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February 25, 2006
「インディでいこう!」の出版を通じてわかった「無名著者」の本をベストセラーに押し上げる方法(仮説)
今回は、1月18日に私が出版した書籍、「インディでいこう!」の出版、販売を通じて感じた、無名著者の書籍販売のたいへんさと、それでも本を売るための方法論についてまとめていきます。
無名著者の本がめでたくベストセラーに運良くいたるプロセスは、以下をたどるのではないか、というのが私の観察です。
ステップ1-とりあえず、最初は身内または知り合いからしか売れない
↓
ステップ2-その知り合いからの口コミや店頭で、たまたま見かけた人が少しは買う
↓
ステップ3-運良くメディアに取り上げられると、メディアを見た人が興味を持ちはじめる
↓
ステップ4-メディアで見た人の引き合いが多くなり、ようやく書店側が気づき始める
↓
ステップ5-めでたく、書店で少しは目立つ場所におかれるようになる
↓
ステップ6-ステップ3に再び戻り、好循環が始まってめでたくベストセラーとなる
そして、課題は、ほとんどの本がせいぜいステップ2でとどまって数千部しか売れず、また、ステップ3が起こっても、ステップ4や5に至るまでにいかない、結果、ステップ6の好循環が始まらないことではないかと思います。
今のところ、「インディでいこう!」はステップ3とステップ4の間をうろうろしているところです。今月、来月くらいにはなんとかここを乗り越えたいというのが私の野望です。
さて、もう少し、一つ一つのステップについて詳しく説明していきます。
ステップ1-とりあえず、最初は身内または知り合いからしか売れない
これは当たり前といえば当たり前ですが、自分に置き換えても、どんな内容でも、知っている人が本を出したと言ったら、とりあえず、手に取ってみたり、安価だったら買いますよね? そう、内容は極論すると、どうでもいいんです。とりあえず、知り合いだから買います。そして、知り合いだから、宣伝してくれます。
ステップ2-その知り合いからの口コミや店頭で、たまたま見かけた人が少しは買う
知り合いの人は、買った後で、そのまま黙っているかというと、一応、ターゲットユーザーに近い人に勧めるはずです。また、そんなに目立つところではありませんが、少しは書店にも配本されますので、たまたま書店で眼にした人は、買ってくれるわけです。
だいたいここまでで数千部いくかいかないか、というところでしょうか。そして、多くの無名著者の新刊は、ここで終わるわけです。
ステップ3-運良くメディアに取り上げられると、メディアを見た人が興味を持ちはじめる
ステップ2で終わっては、出版社も、著者も大赤字です。だから、なんとかして、メディアに取り上げられてもらうことが大事です。メディアは昔はマスメディアしかありませんでしたが、最近は運良くブログ、という別のメディアもあります。
また、メディアでの取り上げられ方も、書評や記事で取り上げられるのが最高ですが、いざとなったら、広告記事でも、何でもかまいません。とにかく、「その本が世の中にある」ということを、認知してもらいます。
ちなみに、一番いい方法は、出版社から聞いたところ、「著名な芸能人が推薦してくれること」だそうです。例えば、セカチュウなんかはその経路でしたね。
ステップ4-メディアで見た人の引き合いが多くなり、ようやく書店側が気づき始める
本屋にとっては、すでにベストセラーになった本、あるいはベストセラー作家が出した本は1日大きな書店では100冊単位で売れていくので大きなスペースを割きますが、売れ筋になるかどうかわからないような無名著者の本は、決して店頭入り口に近いスペースに平積みなんかしてくれません。
出版社ももちろん、それぞれの本をプッシュしますが、どの本を宣伝するかは書店の判断にかかってくるわけです。
そこで大事なトリガーは、「店にきたお客さんが、△△に紹介されていた○○はありませんか?」と尋ねにきてくれることです。それも、一人、二人ではなく、たくさんの人が。
書店は出版社の話は話半分しか聞きませんが、お客様の引き合いには、とても敏感です。
ステップ5-めでたく、書店で少しは目立つ場所におかれるようになる
ここまでいけば、本が一定以上のレベルにあれば、なんとか売れるようになります。どうしてか。本好きの人の人口密度が一番高いところはどこか。はい、当然、本屋さんです。どんなメディアも、書店での目立つ場所にはかないません。
書店のベストセラーコーナーや新刊コーナーに平積みされれば、本好きな人がとりあえず、手にとってぱらぱらと見るわけです。
ちなみに、ベストセラー作家がうらやましいのは、ステップ1-4はとばして、いきなりステップ5から入れることです。うらやましいです。
ステップ6-ステップ3に再び戻り、好循環が始まってめでたくベストセラーとなる
一度売れてしまえば、また別のメディアに取り上げられる機会も増えます。アマゾンの上位に入れば、アフィリエイト狙いでリンクを貼っている人がたくさんいますから、勝手に宣伝も増えていきます。そして、また次の人が買っていくわけです。
ここまでできて、ようやく10万部の大台に乗る、というところでしょう。私も努力して、「インディでいこう!」はこの段階まで、育てていきたいと思っています。
というわけで、ぜひ、このブログを読んだ皆さん、とりあえず、書店に行ったら買わなくていいですから、レジで「インディでいこう」はどこにありますか、と一声おかけください!!
2006 02 25 [2.実体験観察から] | 固定リンク
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インディでいこう!
ムギ(勝間 和代)
ディスカヴァートゥエンティワン 2006-01-18
インディというのは、著者の造語だそうですが、自然体で自立した人生を歩む女性のことだそうです。
インディの条件が3つあ... 続きを読む
受信: Feb 27, 2006, 12:50:18 PM
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なぜなら今日はお財布忘れたから。サザエさんかおれは。明日ちゃんと買います。 尊敬... 続きを読む
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基本的にスポーツ観戦はしない。 もともと育った家にその習慣がなかったことと、男兄 続きを読む
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このまったく機械おんちの私がブログを始めたのも、
『インディでいこう!』
という本に触発されたからである
将来漠然と、結婚して子供を産んでからも、社会に出て貢献したいなぁとずっと思っていた私にとって、この本との出会いは本当にうれしいものだった
作者の勝間さんは、
人に依存せず、十分な経済力を持ち、自然体に生きる女性(=インディ)
になるために、自分のブログを開設することを一つの条件に挙げている。
私も自分のブログを通�... 続きを読む
受信: Mar 11, 2006, 12:32:08 AM
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今日は、いつも拝見させてもらっているブログ「日々の生活から起きていることを観察 続きを読む
受信: Mar 21, 2006, 9:29:46 PM
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『インディでいこう!』という本を読みました。著者はムギ(勝間 和代)さん。
この本を知ったきっかけは著者のブログ『日々の生活から起きていることを観察しよう!! by ムギ』や『CD、テープを聴いて勉強しよう!! by ムギ』(他にもあります)を私がよく読ませてもらっているからです。
ブログの普及で多くのビジネスマンが経済系のブログを解説しているのでしょうが、彼女の文章は分かりやすくテーマも身近なものが多いし、かつ事象�... 続きを読む
受信: Apr 19, 2006, 6:11:14 PM
コメント
投稿者: オペラ好き (Feb 26, 2006, 12:00:13 PM)
どんな商品でもそうでしょうが、特に本は「出合った!」という感じで買うことが多いですよね。読み手としてもいつも探しているのにお気に入りの本にはなかなか出合えないものです。
ただ本の場合、ステップ2の段階に図書館の購入分を加えて何とか採算に乗せる、というものが結構多いのではないでしょうか。(雑誌などでは全国の図書館すべてにはいるようなものになるとそれだけで3万部は確実と聞いたことがあります。)
ちなみにあるオペラに関する本に1章だけ書いたときは、ギャラはなんと2万円ありませんでした・・・・もちろんそれで食ってるわけではないので(というより趣味の延長で書いたようなものなので)かまわないのですが、出版業界はわりとそういう著者がたくさんいて成り立っているように思います。自費出版がたくさんあるように本を出したい人はいっぱいいるので、出版社は著者にはあまり払わず(コンテンツはほとんど著者が作ってるわけですから、印税10%ってすごい少ないですよね。)成り立たせているのではないでしょうか。
で、インディでいこう!、私は30代独身男性なのですが・・・ぜひ読んでみようと思いました。
投稿者: ぱとりしあ (Feb 26, 2006, 7:32:40 PM)
「インディでいこう!」拝読いたしました。
私はアマゾンで購入しました。
ムギさんの分かりやすく、納得しやすい文章に引き込まれてしまいました。
インディの定義が明確で、よい男ってとこ以外は、実現しやすいところが良かったです。
いきなりミリオネーゼを目指しましょう、起業しましょうと言われても。。って思う働く女性は多いと思います。
ご著書の最後にあった、「おまけ」をぜひ活用させていただきたく、今内容を考えています。
どうぞよろしくお願いいたします。
投稿者: jalan (Feb 27, 2006, 1:00:37 PM)
amazonで購入しました。
私自身が仕事をしてきた中で感じていたことがそのまま上手に表現されていて、たくさんの方に読んでいただきたいと思いました。
微力ながら、私のブログで紹介させていただきましたので、ご挨拶がてら書き込ませていただきました。
投稿者: カーマカメリオン (Feb 27, 2006, 11:05:20 PM)
立ち読み愛好家です。
初め何で目にしたか忘れましたが、このページをお気に入りに登録してありました。
何ヶ月か後の、最近、朝日新聞にてムギさまの記事を発見
本を出されたことを知り、翌日たまたま入った本屋(吉祥寺)にて、”平積み”になっていた!「インディ・・・」を買いました。
自分のことをラッキーだと思います。
(簡潔で判りやすいのが、素晴らしい)
ちなみに、知人に推薦しました。
投稿者: ムギ (Mar 5, 2006, 10:06:44 PM)
オペラ好きさん、こんにちは。
そうなんです、採算度外視で書く著者がいる限り(含む自分)、もうからないんですよね。
というか、やはり、本はメディアであって、よほど運がよくないと、もうけ口にならないのでしょう。
とりあえず、第一弾なので、いろいろとテスマをしてみるつもりです。
ありがとうございました。
投稿者: ムギ (Mar 5, 2006, 10:16:57 PM)
ぱとりしあさん、jalanさん、カーマカメリオンさん、こんにちは。
インディでいこうの購入ありがとうございました。その上、さらに、周りの方に推薦くださったとのこと、本当にありがたいです。
私もまだまだ未熟なのでコツコツととしか学べませんが、本でいろいろと恩恵を受けていますので、本という形でこちらが受けた恩恵をまた返せればいいな、と思っています。
そのうち2冊目、3冊目もコツコツ書いていきたいと思いますので、これからもよろしくお願いします。
投稿者: メセニ (Mar 15, 2006, 11:33:18 PM)
以前、メルマガで相互紹介をお願いした メセニです。
ご無沙汰しています。
本を出版されたんですね。
サクッと執筆できるところが、さすがムギさんですね。
私も早速読ませていただきます。
最近は、みなさんネットつながりを活用して、しっかりプロモーションされるようですが、ムギさんはそういう動きは取らないんですか。
たとえば、この方は、「取れる手法は全部やりました」っていう勢いでキャンペーンしていましたね。
http://coaching-m.co.jp/amazon.htm
ステップ3あたりでしょうか。
投稿者: あおぞら (Mar 21, 2006, 9:30:24 PM)
こんばんは。遅ればせながら拝読させていただきました。
私が買ったのは半蔵門駅の上にある書店で、棚に立てかけで陳列されていました。入り口付近の目立つ所に置かれていましたよ。
男性にとっても考えさせられる内容で、特にインディになるためのステップが分かりやすく具体的に書かれているのが印象的でした。
僭越ながらブログで紹介させていただきました。言葉足らずの文章なので、ムギさんの思いと相違する所がありましたらご指摘いただければ幸いです。
投稿者: ムギ (Mar 27, 2006, 11:21:08 PM)
メセニさん、こんにちは。
あーーー、やらないといけないのですが、じみーーーにやっています。というか、オフラインでのメディアでの宣伝が中心です。
オンラインももう少しやったほうがいいですかね。とはいえ、店頭にも必ずしも置いていないこともあるので、なかなか悩ましいです。
とりあえず、増刷はかかったようなので、こつこついこうかと思っています。
ぜひ、口コミ協力、よろしくお願いします。
投稿者: ムギ (Mar 27, 2006, 11:23:17 PM)
あおぞらさん、こんにちは。
ブログでの紹介、ありがとうございました。(装丁はともかく)地味な本ですし、皆さんがブログで宣伝していただくのが、ほんとうにありがたいです。
また違う本や続編も、こつこつとまとめていきたいと思いますので、これからもよろしくお願いします。
投稿者: Tokky (Apr 2, 2006, 10:20:41 PM)
ムギさん、はじめまして。
WSJで紹介されてしばらくたった頃、大学のゼミの先輩(ムギさんと同期生)にムギさんのことをお伺いし、ムギさんのブログなどを拝見するようになりました。私は、ゼミの7期生になります(32歳会計事務所勤務です)。
簡潔でわかりやすい文面、さらに豊富なアイディア力と知性を感じます。少しでも真似できるところからして行こう、ということで、CD学習・読書を開始しています。ブログも早く始めないといけないですね!
「インディでいこう!」は、Amazon.comで購入してしまいました。何の面識もないのに、会社の仲間(女性陣)や彼に、「ゼミの先輩にこんなすごい人がいるんだぞー。」と自慢させていただいています。残念ながら、有名人の知り合いはいませんが(笑)、非力ながら、今度、本屋さんで「インディでいこう!はどこにありますか?」と聞いておきます。
まだシングルですが、ぼちぼち結婚・出産を考えたいと思っており、今後とも宜しくお願いいたします。
投稿者: ムギ (Apr 12, 2006, 11:31:37 PM)
Tokkyさん、はじめまして。
Kゼミの後輩ですか!! そういっていただけると、うれしいです。また、本についても気遣っていただいて、ありがとうございます。
本当にK先生にはお世話になりました。いい先生ですよね。いまも、K先生のアドバイスで、某ファイナンス系の大学院に通っているところです。
ゼミのOB/OG会もぜんぜん顔を出していないので申し訳ないです。
ぜひ、大船に乗った気持ちで(笑)、どんどん出産にもチャレンジしていってください。
また遊びに来てください!!
投稿者: emmy (May 11, 2006, 1:39:46 PM)
ムギさん、はじめまして。
「インディでいこう!」拝読しました。
共感できる内容で、ムギさんに興味を持ち
初めてHPを観ました。
私がこの本を購入したきかっけは、アマゾンから
推薦メールがきたことによります。
ミリオネーゼシリーズ、洋書をよく買ったりして
いたからのようです。
本はほとんどアマゾンから購入しています。
早速、読者感想書き込みますね。
この本に出会えて、幸運です。
フリーでファイナンシャルプランナ、翻訳をやっておりますが
家庭との両立なので、のらりくらりやってました。
インディの条件、クリアできるよう覚悟ができたところです。
ありがとうございました。
今後のご活躍も期待しております!
投稿者: ムギ (May 27, 2006, 6:51:09 PM)
emmyさん、こんにちは。
本の購入、ありがとうございました。そういってくださると、大変うれしいです。
普段、私も日々の仕事に埋もれてしまうので、ブログや書籍でしかいろいろなメッセージを送ることができませんが、それで、一人でも多くの人が、行動が楽になるといいなぁ、と思って続けています。
これからも、ぜひ、また遊びに来てください。
投稿者: 杏仁 (Oct 20, 2007, 6:28:01 PM)
ムギさん、はじめまして。
丸の内キャリアセミナーのお知らせでムギさんのことを知り、
「なんてすごい経歴の持ち主なんだ!」と思って早速本を手に取りました。
しかも同じ大学、同じ女性会計士…早くも人生の目標になってます☆
インディの要件、年収については近々クリアできそうです。
勉強も少しずつ、頑張っています。
現在は「いい男」について、別れるかどうかすごく悩んでいます。
こればかりは、自分ひとりが失敗して済むことじゃないですから...。
とにかく、今月末の講演会楽しみにしています!
女性会計士の同期5,6人で伺う予定です♪♪
残業ありませんように!
投稿者: ムギ (Nov 30, 2007, 1:26:46 AM)
杏仁さん
会計士仲間ですね。講演会、いかがでしたか? またぜひ、違う機会にもお会いできますように。
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