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July 24, 2005
人はなぜ日常生活の変化を嫌うのか?
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今週は、なぜ人は日常生活を変化させることを嫌うのか、ということを、「パソコンが壊れた場合」という身近な事例をケースに考えたいと思います。
そして、この考え方は、ちょっとしたものの買い換えとか、引っ越し、あるいは転職や結婚・離婚などに応用できると思います。
このようなことを考えたきっかけは、ここでつぶやている通り、毎日、毎日使っているノートパソコンが壊れたことです。
実は、いつか壊れることは数ヶ月前からわかっていました。なぜなら、すでに付属のCD-ROMはエラーが多発しており、HDDもエラーだらけ、年中システムチェックが走ります。ボディー部分も、何回も落としているのでぼろぼろでした。
そして、木曜日の夜、空港のカフェで、ヘッドフォンをパソコンに接続して音楽を聴きながら、そのままヘッドフォンをしていることを忘れて立ち上がったら、ゴン、といってヘッドフォンのひもにぶら下がって机からいすまで落下しました。
HDDや画面には特に変化がなかったのでほっとしていて、よく見たら、液晶と本体をつなぐ足が片方折れてぶらぶらになっていました。それでも、しつこく使っていましたけれども、やはりそのまま使っていると反対側の足が折れるのも時間の問題だと思われたので、あきらめて修理に出すことにしました。
そこで、ふと考えたのが、なぜこの日がくるのをわかっていたのに、私はあらかじめ新しいパソコンを用意しておかなかったのだろう、ということです。
なぜなら、パソコンは仕事上も、プライベート上も私のライフラインに近く、実は、たかだか半日ですら、なくなると非常に困ることがわかって、しかもその日は遅くても半年以内、早ければ明日来るかもしれない、と思っていたのにもかかわらず、です。
結論から言うと、下記の二つが原因だと思いました。
理由1 変化に対するコストが読めないか、読めるものについては非常に高価であること
理由2 変化によるメリットが実感としてわからないこと
そう、理由1<理由2だということがわかっていれば、とっくに動いているんです。要は、どちらも読めなかった、ということが理由でしょう。以下、各項目ごとにまとめます。
理由1 変化に対するコストが読めないか、読めるものについては非常に高価であること
まず、私がパソコンを買わなかったのは、壊れる前に買うにはあまりにもノートパソコンが高価である、ということです。壊れたときにないと困りますが、壊れていないときにあっても、2台あってもその減価償却費がのしかかるだけで、コスト高になります。
さらに、乗り換えにかかるコスト、すなわち、数々のソフトウェアをすべて再インストールして、インターネット系のサイトのIDとパスワードをすべて再設定して、ハードウェアのトライバーをインストールして相性を確かめ、など、あまりやりたくない作業です。
実際、再インストール等の作業は始めるまでは1-2日かかると勝手に思っていましたが、実際にやってみたら4時間強で終わり、拍子抜けしました。しかし、やってみないと、どのくらいかかるかは想像ができませんでした。
理由2 変化によるメリットが実感としてわからないこと
そう、壊れる前のパソコンに、普段特に不自由は感じていませんでした。速度もそこそこあるし、できないことはほとんどないし。ソフトウェアもあまりアップデートしていませんでしたが、最新機能がなくても普段の利用にはほとんど差し支えなかったですし。
ところが、実際に新しいものと取り替えてみたところ、まず、家の中で使っている無線LANが一応802.11gという早いもの対応だったのですが、壊れたパソコンに内蔵されていた無線LANは802.11bしか対応していなかったので、実はかなり遅かったということがわかりました。
また、ついでにメーラーを2002年から使っている古いものから、最近リリースされた新しいものに取り替えたら、目から鱗がボロボロ落ちるほど、性能が上がっている。HTMLメールなんてみえなくていいや、と見えるまで思っていましたが、見えると、なるほど、これは便利です。
壊れたパソコンも修理に出しましたが、直った後は、子どもの遊び用や、予備のパソコンとしていろいろ用途があることもわかりました。
結局、突き詰めますと、理由1から導き出されるのは、人間は本当に困らないと動けないということであり、理由2から導き出されるのは、いざ動いてい見ると、体験前には想像できなかったメリットがたくさんあるということではないかと思います。
でも、本当は困る前に動いていた方がいいんです。たとえば今回はあわててパソコンを買いに行ったので安い・高いよりもすぐに手にはいる、ということで選んでしまいましたし、実際、手元に環境が整う半日間はとても不安でした。
結局、過度な保守性を防ぐためには、1. いかに変化のコストを下げるかということと、2. いかに変化によるメリットを上手にとる経験を増やすかということになるのかと思います。
とはいえ、私も何回も転職等していますが、なかなか変化への対応は言うは易く行うは難し、です。とりあえず、パソコンについては今度は上手に乗り越えられそうです。
2005 07 24 [2.実体験観察から] | 固定リンク
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ソ~・ブル~スさんによる親指シフトの説明です。http://plaza.raku 続きを読む
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コメント
投稿者: Uジロー (Jul 25, 2005, 12:24:29 AM)
面白いお話ですね~。逆に物を売る側から考えてみると、「1. いかに変化のコストを下げるか」の方は、価格以外の変化コストを下げるように使いやすくするとか、確かに工夫の余地はあるものの、やはり主には価格を下げるという方向に行きがちなので気乗りしませんよね。
ということで、「2. いかに変化によるメリットを上手に」伝えるか、が興味の焦点になるように思ったのですが・・・やっぱり万能策はありませんよね。世の中、多くの人が「いかに変化によるメリットを上手にとる経験を増やすか」と考えてくれるようになると本当に有り難いのですが(笑)。
投稿者: hideto (Jul 25, 2005, 10:53:42 AM)
PC買い替え1つでここまで発展させられるのが、すごいなぁと思いました。
理由1 変化に対するコストが読めないか、読めるものについては非常に高価であること
たしかにPCは非常に高いですね・・・。
乗り換えコストは、データが少なかったのでCD-R1枚のデータを写して、適当に環境設定とパスワードとサイトアドレスの確認、メーラー設定ぐらいで済みました。(当時6GBのHDDでしたので)
理由2 変化によるメリットが実感としてわからないこと
こっちが重要ですね。
私も最近は変化が重要だと思い始めましたが、どうも現状維持の方向性が強いため、なかなか踏み出せないんですよね。
多分、政治家などもそういう人が多いのではと思ったり。
日本人の特徴ですかね?
でも、凄い人の伝記とか読むと、やっぱり変化に対応しているということがありますので、そういう人はすごいなと思います。
いかに変化によるメリットを上手にとる経験を増やすか、というのは本当にこれからの社会、重要になってきそうです。
ただ、なかなか具体的なものが浮かんでこないですね・・・。
多分、圧倒的に知識量が少ないのと、具体性が見えないからなんでしょうけど。
投稿者: Mio (Jul 27, 2005, 9:04:58 PM)
ムギさん、ご無沙汰してます(夏書き込みは久しぶりですがブログは3つとも全部拝見してます)。
変化によるメリットを実感できるには「変化に慣れるまでがまんして続ける」ことが先ず大切なのだな~といつも感じています。
例えばエクセルのショートカットキー。
新しいショートカットキーの使い方を覚えても、古いやり方に慣れているとどうしても最初はそちらの方が早く、自分にとってはやりやすいので、新しい方法の方が(本当はそちらを利用するほうが時間が短縮できるにもかかわらず)時間がかかるように感じてしまう、というのがあります。
新しい方法に慣れるまでがんばったものもあれば、あきらめて古い方法にもどったものもあって、その違いはどこからくるのだろう?と思っています。
投稿者: ムギ (Jul 31, 2005, 9:11:09 PM)
Uジローさん、こんにちは。
そうなんです。もっとも高いコストは、実は顧客説得コストだったりするんですね。
人を動かすのは大変です。特に、経験しなかったものを想像させるのは・・・。
だからこそ、アメリカでは口コミマーケティングが注目されているようです。
私は新しもの好きなので、いろいろ試しては捨てていますが、それもほとんど特定の分野に限られていますので、自分が興味ない分野の新製品を買うのって本当にハードル高いですよね。
投稿者: ムギ (Jul 31, 2005, 9:13:11 PM)
hidetoさん、こんにちは。
たぶん、変化についての感覚も学習なのだと思います。それでいい思いをした回数が多いほど、そういう対応になるのでしょうね。
私は自慢にならないくらい転職とか離婚とかたくさんしていますので(苦笑)、変化に強い方だとは思いますが、それでもまだまだです。
「チェンジ」というキーワードで洋書を探すと、死ぬほどいろいすなものが出てくるのも頷けるところです。
投稿者: ムギ (Jul 31, 2005, 9:16:33 PM)
Mioさん、こんにちは。
たぶん、変化させても戻ってしまうものは、それほどのメリットが体感できなかったからだろうなぁ、と思っています。
例えば卑近な例で言うと、親指シフト。私は3日くらい、ローマ字から移行するのにかかりましたが、それから16年間、使い続けていますので。けっこう移行コストも、維持コストも高い入力方法ですが、手放せなくなっています。
エクセルのショートカットはそれなりに使っています。便利ですよね!!
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