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April 30, 2005

ひとを“嫌う”ということ~「嫌い」の原因を理解する

ひとを“嫌う”ということ

ひとを“嫌う”ということ

今日は、とっておきの書籍の紹介です。この本は、勧めて読んだ人は必ず「おもしろい」と言います。私も何度も読み返しています。

では、この本のテーマは何か。それは「人に対する嫌い」を理解するです。著者は哲学者の中島義道氏です。

まず、私は人から嫌われることがしばしばあります。おそらく、自分が他人を嫌いだ、という感情を持つよりも、他人から「ムギの○○が気に入らない」と言われることが多いです。それはウェブ経由だったり、口コミ経由などで伝わってきます。

しかも、その私のことを嫌っている相手は、多くの場合、私がその人をよく知らないのです。なぜでは、そんな、こちらがよく知らない相手に私は嫌われるのか。どうも、私という個人を嫌うと言うよりは、メディアやウェブ上で手に入る情報の中での「ムギ」という人物の偶像を嫌っているように感じます。

例えば、こんな風にブログにこういうテーマの内容をエントリーをすること自体、嫌っている人から見ると「だから嫌いなんだ」という対象になるわけです。

しかし、こちらもただ嫌われているだけでは気持ちが悪いので、そういう感情がなぜ起きるのか、メカニズムを分析しようと思っていくつか書籍をあたりましたが、その中でこのひとを“嫌う”ということが最もおもしろかったので、紹介します。

世の中ですべての人から好かれている人はいないわけで、また、嫌いな人がいない人もいないわけで、そんなことを整理するのにお薦めの一冊です。

以下、内容を簡単に氏の説を説明し、もう少し自分なりのフレームワークを付け加えます。

中島氏は、自身の経験から、以下の8つに嫌い、の原因を分解しています。そして、その嫌いはこの8つの要因の組み合わせから来ると考えています。

(1) 相手が自分の期待に応えてくれないこと
家族などに多いケースです。自分の期待に応えてくれない、感情をわかってくれない、など。

(2) 相手が自分に危害を加える虞があること
弱みを握った相手を嫌う、恩着せがましい人を嫌う、など。

(3) 相手に対する嫉妬
自分より優れたものを嫉妬し、相手の没落を願います。

(4) 相手に対する軽蔑
(3)の逆です。自分より劣ったものを嫌悪し、相手を視界から消そうとします。

(5) 相手が自分を軽蔑しているという感じがすること
(4)のバリュエーションです。特に成功者・不成功者のパターンに多いようですが、不成功者は成功者からの軽蔑を感じて、相手を嫌います。

(6) 相手が自分を嫌っているという感じがすること
これはちょっとおもしろい嫌い、です。理不尽になんとなくですが、相手が自分を嫌っている、と思いこんだ瞬間、相手が嫌いになる、というものです。

(7) 相手に対する絶対的無関心
これもおもしろい嫌い、です。自分が無関心な相手が自分の周りをうろちょろする、ということ対して、嫌い、という感情を持ちます。

(8) 相手に対する生理的・観念的な拒絶反応
中島氏は「嫌いの結晶化」と呼んでいますが、(1)~(7)が累積して、ある段階から、その人の存在・人格自体がすべて嫌いになる、という状態です。多くの場合、自身の弱点を相手に投影して、嫌いになります。

ここまで中島氏の説を使って「嫌い」という感情を分析してきましたが、このフレームワークを生き方にどのように生かすのか、結局以下に凝縮されると思います。

自分が嫌われている、ということを直視し、納得できるようにする
どうやっても、自分が他人を嫌う、相手が自分を嫌う、というのは根絶できないわけですから、「自分が嫌われているわけがない」とか「自分はすべての人が好きだ」などという自己欺瞞を止めて、冷静に嫌われている自分、嫌っている自分を納得します。

そして、その上で、嫌われている自分も原因がわかれば感情的にならずに相手に対応できるようになりますし、嫌っている自分も自己嫌悪せずに、許すことができるようになると思います。

中島氏は好き、という感情だけではなく、嫌い、という感情が人生を豊かにすると語ります。そう、人間は相手を好き・嫌いの両面に分けてしまうのですから、すきな人だけではなく、嫌いな人とのつきあい方も、人生を豊かにしてくれると思います。

ハードカバーの頃は1,000円した本ですが、最近文庫本になって500円で買えるようになりました。一度、目を通すことをお勧めします。

2005 04 30 [3.お勧めの書籍] | 固定リンク

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「哲学者が処方する、きちんと人を嫌える生き方」というのがスゴイ。 続きを読む

受信: May 25, 2005, 4:49:46 PM

コメント

投稿者: いまごん (May 4, 2005, 2:53:13 AM)

こんばんは。
こちらにコメントするのは初めてですが、

>すきな人だけではなく、嫌いな人とのつきあい方も、人生を豊かにしてくれる

という部分に同意なのでうなずきます。(多分に自戒がこもってますけど...)
以下、灰谷健次郎さんの 「天の瞳 少年編 I 」 から引用させて頂きます。

「人に好き嫌いがあるのは仕方がないけれど、出合ったものは、人でも、ものでも、みんなかけがえがないって、常々おっしゃっていたでしょう。出合ったものは、みな、大事にしなさい、人は、どんなものからでも学ぶことができるのだから、って」

主人公倫太郎が尊敬する、亡き祖父の言葉を借りて、母が倫太郎をたしなめる場面なのですが、ムギさんと同じ事を言っているんですよね。自分自身が嫌う/嫌われることに納得すること、は、相手を大事にする、という言葉で表されています。

多分「相手を大事に思う」ように努力することで、
自分の周りの剣が取れる
=嫌いというフィルタというか壁が取れる
=今まで見えてこなかった相手も見えてくる
=多くの学びが得られたり、人生が豊かになる
ということなのかなと思います。

仕事でもプライベートでも、人間関係は大切なんですよね...
うーん、渇を入れないとダメです。笑

投稿者: ムギ (May 5, 2005, 12:09:03 PM)

いまごんさん、こんにちは。

相手を大事にする、いいことばですね。

どんなことがらでも、相手でも、そこから何を感じるのか重要なのですね。

もっとも、有言実行が一番難しいので、コツコツと努力していきたいと思います。

素敵な引用をありがとうございました。本を読んでみたいと思います。

投稿者: (May 25, 2005, 6:02:19 PM)

こんにちは、この記事を読ませていただいて本を買ったのですが、なかなか読了出来ませんでした。
また、まだ完全に消化したとは言えない状態ですが。

「嫌い」を(こちらからであれ、相手からであれ)受けいれるというのは いまごんさんの引用にもあるとおり、相手を認める(大事にする)ということなのでしょうね。

トラックバックさせていただきました。

投稿者: ムギ (May 26, 2005, 8:42:41 PM)

涼さん、

トラックバックとコメント、ありがとうございました。

そうなんです。私もうまくできていませんが、あるがままに受け取る、というスキルを学びたいと思っています。

まだまだそのコツが掴み切れていなくて、悩んでいます。

みなさんといっしょにこうやって考えていけると幸せだな、と思っています。

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