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December 25, 2004

「情報起業」への根本的な疑問

「情報起業の方法を売る情報起業」以外の成功例はあるのか?

表紙 表紙

最近、情報起業、という言葉がネット上を跋扈しています。

情報起業、英語でインフォプレナーというらしいです。要は小資本で、ちょっとしたノウハウや付加価値情報を売ることで儲けましょう、というビジネスなのですが、確かにもうかっている人はいるようです。

しかし、その儲かっている人、特にネット上のビジネスを見ると、例外なく、「情報起業の方法」を売る「情報起業」ビジネスばかりです。

すごく、すごく気持ち悪いと思いませんか? 私は個人的には、パチンコ必勝法や競馬必勝法、あるいは株式必勝法と同じにおいがして仕方がないわけです。また、ネットワークビジネスにも近い感じがします。

どなたか、「情報起業の方法」を売る「情報起業」ビジネス以外で成功している情報起業があったら、ぜひ教えてください。

なお、誤解がないように補足しますが、情報起業の発想自体はとても優れたものがあり、埋もれた自身の情報を資金化しよう、という発想はこれからも必要だと思います。ただ、それを万能薬と考えないで欲しい、ということです。

「情報起業」に対する2つの疑問

1.供給側から~情報産業は本来敷居が高いビジネス

もともと情報起業、という概念は出版やコンテンツ、書籍などで当たり前であり、それなりのクオリティー要求されています。書籍一つ出すにも、しっかりと出版社の企画を通り、流通コストを考えて、かつこれまでの競合商品である1,000円~3,000円の書籍を打ち負かせるほどの内容であるか、吟味がされます。

ところが、いまネットであふれている有料情報、それこそ、書籍にもできないような質のものが多すぎないでしょうか? 品質管理がなされていない状態でのビジネスは長続きしないはずです。

2.需要側から~ユーザーにとって、いまさら個人から有料で欲しい情報って本当にあるの?

お金を出すユーザーから考えると、これまでの書籍以上の価値かあって、ネットで買ってもいいと思う情報、しかも情報起業ネタ以外、あるのでしょうか?

正直、私はありません。いま、手元にある本だけでも手一杯だし、新聞・雑誌・無料のメルマガなので十分満足しています。

例えば、私の本職は調査・研究職ですから、行動経済学の最新の学説や株価のアノマリーについての最新データ、過去の銘柄データなどはのどから手が出るほど欲しいです。でも、こういったものは、専門のデータベースや専門の学会で手に入るものであって、現在話題になっている情報起業がいくら発展しても、あまり関係ない気がします。

「情報サービス」本物と偽物の見分け方

同じ情報サービス系でも、例えば神田昌典氏の話は、私は全体的に好きです。というのは、神田氏の話は、多少クせはあるモノの、いかに相手の本職の仕事の成果を助けるか、ということにフォーカスしており、売上げの上げ方、DMの書き方、社員のモチベーション向上など、地に足がついている内容になっています。

一方、ネットであふれる多くの有料サービスは、無から有を生むような話が多く、しかも値段は1-3万円と、まぁ、これくらいだったら損してもいいか、とう微妙な価格付けになっています。きっと、こういうサービスを宝くじと同じ感覚で買ってみては、あ、だめだったか、と納得する層を狙っているのでしょう。

もちろん、競馬やパチンコと同じで、一部の人は腕の力か、偶然の力か、その両方かで成功する人が出てくると思います。そして、その成功例を全面的に打ち出して、こんなに成果が上がった、と言うのでしょう。

3万円の有料サービスを買うのであれば、1,500円の本を20冊買うべき

それでも、ついつい買ってみたくなる情報はあると思います。でも、そのときはぜひ、一度思いとどまって、ここで説明したことを思い出してください。それでも欲しい情報があった場合には、本屋に足を運んでください。ビジネス書やネットのコーナーに行けば、より安価に、欲しい情報が手にはいるはずです。

繰り返しになりますが、「情報起業の方法」を売る「情報起業」ビジネス以外で成功例はほとんどないのですから・・・。

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コメント

投稿者: ようへい (Aug 26, 2005, 8:09:40 PM)

非常に明快な指摘に感銘しました。

私も恥ずかしながら、情報商材を買ってしまった人間の1人なのですが、確かに、「情報起業」をネタに情報起業するという構造が生まれていますね。

私自身、ネットで稼いでいると言うことに対して、羨望のまなざしを持っていた時期がありました。その頃は、自分に向き合うことから逃げていた時期であったと思います。そのため、現実逃避のための情報商材と言うことで購入しました。

しかし、実際に届いてみたもののあまり行動に移せませんでした。

最終的に気づいたことがあります。それは、いみじくも本田健さんが言うように、ビジネスとは愛と感謝であることです。稼ぐという目的では最初の立ち位置が違うことに遅まきながら気づきました。

まわりの人に対して、真摯に貢献したいと思う思いやりや愛という動機によってしかビジネスは成り立たないことを知りました。現実逃避が理由では、ビジネスの動機付けにはなりえないことを悟りました。

ムギさんがおっしゃっておられることは、情報起業家に対して真摯にビジネスに向きあう姿勢と既存の書籍のコンテンツをクリアする質の高いコンテンツを提供して欲しいという願いでもあるように読めました。

その質の高さとは、時間がたっても消えることのない永続性があるか否かによって計られるような気がします。

その意味で、ムギさんの書き込みにこそ本当の意味で情報起業家が兼ね備える先ほどの2つのクオリティーを感じました。

いつも鋭い書き込みありがとうございます。
大変ためになっています。

投稿者: ムギ (Aug 27, 2005, 1:21:42 PM)

ようへいさん、こんにちは。

過分なお褒め、ありがとうございました。

というか、なんか、これ以上、状況がわからない人に夢を持たせて、相手から搾取するビジネス、と言うのが跋扈するのが我慢できない、と言う感じなんです。

もちろん、それが大きいもの、少ないもの、あると思いますし、中にはとても質のいいものもあります。

ただ、質が悪いものが増えてしまうと、質のいいものも、同じように思われてしまうのがいやだ、という義憤ですね。

とりあえず、だまされないように、私たちが自ら力をつけるしかないとは思います。

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