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November 07, 2005

"The 50 Women to Watch 2005"から考えた、ニュースの4つの法則

WSJ

今週は、一つのニュースフローがどのように伝播をしていくのか、10月31日付のウォールストリートジャーナル誌"The 50 Women to Watch 2005"に選出された件から身をもって体験しましたので、記憶が新しいうちに、その流れを記録し、意味合いを考えていきたいと思います。

今回の経験から、私は下記のニュース4つの法則をまとめました。

法則1. 1次情報の時点でそのニュースを知る人は非常に少ない
法則2. 情報の規模と伝播のスピードは、その後の大手メディア→大手メディアによって決まってくる
法則3. ほとんどの人は、1次情報には戻らずに、手に入った情報のみで判断する
法則4. みな、情報の解釈は自分のフィルターを通して行う

以下、順番に説明していきます。

法則1. 1次情報の時点でそのニュースを知る人は非常に少ない

まず、一つのニュースの起点となる出来事やニュースがあった場合、その情報に直接触れている人は、例えば今回のニュースについて、数パーセントの人もいないのではないかと思います。なぜなら、WSJの当日には、合計で10人弱の人からしか声をかけられなかったからです。

ニュースの伝播について、分類すると下記になるのではないかと思います。

(1) WSJそのものを読んだ人 ・・・ 1次利用
(2) WSJの記事をメール等で流したものを読んだ人 ・・・ 1.5次利用
(3) WSJの記事が別の大手メディアでニュースになったものを見たり、読んだ人 ・・・ 2次利用
(4) WSJの記事が別の大手メディアでニュースになったものを、さらに伝聞で見た人 ・・・ 2.5次利用

以下、参考まで、各段階での情報で現在手に入るオンラインのリンクを紹介します。

1次情報
WSJのプレスリリース

2次情報
モーニングサテライトニュース
朝日新聞
Yahoo!ニュース-時事通信
日経新聞

そして、1次情報や2次情報の度に、メールやブログ、口コミが飛び交って、情報として流布されるわけです。このことで、数十万人、数百万人に知られたニュースになっていくことになります。

法則2. 情報の規模と伝播のスピードは、その後の大手メディア→大手メディアによって決まってくる

このエントリーを読んだ方、ぜひ、どの段階でこのニュースを知ったのか、思い出してみてください。おそらく、2次情報、あるいは2.5次の時点で知った方が一番多いのではないかと思います。

そうなんです。マスメディアはだいたい数百万~数千万人への影響が最大でありますが、まずWSJに載り、それが日本のマスメディアの人の目に触れてまた増殖をし、という繰り返しで、大手メディアをハブとして、その影響力が及ぶ範囲の人に広がっていくわけです。

10月31日にWSJに載り、11月1日~11月3日にかけて、ポータルや新聞を中心とした日本のメディアで流れていくことで、初めて一般的なニュースとして広がっていったと考えています。

ちなみに、Yahoo!のニュースに載った当日、ニュースにこのブログへのリンクが貼られたため、アクセス数はその日だけで、2万を超えました。通常は1日、500~700前後ですから、ニュースとして、ものすごい伝播力があったのだと思います。

もう一つおもしろいのが、去年と今年を比べて、なぜ今年の方が扱いが大きかったのかと言うことを考えたのですが、
・去年は1人(林文子さん)だけだったのが、3人と目立った
・同時にフォーブスの選出もあった
・小泉チルドレンやマドンナ旋風など、女性の活躍に目がいきやすい地合であった
ということが背景にあったのではないかと思っています。

法則3. ほとんどの人は、1次情報には戻らずに、手に入った情報のみで判断する

また、このようなプロセスで情報が広がるため、ほとんどの人は、1次情報は読まないはずです。したがって、"Women to Watch"というのはそもそも、何を目的として選ばれたのか、選出理由はなんなのか、どんどん情報が漏れていくのです。

とにかく、人の記憶に残るのは、「どうやら、日本人が3人選ばれたらしい」で終わります。半分くらいのニュースフローで、選出の理由である「ムギ畑」が抜けていっているのがいい証拠ではないかと思います。

法則4. みな、情報の解釈は自分のフィルターを通して行う

最後、一番おもしろいのが、そのニュースを受け取ったときに何を考えるか、ということです。

当たり前と言えば当たり前なのですが、「そのニュースは自分にとって何を意味するのか」と言う形で、自分の考えを写すフィルターとしてそのニュースを利用するように感じています。

ニュースを見たあと、大事なのは、そのニュースをどのように解釈をして、自分の考え方や行動と比較をして、あるいはそのニュースの人物と自分の関係を思い出し、次のステップにつなげるわけです。

したがって、法則1~4を通じて大事だと考えたのは、以下の2つでした。

大事なことその1-いかにして、情報の伝達プロセスの際にニュースの内容の減価を防ぐのか

伝聞になればなるほど、最初のニュースに比べると不正確になっていく可能性があるわけです。

その意味で言うと、文字情報というのは大変優れたメディアでして、コピー・ペーストをしても内容は減価しないという特徴があります。

また、映像や音声は、短時間に大量の情報を人に流せる、という特性があります。

文字・映像・音声の組み合わせバリューがやはり必要なのでしょう。また、必要なことを軸を踏まえ、相手にわかりやすいようにしっかり伝えていかないと、メッセージは確実に減価すると思います。

大事なことその2-いかにして、情報の伝達プロセスのステップを減らすか

こちらは、大事なこと1とは軸が違うのですが、ブログやインタビューなどで、何か伝えたいメッセージがあった場合には、繰り返し、繰り返し、1次情報を伝達していく努力、というのが必要なのだと思いました。つまり、減価は必ずするので、減価をしない1次情報を、いろいろな形で発信し続ける必要がある、ということです。

今回、いろいろな形で「ムギ畑」が取り上げられたのは大変名誉なことですが、実際、私もあまり積極的には広報活動をしてきていないので、これを機会に、もう少し見直しをかけようかと思っています。

ぜひ、身の回りに子供を持っても働き続けたい女性がいらっしゃる場合には、「ムギ畑」をご紹介ください。

2005 11 07 [2.実体験観察から] | 固定リンク

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コメント

投稿者: めりーべる (Nov 7, 2005, 6:11:33 AM)

遅ればせながらおめでとうございます。

私自身は、ムギさんのもう一つのブログで知りました。
自分のポリシーとして原典(一次情報)にあたることにしていますが(ムギさんが書いているように、原典と違うニュアンスで伝えられることが多いので)、今回は原典が英語だったので断念してしまいました。私の英語力だとどのへんに書いてあるか、から探さなければならないので。

一次情報が日本語かどうか、によっても伝播の流れは変わってくると思います。

投稿者: ムギ (Nov 12, 2005, 12:15:45 AM)

めりーべるさん、こんにちは。

そうですね、アクセスのしやすさ・しにくさ、というのはあるかもしれません。

だからこそ、まぁ、情報伝達には価値があるのでしょう。

私もある意味、日本語と英語の翻訳でずいぶんと得をしてきていますので、そんなものかなぁ、と思います。

何の形でも、情報を他人に伝えることは意味がある、と言うのが最近の考え方です。

どうでしょうか?

投稿者: 斉藤 哲也 (Nov 23, 2005, 4:09:12 PM)

ムギさん、はじめまして。
スケジュール管理についてのサーフィンをしていたらこのブログに辿り着きました。
WSJの件もおめでとうございます。
知人に病児保育の問題に取り組みながら、日本人の働き方のイノベーションを目指している社会起業家がいるので、ムギ畑を彼に紹介させていただきました。

この数々の記事も、非常に整理されていて、文章を書く上でとても勉強になります。
今回の「情報の伝達の仕組み」では、組織やコミュニティ内の情報伝達について考えさせられました。ちょうど、先日自分のブログにそのようなことを書いたばかりでしたので。。。

今後もお邪魔させていただきますので、宜しくお願い致します。

投稿者: ムギ (Nov 26, 2005, 2:13:26 PM)

斉藤さん、こんにちは。

コメントやTB、ありがとうございました。ご友人への紹介もありがとうございました。

文章にそういっていただけると、うれしいです。なんとかわかりやすく、よみやすく、を心がけていますが、まだまだ修行途中です。

とはいえ、私も悩みも多く、毎日うんうんうなりなが、一つ一つ解決して歩いている感じです。

また是非、いらしてください。

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