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March 13, 2006

ワーキングマザーが家事・育児に使う時間について考える-少子化対策に必要な施策とは?-

最近、メディアのインタビューを受ける中でよく聞かれる質問として、「ワーキングマザーの問題は?」というのがあるので、私はよく、「まずは、単純に、仕事以外に使う時間が多い人だと思ってください」ということを説明しています。

いったい何の時間が多いのか。それは、家で、一般的な男性よりもかなり長い時間、家事・育児に関わらなければならない、そのために残業や休日出勤に限りがある、ということです。

簡単な試算をしてみました。結論から言いますと、ワーキングマザーが家事・育児に使う時間の合計は、常勤の男性社員が超過勤務をする時間の合計とほぼ同じくらいということになります。

だいたい、平日に行う家事時間が以下の通りです。

・食事に関わるもの-朝食の支度、皿洗いなど、合計45分くらい
・洗濯、掃除、インコの世話、ゴミ捨てなどの家事-合計30分くらい
・子どもの支度や学校のプリント管理、宅配物の管理-合計15分くらい

そうすると、合計1.5時間くらい。私は夕食の支度など、家事のヘルプをシッターさんにお願いしているので、1時間くらい、普通のWMより短くなっていますので、それも合わせるとだいたい一般的には2.5時間くらいでしょうか。

また、週末特有の家事は下記の通りです。

・生協の注文、スーパーでの食材のまとめ買い、合計30分くらい
・家の片付け、衣類の買い物、学事その他雑用、合計2時間くらい
・家族の食事を作って、片付ける分、1時間半くらい

すると、週末は4時間になります。

合計すると、2.5時間×5日+4時間×2日=20.5時間/週

このほかに、だいたい1ヶ月に1回から2回、学校関係の行事が入って、半日から1日、時間が必要になります。

すると、1ヶ月で20.5時間×4週間+1日で、月に82時間+1日ですから、ちょうど、1ヶ月を集計すると、ワーキングマザーの家事・育児時間というのは、多くの常勤社員の人が超過勤務をするのと同じくらいの時間になります。

そうすると、ワーキングマザーにとって、家事・育児に加えて、さらに男性並みの超過勤務をすると言うことは、過労につながりますから、もともと物理的に不可能なんですね。もちろん、アウトソースもある程度までは可能ですが、同居でない限り、月に20~40時間がいいところでしょう。

したがって、よく、女性の社会進出と少子化の問題をどうとらえるか、と言う話がありますが、私が痛感するのは、女性にとって必要な施策は、「ワーキングマザーを優遇して時短を認める」施策ではなく、「職場全体の平均的な社員が超過時間勤務を必要以上にしなくても動く職場」ではないかと思っています。

なぜなら、ワーキングマザーだけ時短を認めると、結局、いわゆるキャリアのパイプラインから外れることを意味しており、しかもその期間が子育て間10年以上は続くことを考えると、結局、抜本的な解決策にはならないからです。

もちろん、企業側も、そのような施策が一朝一夕にはできないことは理解していますが、業務フローの徹底した効率化や、無駄な会議の廃止、徹底した成果物主義などを取って、企業のトップがしっかりと指向すれば不可能な施策ではないと考えています。

少子化対策は万能薬はなく、これまでのいろいろな社会のバランスでできているものを少しずつ変えていかないと抜本的な解にたどり着かないと思っていますが、一つの解としては「労働生産性の向上」が必要だと言うことを痛感しています。

男女とも、会社で無駄な残業をやめて、家事・育児に使える時間を増やす、そのような仕組みを提案していきたいと思います。

2006 03 13 [2.実体験観察から] | 固定リンク

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受信: Mar 25, 2006 12:03:21 AM

コメント

投稿者: サワコ (Mar 14, 2006 11:36:31 PM)

大学時代の恩師が当時から言っていたのが、女性の社会進出に必要なのは、「オトコもオンナも女性並みに働くこと」。

要するに、生産労働は男女とも8時間で、残った時間はやはり、男女とも再生産労働にあてなさいという主張。

男女雇用機会均等法後の、改正労働基準法などで、世の中の流れは「オンナもオトコなみに働け」になってしまって、子育てについてのコスト負担の重圧がより強くなりました。

かつてフランスで少子化が深刻になった背景をそのまま繰り返しているようです。
フランスは対策が当たって出生率が向上したようですが、なぜ先人に学ばないんでしょうかねえ。。。。わが国は。

投稿者: ずぼらでgo! (Mar 15, 2006 2:23:30 PM)

2.5時間プラスというのは、まさに、と思いますが、それも普通の状態で、という但し書きつきのような気がします。それに加えて突然の子供の病気、またはそれほどじゃないけど、夜泣きが続く、とか、そういうのが時間的にも精神的にも負担にもなっているような…。まあ子供を持つまで予想してませんでしたので。

>「職場全体の平均的な社員が超過時間勤務を必要以上にしなくても動く職場」
全く同感です。

投稿者: カワマリ (Mar 17, 2006 1:13:15 AM)

>「職場全体の平均的な社員が超過時間勤務を必要以上にしなくても動く職場」

同感です。最近全く同じことをWMの先輩である上司(管理職)と話していたところでした。その方が、人生充実すると思うんですけれどね。

我が社では最近、活躍を期待される若手女性(20代~30代のことですが)が次々と妊娠していくこともあり、即戦力として使いにくいという、人事にとっては頭の痛い問題が発生しているようです。ただ、問題なのは、長時間労働をしないとこなせない仕事の分配なのであって、ワークシェアリングをどうするか、で解決するような問題だと思っています。妊娠中(産休中)のWM予備軍及び職場復帰後のWMは、見ている限り、やる気もあり優秀なので、単に他の人より勤務時間が短いだけで、よっぽどだらだら残業のオジサンより使えると思うんですけれどね。

ただ、それには・・・

>企業のトップがしっかりと指向すれば

やっぱり、これに尽きるわけです。組織批判はあまり好きではないのですが、内部からどんないい意見が出ても、それを吸い上げて実行できるトップがいるか、いないかで、また変わってくるのだということを、痛感している毎日です。

投稿者: ムギ (Mar 19, 2006 4:04:24 PM)

サワコさん、ずぼらでgo!さん、カワマリさん、コメントをありがとうございました。

そうなんです、やはり仕事中毒からの脱却、もっと働かなくてもいい社会、というのをつくろう、と声を上げた方がいいのかと思います。

時間・余裕があれば、子供だって産むし、子育てだってします!!

ひとりひとりがそういう意識をもつだけで、かなりかわると思います。

できることをコツコツと訴えていきたいと思います。

投稿者: koko (Mar 21, 2006 5:40:02 PM)

はじめまして。
興味深く拝見させていただいています。

今の私が一番大変だと思っていることは、実は夫の世話です。
夫が家事を何もしないということではありません。
毎日のように帰宅が深夜になり、
帰ってきてから食事をしたりお風呂に入るため、
私の家事が二度手間になっているということです。

毎日必ず深夜の帰宅と決まっているわけでもなく、
作り置きできるメニューはどうしても決まってくるので、
必然的に夫が帰宅してから食事を準備することになります。
そうしないと夫は食事をとらないと思いますし、
ただでさえ痩せているのに体をこわしてしまいます。
遅くまで働いてきた夫に家事をさせるつもりはありませんが、
夫の帰宅が遅くなると、私の睡眠時間も短くなってしまいます。
食事の用意、後片付け、風呂掃除。
夫の帰宅がせめて週の半分でももっと早ければ、
家事の手間もその分、少なくなるのにと思います。

また、保育所や放課後に子どもたちが過ごす施設の整備を進めているようですが、それは女性に「仕事もして子育てもひとりでしなさい」と言っているようなもので、これで少子化が解消されるとは全然思いません。
PTAの運営も、女性の社会進出がこれだけ進んでいるにもかかわらず、まったく考慮されていないようです。

ムギさんがおっしゃっている、
「職場全体の平均的な社員が超過時間勤務を必要以上にしなくても動く職場」
私も切に望んでいます。

投稿者: ルミママ (Mar 24, 2006 11:47:48 PM)

初めてコメントします。
最近私も職場で同じようなことを話し合っていたところだったので、すごく共感しました。

いくら時短が認められたところで、比較対照となる同僚が時間外労働をめいっぱいして数字をあげている状況では、WMの業務成果は全くといっていいほど評価されません。同じように働いているのに・・・という思いもあって、私自身は時短の枠組みを外して同じ土俵で働くことを選択しました。思う存分残業できる同僚と競うのはもちろん容易いことではありませんが。

WMに時短や優遇措置を認めたからといって、少子化防止にはつながらない---背景にある女性の気持ちをもっと社会に認識してほしいものです。

投稿者: ムギ (Mar 27, 2006 10:56:21 PM)

kokoさん、こんにちは。

わたしも昔は深夜残業をよくしていたので、仕事をしたいというご主人の気持ちもわかりますが、そうやって残業時に面倒を見てくれる人がいると、ついつい残業をしがちになってしまうような気がします。

一度、もし機会があったら、たいへんなのでもう少し早く帰れないか、あるいは自分の支度だけでも自分でできないか、と交渉余地はあると思いますが、どうでしょうか?

いずれにせよ、みんなでもっともっと、長時間働かないようにしたいですね。

投稿者: ムギ (Mar 27, 2006 11:25:10 PM)

ルミママさん、こんにちは。

枠を外したという決心、これからいろいろたいへんだと思いますが、ぜひ、できる範囲のことをがんばってみてください。

がんばりすぎると、まぶたがぴくぴくしたりしますので、そういうときはぼーーーーっと休んでくださいね。

とにかく、ながら、ながらでいきましょう。

投稿者: Nolly Chang (May 19, 2006 1:08:11 AM)

はじめまして。

とても共感します。
WMが育児家事をこなしつつ他の社員と同等に働くことは、精神的にも肉体的にもきつい。
かといって、3年間の育児休業やら時短勤務、責任のない仕事につくことは、キャリアの妨げになる不安。
これから産む人にとっても、仕事か子供か?という選択肢がちらつく現状の制度は少子化をすすめるだけだと思います。
男性ももっと休むべきですね。男性の育児休業を推奨するより、全体の残業を減らすほうがいい。
夫が早く帰ってきて育児や家事に参加するほうが、女性は心強いと思います。

投稿者: ムギ (May 27, 2006 6:53:43 PM)

Nolly Changさん、はじめまして。

コメントをありがとうございました。

あとは、もう少しシッターサービスや家事アウトソースが進んでくると、働く女性も楽かな、と思います。

とにかく、もっともっと、みなでうまく仕組みを回していきたいですね。

働き過ぎの社会は、よくないです。

投稿者: Pengzi (Jun 1, 2006 12:12:46 PM)

こんにちは。はじめまして。
非常に興味深く拝見させていただきました。

このくだり

>女性にとって必要な施策は、「ワーキングマザーを優遇して時短を認める」施策ではなく、「職場全体の平均的な社員が超過時間勤務を必要以上にしなくても動く職場」

とても共感します。

今上海に住んでいるのですが、中国(上海)は、男性は家事をするものですし、男女両方が定年まで働くそうです。残業は会社の判断としてやむを得ずするもの、という考え方が一般のようです。

それらを総合的にみると、仕事や家庭のあり方と会社で求められる働き方が適合し、うまく誰でもある程度仕事と家庭のバランスをとって生活できる仕組みができていると感じています。

投稿者: ムギ (Jun 10, 2006 1:36:40 AM)

Pengziさん、こんにちは。

そうなんです。とにかく、あんなに残業して、国全体で創造性が育つわけありません!!

国力の回復は残業の削減から、とまじめにおもっていますが、どうでしょうか?

本当に、他国をもっと見習いたいです。

投稿者: Pengzi (Jun 10, 2006 8:32:00 PM)

ムギさん、こんにちは。

中国ほどのスピードではないにせよ、戦後の日本が40年ほどでGDPを瞬く間に伸ばし通貨の価値を上げ、その結果一般に生活は平準化され豊かになりましたが、その必死の努力の反面、経済一辺倒の生活スタイルができあがってしまった気がします。例えば人が家庭ですごす時間、政治に関与する時間、モノをじっくり楽しむ時間、モノを買わないで楽しむ時間、近所の人とおしゃべりをする時間、等等がカットされていったように思うのです。

こういう仕事以外の時間を個々人が持てないうちは、なかなか個人が深化しないです。創造性による国力の回復という視点で考えると、企業が吸い上げている時間を従業員に返すことかもしれない=残業削減、と私も思います。

投稿者: ムギ (Jul 27, 2006 12:49:46 AM)

Pengziさん、こんにちは。

いや、本当にそうだと思います。時間の考え方に対するパラダイムを変えるタイミングなのでしょうね。

今、そういう本を書こうかなぁ、なんて思っています。

投稿者: Pengzi (Jul 31, 2006 4:45:40 PM)

ムギさんこんにちは。

是非本を書いてください!こういう話は非常に伝え方や声の上げ方が難しいと感じます。

それに、以前Clientに「○○コンサルとか有名なところが(レポートを)書いたんだったらみんなが嘘じゃないと思うし、社内でも通るのだけれど、個人だとね・・・。」というような話しを聞きましたが、それは社会において、多分ごく普通の考え方だと思いました。いくら何かを考えて、それがもしかしたらよいことなのかもしれなくても、公でいろんな立場の人に納得して聞いてもらえるようになるまではそれなりの時間や人徳や誰もがうなずく背景が必要だと思います。

残念ながら現時点で冷静に自分を見つめると、こういう話題を周囲が納得するように伝えることができないのではないかと思っています。もちろん一個人の小さな声として地道に積み上げることはできますが、インパクトはゼロに近いかもしれません。自分を悲観しているわけでも投げ出しているわけでもありませんが、ムギさんのような方が時間の考え方に対するパラダイムについて本を書いてくださったらとても嬉しいです。

投稿者: よねっち (Feb 11, 2008 10:36:23 AM)

同感です。

確かムギさんの本で読んだと思うのですが、
日本人は他の先進国に比べて生産性が低いそうですね。
仕事の効率を上げて残業を減らすにはどうすれば良いか、考え始めたところです。

投稿者: かめぞう (Feb 27, 2008 9:42:11 AM)

はじめまして。初めてコメントさせていただきます

私は現在育児休暇中ですが、同僚が家に遊びに来たときなどかなりブルーになってしまいます。
 私の仕事はそれほど責任もなく残業もない、どちらかというとお気楽なものです。でも彼女達はそれで月何十万か貰え、自分で家賃や食費を払って生きることができます。
 私は24時間休みなしに働いているのに一銭も出ない、スーパーでだいこんを買うにも夫に「買ってもらう」生活です。
 生む前から覚悟していたつもりでしたが、何をするにもお金がいるこの社会で無給の(=評価されない)労働をするというのがどれほど自尊心を削られるかはやってみないとわかりませんね。
しかも上司も同僚も夫も育児中の女性は仕事がないのでのんびりごろごろしているとでも思っているようで、家事くらいやっとけ、掃除くらいしておけ、などととよく言われます。

 私の周りではまず、子育ては大変だ、慢性寝不足の重労働だという認識を育てることからはじめないといけないようです

投稿者: comatta (Feb 29, 2008 6:34:58 AM)

初めまして、ムギ様

私の職場は9割が男性で
女性は未婚の30代しかおりません
(私は40代)
自宅から通ってきている人も多い、そんな環境です

私を取り巻く状況は
子供が2人(保育園と小5)、夫単身赴任中
実父が施設で介護中で通院介助を
しています

残業をいくらしても終わらない仕事
土日出社を望む上司
週に一度の割合で
定時後から始まる会議や大掃除、イベント、などなど

仕事以外のグチはこぼさぬが信条にしておりますが
さすがに身もココロも病みそうでしたので
先日は上司に
仕事以外に子育てと介護で
これだけ大変だということを
詳細にわたって訴えてみました

結局、職場の環境が早急に改善されるとは
考えにくいので
辞めることにしたのですが
上司は、気をつかってくれるようになりました

毎日、ウンチを拭いてやって
「お母さん、行かないで~!」と泣かれ
「もうそんな仕事辞めてほしい}とせがまれ
朝洗濯物をを干してから
会社に駆け込む…
夜は夜で、保育園の園長に毎日、お迎えの遅刻について
しかられる…
などなど、自分で聞いていても
ウンザリするような話をして
やっと上司が気を使う程度
この国のオジサン改革の道は険しいです

仕事の内容も、同僚もとても気に入っているので
辞めてしまうのは、非常にもったいないのですが
残念です

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