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April 30, 2007
売れる本を作る条件とは? ~ ランキング・ヒットチャートとジップの法則の関係
1ヶ月ぶりの更新になります。この前の更新と今の間、何に忙しかったのか。そうです、勉強本の発売に忙しかったのです。
そして、発売から約1ヶ月、いろいろなことを学んだので、記録しておきたいと思います。ここに、経験や編集者の人たちと話をして、本が売れる本を作る条件を、以下の3つにまとめました。そして、これには表ルールと裏ルールがあるのです。
まずは、表ルールから。
(1) とにかく、内容を読みたいというニーズがあるコンテンツに添った本を出すこと
(2) 書店が、その本を仕入れなければいけない、という理由付けを作ること
(3) 著者に魅力があること、特に固定ファン層がいることが望ましい
(1)から(3)までの条件が整えば、だいたいクリーンヒット(数万部クラス)は見込めるようです。特に(3)は大きいようで、さおだけ屋の山田さんの新刊は、なんと、書店からの注文だけで10万部を上回ってしまったとか。
ここまでは、とおり一遍の話ですね。でも、それぞれには、裏ルールがあるようです。
では、その裏ルールとは何なのでしょうか。まずは(1)からです。
(1)は読む側にとって、「自己愛」をくすぐるものでないといけいません。そのためには、自分が持っているコンプレックスを救うものか、あるいは、自分の立場を正当化するもの、その2種類が望ましいわけです。
コンプレックスを救うものでは、以前から言っているとおり、美しさ、お金、英語、この辺が王道です。最近は数字、なんていうのも仲間になってきましたね。
自分の立場を正当化するものは、それを読むとなんとなく、自分が安心できるものです。国家の品格、下流社会などの系統がそれにあたります。
そうなんです。売れる本は、読んだ人がある種のカタルシスを感じるものでないといけないのです。なので、私が出した勉強本は、「これまで勉強が続かなかったのは、本人のせいではなく、しくみの欠如である」というメッセージがカタルシスになったのでしょう。
したがって、タイトルも、相手の自己愛をくすぐり、カタルシスを感じさせる予感のタイトルにすることが重要です。今回の「無理なく続けられる 年収10倍アップ勉強法」はもちろん、賛否両論あったのは知っていますが、マーケティングとしてはとても成功したタイトルだと思います。
(2)は、書店にとってのいいわけとなります。書店だって、いろいろな本が売れるか売れないかなんて、正直わかりません。でも、書店は自分で仕入、スペースを提供するというリスクを負うわけですから、なるべく、確実に売れるものしか置きたくないわけです。
そして、確実に売れるものは何か。はい、今売れているものが売れるのです。そのため、売上ランキングの高いものを置きたがります。
それでは、ランクの高くない本を売るにはどうするのか。これはもちろん、出版社の営業力です。出版社が大手であるほど営業マンが多く、交渉力が強く、販売スペースも大きいので、有利になります。
また、さらなる方法として
広告を打つこと
があります。広告、これは一般読者にもちろん訴えているのですが、同時に、書店にも、「広告を打つほど本気です」という出版社のメッセージを伝えているのです。
ここで、ランクについてのジップの法則が働きます。
今回、勉強本がブレークしたのも、αブロガーのブログ→はてなブックマークでのランキング入りによるジップ法則その1→アマゾンランキング入りによるジップ法則その2、と展開したためです。
いま、リアルの書店では、ありがたいことに、アマゾンのプリントアウトをもって、これどこにあります、と問い合わせるお客さんがいると言うことで、そうなってくると、書店も置かないわけにはいきません。
なお、複数の人に言われてなるほど、と思ったのが、どんな本でも、(1)のコンテンツがかなりいい本は、広告を打たなくても、営業力がなくても、売れるそうです。逆に、(1)が悪い本は、どんなに出版社が大手でも、広告を打っても、だめだそうです。問題は、(1)のコンテンツが売れるか売れないか微妙なラインの時に、(2)が効いてくると言うことでした。
最後の(3)も大事です。今回、初めて納得したのですが、実は著書というのは、限りなく、アーティストの楽曲販売としくみが同じだということです。
基本的には固定ファン層がいて、好みの音楽があって、それに合わせてマニアが買っていきます。なので、だいたい数千から数万は売れるのですが、そこから10万とか、100万のオーダーにのるかどうかは、浮動層をつかむかどうかに関わってくるのです。
そして、その本がいい本だと、つかんだ浮動層が次から固定層に変わります。一方、せっかくの固定層も、2作連続でだめな本を読まされると、その著者から離れるそうです。
音楽も、書籍も、B2Cだし、値段もほとんど同じくらいです。だからこそ、だいたいのヒットの商品の数や売上の枚数/本の数、マーケットの広がり、ランキングの大事さなんかも、似ているのかなぁ、と思いました。
音楽に一発屋がいるのと同じく、著者にも一発屋と、しっかりとした楽曲を続けて出せる人の両方がいるようです。また、うっかり100万以上あててしまうと、その後が苦しくなるのは、ミュージシャンも著者も同じだということでした。なんせ、固定層を100万、保持するのは不可能なわけですから。
私も今回、とりありずヒットになりそうな書籍を出せたことで、いきなりいろいろな出版社さんから次はうちで、みたいな話をいただいたのですが、ここで、次回作がつまらないと、今回つかんだ浮動層にも、あるいは固定ファン層にもそっぽを向かれる可能性があるようです。
ファンがそっぽを向くと、ランク・著者の実績至上主義の書店はたちまち本を置いてくれなくなり、ジップの法則の逆回転が始まります。
これから、5月にキャリア関係の本、そして秋口までに他に数冊の本を予定していますが、前の方がずっとおもしろかった、などと言われないように気をつけたいものです。
2007 04 30 [2.実体験観察から] | 固定リンク
コメント
投稿者: 森蔵 (May 1, 2007, 8:44:34 PM)
おお、キャリア関係の本を出されるんですね。楽しみです。僕は今回の本で固定ファン層に入ったと思います。
投稿者: ミヤ (May 3, 2007, 2:14:27 AM)
ムギさんの場合は 金融関係、育児系、人脈系 色んな切り口、多面性がありそうでこれからの 新刊も期待できますネ。
投稿者: ムギ (May 6, 2007, 7:49:44 PM)
森蔵さん、
固定ファン、ありがとうございます。今度のキャリア本はけっこう、女性・若者がターゲットなので、少し物足りないかもしれませんが、ぜひ、楽しんでください。
ミヤさん、
新刊のお話はいろいろいただいているのですが、いま手持ちの分だけで四苦八苦していまして、とにかく、一つずつ、出していこうと思っています。あと10年くらいは本を出していこうと思っていますので、いろいろリクエストいただければ幸いです。
投稿者: ユウ (May 14, 2007, 10:23:17 PM)
ムギさんの本を読んで、自分の将来について、ちゃんと考えるようになりました。
ありがとうございます。
本のなかで紹介されていた方法について、いくつか試してみたいと思っています。
これからも本を書かれていくみたいなので、楽しみのしています。
投稿者: harunosuke (May 16, 2007, 2:58:55 PM)
僭越ながら、私もフリーライターをしていた時に
本を3冊ほど執筆し、その分野ではヒットという
記録を残せた経験があります
(ムギさんほどではありませんが)。
1度売れると、ありがたいことに出版だけでなく
各方面から声をかけていただけるのですが、
こうなってしまうと「2冊目以降を出す」ことほど難しいことはないなあと常々思っていました。
私は元々編集者だったのですが、その時よりも
さらにプレッシャーを感じましたね。
でも、ムギさんが書かれておられる「表ルール」
と「裏ルール」から、できるだけ反れないようにすれば、おおむね大丈夫じゃないかと思いました。
著者の魅力について挙げられてますが、
編集者はいくら著者が素晴らしくても売れない
ネタならGoサインは出さないはずです
(私なら出しません)。
キャリア関係の本、私も楽しみにしています!
投稿者: 雪犬 (May 29, 2007, 11:16:51 PM)
一週間前に乱読用の本のうちの一冊としてこの本を購入しました。読み終えると同時にアマゾンでオーディオブックと簿記のテキストを注文し、その足で電気店に走りノイズキャンセリングヘッドフォンを購入しました(単純すぎか^^;)
私は今年35ですし、英語や会計は(以前から興味はありましたが)今の仕事と直接の関係はなく、今から勉強してどの程度効用があるのかわかりませんが、ムギさんの勉強方は非常に面白く進められるので、頑張ってみようと思います。
新しい本も楽しみしてますし、私は男ですが、「インディでいこう」も本日アマゾンで注文しました。しっかり固定ファン化しています。
投稿者: ムギ (Jul 7, 2007, 10:01:37 PM)
ユウさん、こんにちは。はじめまして。
そういっていただけると、こちらもうれしいです。いろいろと、試して、私の本にないことも、どんどんチャレンジしてみてください。
harunosukeさん、
とはいえ、本屋さんに行くと、あの本の量。頭一つ抜け出るのは、本当に大変だと思います。結果を気にすることなく、おそらく、コツコツとやるべきことをやっていくのが近道かと思って、やっていく所存です。
雪犬さん、
ありがとうございます。その後1ヶ月ですが、定着具合はいかがでしょうか? 教えていただけるとうれしいです。
投稿者: nago (Jul 9, 2007, 4:25:22 AM)
僕は大学生です。
無理なく続けられる年収10倍アップ勉強法読みました。
とても為になりました。
必死でバイトしたお金をはたいてフォトリディング受講する決心しました。11万は高いので夏休み遊ぶお金あまりのこらなそうです。笑
ところでムギさんに質問ことがあります。
やりたいことも夢もさだまらない経営学部の大学生(僕)はどんなことを勉強すべきでしょうか?
会社に資格取得を強いられる状況もつくれないですし。。。
何かアドバイスください。
投稿者: かな (Jul 16, 2007, 12:00:22 AM)
はじめまして。人生で初めてブログにコメントさせていただきます。
ムギさんの本を読ませていただきました。とても刺激になり、モチベーションがあがりました!
この勢いで中途半端になっていた簿記を勉強し直そう!と思っているのですが、簿記は書いて理解するイメージがあるので、通勤電車の中で勉強するのは難しいでしょうか?
平日は仕事柄残業時間も長く、帰り着くと深夜なので帰ってから勉強は絶対無理です!笑
入社二年目の貧乏社会人なので、できればスクールに通わず勉強できたらなぁと思っているのですが。。。
投稿者: ムギ (Jul 16, 2007, 12:37:33 AM)
nagoさん、
とりあえずです、手に入る仕事の中から、一番興味が持てそうなことをやってみることをお勧めします。
私も、学生時代、まさか38歳の今、こんな仕事をしているなんて夢にも思っていませんでしたから。
ただ、やっているうちに、一番得意で、もうかりそうなことにコツコツ集中していくと、いつのまにか、自分にとって最適な道に進んでいると思います。
触覚を立てている昆虫が、うまくエサの方向に向かうようなイメージですね(笑)。
投稿者: ムギ (Jul 16, 2007, 12:39:56 AM)
かなさん、
正直、通勤電車の中からだけで、独学では、かなり難しいと思います。
例えば、土日のどちらかに火曜とか、あるいは、通信講座を取って、通勤電車の中で聞くとかは難しいでしょうか?
後は、深夜まで残業しなくてすむように、何かできないか、知恵を絞るのも手です(状況がよく分からないので、ここでは具体例は出せませんが)。
基本的には、学校に行ってしまって、無理矢理時間を確保するのがベストだと思います。
投稿者: かな (Jul 16, 2007, 5:49:37 PM)
ムギさん。お返事ありがとうございます。
スクールや通信講座でよいものがないか調べてみます!
よい結果をご報告できるよう自分なりに工夫してみようと思います。(勉強相談になってしまいスミマセン。。)
投稿者: かとちゃん (Jul 21, 2007, 4:21:38 PM)
ムギさんの本はすべて読みました。ああ、すっかり固定層ですね。この前、この本が駅直結のローソンの雑誌コーナーにあった時は驚きました。
私もWM3年目。いろいろ言い訳ばかりする自分にカツをいれつつ、したたかにキャリアのために、勉強する日々です。
ところで、裏の法則(1)は衝撃的です。だって、自分の本だな眺めていると、ほんとにコンプレックスの塊ですもん。
おもしろいですね、これからも期待しています。
投稿者: nago (Jul 27, 2007, 11:24:04 PM)
早速株の本買いました。
そしてナイスなタイミングで明日はフォトリーディングの受講日です★
この受講が僕にとって資産運用の勉強をめちゃめちゃ加速させてくれることを期待しつつ今日は早めに寝ます。
ムギさんのおかげで大学2年生という早い段階で勉強する大切さにきずかせてくれてありがとうございました。
またフォトリーディングの感想を後日かかせていただきます。
投稿者: なるぞう (Aug 20, 2007, 12:28:49 PM)
はじめまして。小2男、年中男の2児の母、わたしもWMしております。
ムギ畑にはずいぶん精神的にたすけられました。
そんなムギさんのキャリア本ですので、くいつきました〜。
息子2人の教育費をおしみなくかけるためにも、自分の老後(かなり不安)のためにも、
なんとか収入をアップさせたいところです!
私はグラフィックデザインの仕事をしていますが、
この職種から英語、会計の勉強で収入を増やす方法を正直思いつけませんでした。
この業界にいたら収入アップは難しいのでは、とも考え、悩みます…。
となると転職!
ムギさんならどのように考えますか?
悩める崖っぷち36歳年女にアドバイスをお願いいたします!
投稿者: ムギ (Sep 17, 2007, 1:25:09 AM)
かとちゃんさん、
コンプレックスを持つのは必ずしも悪いことではないと思います。向上心につながりますから。
ただ、その時に楽ができる夢のような方法を追い求め続けると、はまるのかなぁ、と思います。
nagoさん、
すごい、大学2年生ですか。将来が楽しみです。ぜひ、フォトリーの成果を生かしてください。
なるぞうさん、
現在のお仕事から、まずは英語にすると、お客さんに外資ができるため、報酬が上がる可能性が出てくると思います。
会計は、ビジネスの用語が通じると言うことをクライアントにアピールできればベストかと主増す。
ただ、会計や英語にこだわらず、必要なものをぜひ、勉強していってください。
投稿者: なるぞう (Sep 19, 2007, 5:19:49 PM)
お忙しいムギさん、アドバイスありがとうございます!
会計英語それぞれにやはり勉強するメリットがあるのですね。
ついに英語の勉強をはじめました(^v^)/
会計・英語以外にも必要な勉強、たしかにいろいろありますね。
勉強する習慣をつけて今後自分がどこまで成長できるのか、挑戦してみます!
投稿者: ぶん (Oct 8, 2007, 11:25:22 AM)
遅ればせながら、先日この本を購入しました。
勉強の仕方をここまで丁寧に教えていただいたことがなかったので、とれもうれしかったです。
あまり本に書き込んだりしないのですが、きっと何度も読み返すだろうし、そうなら読みたいページにすぐにたどりつきたいと思い、2回目に読むときにマーカーで線を引きながら読みました。
ところで、本の P150 に書いてある「ほかに役立ったのは、基本例文をひたすら収録してあるテープでした。文例が、バロック音楽にあわせて...」を読み、以前にこういうのをすごく探してましたが見つけられませんでした。
差し支えなければどこで入手可能か、どこから販売されているか教えていただけませんでしょうか?
投稿者: ムギ (Nov 30, 2007, 1:25:00 AM)
ぶんさん
このテープはもう、古すぎて廃盤なのです。お役に立てなくて、すみません。
投稿者: 元木 (Mar 2, 2008, 6:30:51 PM)
はじめまして。
元木といいます。
私は31歳になる平凡なビジネスマンですが、勝間さんのこの本を読んで、ここまで勉強に徹底されている人が居るんだ・・と衝撃を受けました。
人生が違いますので、勝間さんと全く同じ行動は取れないのですが、勝間さんの思想というか根本の部分が「根性論ではなく、勉強の仕組みづくり」なので大変気に入っています。
もっと早く、学生時代にこの本に出会っていれば人生も変わっていたなぁ・・と思いましたが、いま自分に出来る事は何かを考え、それを実践し、より良い人生をおくれるように頑張ります!
投稿者: しみっちゃん (Mar 20, 2008, 7:29:35 PM)
はじめまして。しみっちゃんと言います。
著書をアマゾンで見つけ、書店でぺらぺらと確認下のち買いましたが、目から鱗というべきものがありました。
特に根性やがんばってやるっていうのは長続きしないってことが良く分かりました。
要はいかに自分の生活の一部にするかですよね~。
会社内だけでキャリアアップするだけではなく、社会でキャリアアップする、こんな言葉が似合いそうな本でした。
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