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June 06, 2005

日本人の脳~日本語OSによる特異性の仮説

日本人の脳

今週は、日本人の脳という本からの仮説を紹介します。内容は、著者の角田氏が、なぜ日本人が情緒的であり、英語の学習に困難があり、かつ、西洋文化とは離れた文化であるかということを、母音言語である日本語の特殊性から解き明かそうとしたものです。

今更ですが、日本語の大きな特徴として、すべて語尾に母音が付くことがあります。このような母音言語はポリネシアの一部に他の国では見られるだけなど、非常に限られた言語です。そして、このような母音言語を主要OSとして育った日本人には、一つの大きな特徴が出ます。

それは、数々の実験で分かってきたのですが、日本人は母音と子音を共に左脳でコントロールするのに対し、子音言語では子音を主に左脳で、母音を主に右脳で理解するため、物事の理解の構造が変わってくるのです。

結果、西欧文化では、左脳ではロゴス(言語)、右脳でパトスを含めた自然全体を扱うのに対し、日本人文化では、左脳でロゴスだけではなく、さらに心があるもの、例えば虫の音などが左脳に入り、右脳は心がないもの、という分類になります。

つまり、西欧文化は言語化できるかどうかが左右の違いになるのに対し、日本語は情緒・心の有無が左右の違いになるのです。

このような脳の仕組みを持っていることが良いことか、悪いことかは別にして、全く違う情報処理体系を持っている、ということを理解しなければならないと思います。

この違いは10歳くらいまでに完成するようで、日本人でも海外で育った日本人は、日本語は理解できても、頭の処理体系は西欧型になっています。一方、日本で育った西欧人のバイリンガルは、日本人と同じ傾向を示すことがあるようです。

利点として、日本人の脳の処理は、結果としてノン・バーバル・コミュニケーションと言われる、言語以外のコミュニケーションを発展させることになります。茶とか禅も、同じ発想ですし、日本でアニメやマンガが発展しているのも、日本語と不可分ではないようです。

一方、欠点として、西欧式のロジックや流れるようなSo Whatについて、日本語は構造化が苦手です。よく、外国の本を正確に翻訳しようとすると、ちょっとしたペーパーバックが600ページくらいになってしまう、と言われています。ニュースなどでも、一定時間に伝えられる情報量は、日本語と英語では格段の差があるそうです(英語の方が倍以上効率的)。

しかし、せっかくこのように、日本人は「自然体で情緒で考えられる脳」を持っているのですから、アニメ・マンガ以外にも、もっと生かせる道を探せればいいと思っています。

みなさん、なにかいいアイデアがあったら教えてください。

2005 06 06 [3.お勧めの書籍] | 固定リンク

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コメント

投稿者: ずぼらでgo! (Jun 10, 2005, 5:05:15 PM)

こんにちは。非常に面白く思いました。

わたしは外資系企業で管理職をしているのですが、仕事のアサイン変更などひとつとっても、日本のほうが、実際の実務面のフォローだけでなく、感情面でのケアが必要のように常々思っていました。日本人は自分に与えられたタスクに愛着や誇りやなわばり意識が強いからかな?と思ってたのですが、脳の違いでより情緒的かも、というのは面白い。

本社(アメリカ)やヨーロッパの支社と仕事をするときは、ハッキリさせてやりさえすれば、そういう配慮はあまり必要ではない気がします。また、本社のマネージャたちと話してもそういう話は聞きません。アメリカのほうが実はかなり上下関係が日本よりシビアなせいかもしれませんが。

ちょっと読んでみたいなと思いました。

投稿者: ムギ (Jun 11, 2005, 9:28:23 AM)

ずぼらでgo!さん、こんにちは。コメントありがとうございました。

確かに、外資系で働いていると、日本人と日本人以外の人は思考回路が違うような気がして仕方がありません。おっしゃるとおり、特に愛着の有無がありますね。

こういう日本人論はいろいろ出版されているようなので、少しずつ読んでみようかと思っています。

また、おもしろいものがあったら紹介させてください。

投稿者: neuro (Nov 16, 2007, 12:13:34 AM)

言語とくにその音韻構造と脳の働きの関連性、およびその問題と、言語の普遍性からの関連性は本質的には別次元の話です。
脳のplasticityはよく知られています。Dr Tsunodaの本にも幼児期に何らかの理由で脳の手術をしたら、言語脳が左右で移転した話もあったと記憶しています。
この脳のplasticityのお蔭で人間は新しいものを習得することができるのです。
したがって、類型論的な日本人の脳というのは文化論としては面白いですが、これでstereotype化してしまうと、思い込みが発生します。これを語学学習の達成度の低さに結びつける人もいますが、これは言い訳にもなりません。

アメリカ人でもイギリス人でもいろんな人がいます。欧米という括り方だけではなく、日本対西欧という単純化しすぎたcategoriesでものを判断するのは一種の信仰のようなものだと思います。

そういえば、ご自身はロジックが明快ではない、かなり「日本的な」英語を話す人で、日本語を聞く場合には、ロジックが明快な「西欧的な」日本語でしゃべるように要求する英語がかなり達者な日本人がいたり、英語も日本語もロジックが通っていることを鬱陶しく思う人もいたり、ほとほと日本人と付き合うのは難しいと思います。

投稿者: ムギ (Nov 30, 2007, 1:30:11 AM)

neuroさん

確かに、こういう仮説はトンデモもたくさんありますから、そういうものもある、くらいで読んだ方がおもしろいのでしょうね。ありがとうございます。

投稿者: neuro (Dec 1, 2007, 9:50:49 AM)

Dr Tsunodaのどの本だったか、sexual ecstasy の後の脳活動の変化の記録というのがあったように記憶しています。面白かったのはsubjectsになってくれる人を募集していること。でもこれは実験としてはindependent variable がdependent variableのように振舞うコントロールしにくい実験だと考えられますけど。(言語の話とは無関係でした。)

投稿者: たっちゃんの妻 (Mar 7, 2008, 12:10:51 AM)

日本に生まれた事で、言語が違い、脳の使い方まで違うなんて「へぇ~!」でした。
面白いですね。ありがとうございます。

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