に十分な成長の機会である雇用を与えていないこと、そこに社会の問題意識が行っていないことにつきます。以下、もう少し問題を分解します。

課題1 日本の内需が人口増加率の減少と、すでに満ち足りていることで、経済成長が減退し、雇用が減っていること
課題2 外需については、為替の問題や、現地化などで、国内には雇用がないこと
課題3 結果、日本国内の需要は、特に単純雇用を中心に、著しく減っており、十分な教育がなかった若者への就職機会が著しく減っていること
課題4 困っている若者につけ込んで、お金を稼ぐおじさんたちのビジネスがはびこっていること
課題5 教育のレベルが生まれた家庭でほぼ決まってしまい、ほとんど復活の可能性がないこと

課題1 日本の内需が人口増加率の減少と、すでに満ち足りていることで、経済成長が減退し、雇用が減っていること

これは、言うまでもないことでしょう。日本人が貧乏だったことは、買うものもたくさんあったし、人口も増えたので、いくらでも労働人口が必要でしたが、今は生産性が向上し、輸入が増え、国内に若者に十分に配るだけの雇用がないのです。

課題2 外需については、為替の問題や、現地化などで、国内には雇用がないこと

一方、内需がなければ、外需があります。しかし、残念ながら、日本には今の為替レベルで、かつ、貿易摩擦を起こさなくても儲かるようなビジネスは、ほとんど見あたりません。

課題3 結果、日本国内の需要は、特に単純雇用を中心に、著しく減っており、十分な教育がなかった若者への就職機会が著しく減っていること

1と2が組みあわさると、高卒や短大卒の若者に、定職がなくなっています。あるとしても大変きつい労働環境の仕事が多く、みんな身体が持たなくて途中でやめてしまうわけです。

一方、運良く就職できた若者も、リストラをおそれて、働き過ぎのくらい、働いています。

課題4 困っている若者につけ込んで、お金を稼ぐおじさんたちのビジネスがはびこっていること

これは根深い問題です。このようにフリーターが増えてくると、フリーターを雇って安い労働力で回すビジネスモデルや、フリーターにお金を使わせるようなビジネスモデルが増えてきて、「自分探し」とかいいながら、実は搾取をするわけです。

課題5 教育のレベルが生まれた家庭でほぼ決まってしまい、ほとんど復活の可能性がないこと

しかも、よく識者は「やる気の問題であり、なんとかなる」という論を主張しますが、なんのことはない。やる気も含めて、ほとんど生まれた家庭で決まってしまいます。

本人の責任かどうかはともかくとして、普通に生まれて、普通に高校を出て、就職先がなく、特別なスキルもなく、それで「やる気がない」と相手を追い込んでいいのでしょうか?

いままで、このような問題は女性の労働問題にはずっと、ずっと起こっていたことでした。要は、社会的に地位がある人たちが、弱者から搾取をする仕組みです。

本来、行政や政府はこのような行き過ぎをリバランスするために存在するのではないのでしょうか? なぜなら、この搾取のしくみの先には、社会全体として未来がなく、リスクが高く、全体のリターンも落ちていくためです。

今、行政を見回して、そのような問題意識を持っている人たちもたくさんいると思っていますが、特に小泉首相の方向性が、とても社会に対してこのようなセーフティ・ネットを用意しようと思っているとは考えにくいです。

手遅れになる前に、自分ができることを一つ一つ、やっていきたいと思います。この問題について私よりもより深い問題意識を持っている人もいらっしゃると思いますし、まったく初耳だ、という人もいると思います。

しかし、問題意識として、共有していき、解を見つけていきたいと思います。

2005 10 23 [2.実体験観察から, 3.お勧めの書籍] | 固定リンク | コメント (33) | トラックバック

September 11, 2005

デブの帝国~高果糖コーンシロップとパーム油とテレビが健康に及ぼす影響とは?

デブの帝国

デブの帝国

今週は、食品の近代化により、なぜアメリカも、そして日本も、肥満が増えてきているのかを、ていねいに説明した本を紹介します。

身の回りで肥満という現代の疫病がなぜはやってきたのか、自分をその疫病から守るにはどのような知識が必要なのか、スーパーサイズ・ミーなどと合わせて読んでみると、なるほどーーー、と目から鱗が落ちると思います。

まず、肥満への序章は、1970年代にアメリカで、農業の自由化が始まり、輸出入が活発になることで、一気に世界的な農産物の生産性が高まることが起きたことから始まります。

そして、同時に以下の2つの食品が、その肥満化に拍車をかけることになりました。

(1) 高果糖コーンシロップ
(2) パーム油

どちらも、安価で、口当たりがよく、加工食品に一気に使われることになりました。しかし、どちらも恐ろしい欠点があったのです。

まず、高果糖コーンシロップは、果糖ですから、インシュリンへの抵抗力を増やし、糖尿病の発生を加速させました。高果糖コーンシロップは幅広く食品に使われていますが、特に使われているのはソーダ水、要はコーラとかその手の清涼飲料水です。

ものすごーーーく短く言うと、コーラーを飲み過ぎることで、糖尿病になるわけです。

次のパーム油ですが、こちらはポテトを揚げたりするのに使われますが、味がぐっとよくなることになり、これも脂肪の取りすぎを助長しました。

また、肥満の問題点は、肥満の問題と社会の貧困・階層の問題は強い相関関係がある、ということです。

平たく言うと、金持ちは肥満に対する知識も高く、質の悪い食品を避けられ、必要な栄養指導を受けられるので肥満を避けることができますが、貧困層はファーストフードの食べ過ぎ、テレビの見過ぎによる運動不足など、複数の要因からこの疫病にかかりやすくなるわけです。

日本はアメリカほどひどい状況にはありませんが、それでも、コンビニの普及などにより、確実に若年僧に肥満が増えています。

肥満の簡単な指標として、体脂肪率が30%を超える、あるいはBMI(体重÷メートル表示身長の自乗)が25を超える、というものがあります。

肥満を防ぐためには、下記の2つがポイントになります。

(1) 1週間に2,000カロリー以上の運動をすること
(2) 正しい知識を身につけて、不必要な糖分・脂肪分をとらないようにすること

そしておもしろかったのが、上記2つを実行するためには、「テレビを観る時間を減らすこと」というのが、もっともわかりやすい効果があるそうです。

なぜなら、テレビを観ていると運動もしないし、知らず知らずに食べ過ぎるし、まして悪いのは、よけいな食品のコマーシャルをどんどん浴びることで、悪い食生活が身に付くためです。

かくいう私も、20代後半から30代前半にかけて仕事の忙しさと悪い生活習慣から10キロ太った時期がありました。この時期を思い出すと、移動はタクシー主体、食事は外食、というのが基本でした。

幸い、よい先生の指導に恵まれて、その状態は脱することができましたが、そのままの状態が続いたら、と思うとぞっとします。また、今は移動を原則として自転車または地下鉄、1日1万歩は歩く、ということを見直したことにより、ずいぶん体脂肪率が下がりました。

この本では、かなりの部分、糖尿病になるとどのような弊害があるか、ということについても筆が割かれています。とりあえず、肥満を疫病と考えて、生活を見直してみませんか?

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September 04, 2005

NANAはなぜブレークしたのか?

今週は、今話題のコンテンツ、「NANA」がなぜブレークしたのかについて考えてみたいと思います。映画は昨日、封切りになりました。漫画は2,500万部以上、販売されているそうです。

NANAとは、りぼんの姉妹月刊誌「Cookie」に2000年前後から連載が始まった少女漫画です。作者は矢沢あい。NANAの前からも、ご近所物語、下弦の月など、これまでもヒット作を書いていた作家です。

NANAのストーリーは、ブラストとトラネスという2つの音楽バンド、そしてナナと奈々(通称ハチ)の2人の女性を軸に、「恋愛」「自己実現」「家族トラウマ」「成り上がり」「上京」「ドラッグ」「売春」「できちゃった婚」「三角関係」など、10代の少女たちに読ませるにはややえぐいテーマを扱いながら、グループの青春群像を扱うものです。

出演するメインキャラだけでも、すごい数。ブラストが女性1人、男性3人、トラネスも女性1人、男性2人、そこに奈々が加わり、女性3人、男性5人がストーリーを奏でます。さらに、この男女8人は、みんな恋愛が下記のように、順列組み合わせになっています。

ブラストのナナ-トラネスのレン
ナナの友人奈々-現恋人トラネスのタクミ-元恋人ブラストのノブ
トラネスのレイラ-現恋人ブラストのシン-元恋人ブラストのヤス

さて、前置きはさておき、なぜこの漫画がこんなにブレークしたのか、私が考えた要素を書き出してみました。

要素1 出演キャラクターの書き込みと種類が巧みで、読者が誰かには共感できるようになっている
要素2 音楽バンドという、「現代のもっともわかりやすい若者向け出世物語」である
要素3 矢沢あいのファッション+地方路線が従来はマイナー路線だったのが、共感する若年層がどんどん育ってきてメジャーになった
要素4 題材が音楽、というマルチメディア展開に向いた商材であった

以下、簡単に一つ一つ、解説します。

要素1 出演キャラクターの書き込みと種類が巧みで、読者が誰かには共感できるようになっている

この登場キャラクターの中には、いろいろな種類と対立軸をわざと書き込んであります。

・幸せな家庭で育った人たち VS 不幸な家庭で育った、あるいは親がいない
ex. 家族に恵まれた奈々・旅館の跡取り息子ノブ-両親のいないナナ・親に捨てられたシン・捨て子のレン

・天才肌の人たち VS 努力家の人たち
ex. 天才組 レイラ・タクミ・ヤス - 努力家組 レン・ナナ・ノブ

・自立志向の女と依存志向の女
ex. ピルを飲んで絶対に妊娠しようとしないナナ - タクミとできちゃった結婚をする奈々

どの立場であっても、読者が自分をその相対図の中でポジションをおき、そのドラマの中に入り込めるように設計されています。

要素2 音楽バンドという、「現代のもっともわかりやすい若者向け出世物語」である

ブラストも、トラネスも、「音楽」という手段を使って、メガヒットを飛ばし、名声とお金を得る、というのが出演者たちのモチベーションです。

そう、音楽は資本も学歴もいらないベンチャービジネスだからです。だから昔から、地方から上京して一山当ててやる、というストーリーとして成り立ち、あこがれるわけです。

なぜなら、昔は「一所懸命働けば出世できる」という価値観がありましたが、最近はNEETを含め倦怠感が広がっており、よりわかりやすい、一発逆転手段として、音楽、というところに光を見いだしやすいのでしょう。

要素3 矢沢あいのファッション+地方路線が従来はマイナー路線だったのが、共感する若年層がどんどん育ってきてメジャーになった

漫画はどちらかというとこれまで、なんだかんだ言って、インテリ向け路線が多かったと思いませんか? それは、書き手の多くが大学卒業のインテリだったから、柴門ふみ、川原泉、里中満智子、清水玲子と言ったような、ちょっとまじめな雰囲気が多かったと思います。

そうすると、歴史物やキャリアウーマンもの、SF物に名門私立物など、なんだかんだ言って、ややインテリ向けの漫画が多くなるわけです。

ところが、矢沢あいはファッション専門学校出身で、ひたすら音楽やファッションなどを基軸とした世界観を書き続けました。そこに、共感するファンが育ってきて、ついてきたわけです。

要素4 題材が音楽、というマルチメディア展開に向いた商材であった

NANAかブレークした理由の一つに、かなり早期からミュージシャンの共感と推薦を仰いできた、という経緯があります。ミュージシャンたちがまさしく、これまでの自分たちの苦労と合わせて共感できる漫画でもあったし、積極的にアルバム作りなど、バックアップをしてきたわけです。

今回も、映画が中島美嘉の主演でタイアップCDが作られ、レイラがオーディションで選ばれて、同じくタイアップCDが販売されます。

とはいえ、映画の方は、正直、ドラッグとか売春などの毒のある部分をほとんど抜いて映像化してるので、やや物足りなさを感じました。さすがに、マルチメディア展開でも、R指定をするわけではないので、限界があるのかもしれません。

元々私がNANAを知ったのは去年の春くらいに、コンビニで「1,000万部突破」という漫画の帯に惹かれて、とりあえず仕事柄もあり、なんだか知らないけれども読んでみよう、と思って買ったのがきっかけでした。

当時はまだ、一般紙には取り上げられない物の、若年層はほぼ知っていた、ただし30代以上で知っている人はいなかった、という段階でした。

最初、いきなり10巻から読み始めたときは、正直、世界観を全く、理解できませんでした。それ以上に、ここまで毒がある漫画を若年層が受け入れている、という方がより驚きでした。

ただ、我慢してとりあえず全巻読んでみたところ、少しずつ理解が進んできて、逆に私が周りに「こういうはやっている漫画がある」と紹介するような形になっていました。だからこそ、1年間で1,000万部が、2,500万部にまで広がったのでしょう。

しかし、はやりのコンテンツは世相を反映する、と言われますが、NANAがここまで受け入れられる、という風潮には、やはり現代に対する夢の狭さと毒を感じてしまうのは、ちょっとこの現象を斜めに見すぎているでしょうか?

とりあえず、機会があれば、漫画でも、あるいは映画でも、目を通してみてください。特に、このブログを読んでいるようなセグメントの人には、新鮮な驚きがあると思います。

2005 09 04 [3.お勧めの書籍] | 固定リンク | コメント (12) | トラックバック

August 29, 2005

美人の仕組みを科学で考える

なぜ美人ばかりが得をするのか

なぜ美人ばかりが得をするのか

今週は、美人についての科学を解き明かそうとした本を紹介します。

アマゾンの書評でも何人かが指摘していますが、この邦題は、かなりミスリードでして、英語は「Survival of the prettiest」ですから、「美しいものが生き残る」の方がより正確だと思います。

この本からの基本的なメッセージは非常にシンプルで、下記の2つに主として要約されると思います。

メッセージその1
女性に対して「美しい」と感じるのは、男女、民族や文化、年齢の違いなどほとんどなく、「生殖能力が高いと感じる」女性に、人間は無条件に魅力を感じる。

メッセージその2
男性に対しては、女性は「美しさ」よりは「経済的な強さ」をより重視する傾向がある。また、男性が男性を美しい、と感じるのは、群れのリーダーとしてのリーダーシップがあるか、ということを重視する。

具体的には、どういうことなのでしょうか?

本の中では、下記のような様々な事例を紹介しています。

・例えば、女性がもっとも美しい時期は18-24歳くらいですが、これはもっとも生殖能力が高い時期からです。
・肌の美しさや髪の美しさが重視されるのは、健康を測るバラメーターだからです。
・左右対称(シンメトリー)なものを美しい、と私たちが感じるのは、シンメトリーなほど、動物にしろ、人間にしろ、丈夫だからのようです。
・ただし、美人が得ばかりではなく、美人・美男に対しては、周りの期待値も大きく、能力が伴わないと、がっかりされる傾向があります。
・男性は女性を選ぶ際に、美醜で判断するが、女性は男性を選ぶ際に、見かけ以上にどのような制服を着ているか、ということに興味を引かれます。

しかし、内容から言って、微妙だな、と感じたのは、実は、美人・美男だからといって、本人の人生に対する満足度は決して高いわけではない、という話です。

もともと美人を選ぶプロセスが人間のサバイバルから来ているのと同じく、人間は基本的には必ず不満足な状態でもがくようにできていますから、美人には美人なりの不満がいろいろあるわけです。

そして、この本は、最後は「不美人な容貌だけれども、とても魅力的な女性」を紹介して、本を終えています。

人の美醜について評論したり、分析したりすることは、社会学的に、あるいは他の面からタブー視されてきた部分がありますが、基礎知識として一通り持っていると、なるほど、と納得できることが多いので、一読をお勧めしたいと思います。

2005 08 29 [3.お勧めの書籍] | 固定リンク | コメント (13) | トラックバック

July 11, 2005

結婚生活を成功させる7つの原則~5分の観察で離婚確率が91%わかる!!

愛する二人別れる二人

愛する二人別れる二人

今週は、blinkという本の中で触れられている、「5分の観察で離婚確率が91%わかる」ジョン・M・ゴットマン博士の著作を紹介します。

blinkは瞬時の判断や勘と言われるものがいかに優れており、どういう利点と欠点があるかということをまとめた書籍ですが、その前半の部分で、ジョン・M・ゴットマン博士の研究が紹介されており、この書籍は博士の研究をまとめたものです。

ゴットマン博士の他の著作や活動については、The Gottman Instituteのサイトに詳しい紹介があります。

ゴットマン博士の「幸せな結婚」に関する研究結果のポイントはとてもシンプルです。「幸せな結婚は、夫婦の深い友情から成り立つ」というのが結論であり、深い友情とは、「夫婦が共同生活者として、相互が尊敬と喜びを分かち合うこと」を意味します。

博士は、この原則に基づき、これまでの経験則から、5分間カップルを観察するだけで、91%の確率で、離婚するカップルを予測できるようになったそうです。

では、離婚するカップルの6つのサインとは何か、以下にまとめられます。

【離婚するカップルの6つのサイン】

1. 出だしの悪い会話で始まる
-相手への皮肉や非難が混じる内容であること

2. 会話は四つの危険要因をはらんでいる
-非難、侮辱、自己弁護、逃避の要素をはらんでいること

3. 会話の中に危険要因の「洪水」がある
-上記の四つの危険要因が、休みなく相手に降りかけられる

4. ボディー・ランゲージで相手への拒否感・緊張が高まる
-脈拍が上がり、ストレスが高まり、身体的なストレスが高まる

5. リペア・アテンプト(修復行為)がなされないか、無視される
-1-4のサインが出たときに、緊迫作用を抑えるための努力がなされていないか、されていても片方が無視する

6. 悪い過去ばかり思い出す
-関係性が悪いカップルは、過去の良い思い出すら、悪い思い出に書き換えられる

結果、離婚するカップルは病気になりやすく、寿命も短くなるそうです。

上記を防ぐために、博士は夫婦間の友情の大事さを解き、下記の7つの原則を提唱します。

【友情を高めあうための7つの原則】

1. 相手の「愛情地図」(=相手の生活に興味を持ち、よく知り合っている)を共有している。

2. 相手への思いやりと感謝の心を育てている。

3. 相手の話をよく聞き、理解し、相手と真正面に向き合う。

4. 相手の意見を尊重する。

5. 相手との間において、問題がある場合は解決できる問題とできない問題に切り分け、解決できる問題のみを対処する。

6. 相手の夢をよく理解し、2人で行き詰まりを乗り越える。

7. 相手を尊重し、2人で分かちあえる人生の意義を見つける。

どの話も、言うは易く行うは難し、なのかもしれませんが、きっとこの様なことが自然にできる相性のパートナーを探すのが重要なのでしょう。

なかなか考えさせられる内容です。本の中には、いろいろなチェックリストも付いていますので、興味がある方はぜひ、本もご参照下さい。

2005 07 11 [3.お勧めの書籍] | 固定リンク | コメント (3) | トラックバック

June 13, 2005

人脈づくりの科学~人脈はほっておくと同質化・劣化する

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人脈づくりの科学 「人と人との関係」に隠された力を探る

今回は、人脈作りについてポイントをまとめた書籍を引用しながら、人的なネットワークについて考えたいと思います。

この本の中では、名刺集めに翻弄することへの警鐘を鳴らし、何が生きた人的ネットワークのコツなのかということを、実施調査を元に科学的に分析しようとしています。

いくつかの考察から、作者が40の原則を打ち立てているのですが、そのうち、おもしろいものをいくつか紹介しますと、以下の通りです。

原則1 未来が感じられる、継続性のあり得る関係こそがネットワークである
原則2 ネットワークは数ではなく質である
原則4 パーソナルネットワークは、自然にゆだねておくと、同質的、高密度になる
原則5 密度の高いネットワークは、情報収集機能が弱い
原則15 異質な他者との接触を重視しよう
原則22 自ら情報を収集し発信するハブに、情報は集まる
原則27 生産性の高い人間は、多数の人を結びつける
原則30 弱い靱帯は情報収集能力に富む
原則34 隙間が多く、風通しの良い関係を構築する
原則36 身動きのとれないネットワークは断ち切り、指数的減退を待つ
原則39 優先的選択に任せておくと、関係は少数に集中し、大多数は関係を持たなくなる

どうでしょう、上記を見ると、なんとなくネットワークの本質のようなものがかいま見えてこないでしょうか?

今、インターネットはGREEやMIXIのような人脈ネットワーク・アプリケーション(Social Networking Service)や、このブログのような人と人をつなげるアプリケーションとして、大きく発達してきています。

一方、これまでのような、名刺交換による伝統的なネットワークも顕在です。他には、携帯電話のアドレス帳のような、緩やかな別のネットワークもあります。

私はインターネットの価値の一つに、上記の本の中でも繰り返し指摘されている、「ネットワークはメンテナンスをしないと、自動的に同質化し、ネットワークの情報収集力の質が劣化する」というリスクを軽減することではないかと思っています。

普段、非常に限られた社会の中で生きているため、どうしても学校・職場以外の人的ネットワークに触れる機会はなかなかありません。

かといって、異業種交流会や合コンでは、効率が悪すぎる。これを補う手段として、ブログでおもしろい人を見つける、GREEやMIXIで知り合う、あるいは普段のオフラインの知り合いをGREEに誘って、関係性を深めるなど、おもしろい使い方ができてくるでしょう。

上記のような使い方は、ここ10年、始まったばかりです。よく、デジタル・デバイドが問題になりますが、本当に問題になるのは、デジタル・デバイドではなく、人脈づくりの加速化がもたらす信賞必罰の加速化と、それによる生産性の多寡ではないでしょうか?

人脈と一言で著していますが、この人とのつながりこそが、今後の生産性を左右し、人生の広がりを左右するような、大きな違いであり、さらにインターネットにより、そのつながりの上手・下手がますます分かれる社会になると考えると、いろいろ恐ろしいものを感じます。

一度、自身のネットワークを棚卸し、かつ、どうやって同質化を防ぎ、より良い情報ハブを手に入れることができるようになるのか、微調整をすることをお勧めします。

その際に、この本の考え方が参考になるかもしれません。

2005 06 13 [3.お勧めの書籍] | 固定リンク | コメント (2) | トラックバック