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November 23, 2004

「桃太郎電鉄USA」から学ぶ世代文化論

桃太郎電鉄USA

桃太郎電鉄USA

明日は休みなので、11/18に発売になっていた桃太郎電鉄USAを買ってきて、娘と遊んでいました。

桃太郎電鉄を遊んでいると、ゲーム自体は楽しかったのですが、ゲーム世代が、ユーザーもクリエーターもだんだんと年を取っていっているなぁ、と感じます。

私が桃太郎電鉄を初めて遊んだのは確か20代の前半、大学生か社会人に成り立てか、というころでした。それがすでに12まで出て、今回はUSAバージョンです。当時よちよち歩きだった娘が、中学生になって一緒にゲームをするようになっています。

こういったゲームなどのコンテンツビジネスには、以下のような特徴があると私は考えています。

1. ある特定の世代に、特異点的に流行るプラットフォームがある。

例えば、プレステ2のファンの中心世代は30代前半だと思います。これは、中学・高校生はファミコンで、大学生や社会人になった頃にちょうどプレステが現れて卒業し、最近はプレステ2に乗り換えている、という世代です。

一方、着メロやiアプリにはまっているのは10代後半から20代前半です。これは、ちょうど1999年過ぎにモバイル・コンテンツが始まった頃、メールやアプリのおもしろさに出会い、そのままプラットフォームの拡大と共に大人になっていくわけです。

これと同じことが、実は40代前半にもありまして、40代前半の人たちのペット・プラットフォームは乗用車だと私は考えています。車を大事に使って、ドイツ車にブランド力を感じる世代です。

2. その特定のプラットフォームのブームは、同世代か、流行っている世代よりもわずかに年上のクリエーターが作り出している。

特定のプラットフォームは一種の文化です。そして、この文化をリードする役割を持つクリエーターがいて、そのクリエーターは一番脂ののった時期が20代から30代であり、そこで提供されたコンテンツに魅せられた少し下の世代が大きな市場を数年間で作り上げます。

3. そして、そのプラットフォーム・コンテンツは世代のライフスタイルの変化と高齢化により縮小均衡していく。

ゲーム市場が縮小した理由の一つとして、中心世代であった30代がゲームをする時間がなくなって忙しくなってくる中、次の次代を担うべきであった10-20代は携帯電話との競合に敗れた、ということがあると思います。

結果、何が起こるかというと、コンテンツが保守的になります。これまでの続編ばかり延々とでることになり、リピートユーザーはどんどんと高度化されたゲームにはまっていきますが、新機軸がないので新規参入ユーザーは訪れないことになります。

下記は11/23現在のアマゾンのゲーム売れ筋トップ10ですが、うち太字の8作が続編です。

『ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君』 スクウェア・エニックス ¥7,854
『METAL GEAR SOLID 3 SNAKE EATER 予約特典CD付き』 コナミ ¥6,230
『グランツーリスモ4』 ソニー・コンピュータエンタテインメント ¥6,515
『機動戦士ガンダム ガンダムvs.Zガンダム』 バンダイ ¥6,069
『テイルズ オブ リバース』 ナムコ ¥6,069
『BioHazard4』 カプコン ¥6,961
『ラチェット&クランク3』 ソニー・コンピュータエンタテインメント ¥5,176

『大都技研公式パチスロシミュレーター 「吉宗」』 Daitogiken ¥3,748
『スーパーマリオ64DS』 任天堂 ¥4,079
『さわるメイドインワリオ』 任天堂 ¥4,079

これはまさしく、クリステセンの定義したイノベーションのジレンマの状態であると私は考えています。既存市場を重視するあまり、「持続的イノベーション」が続くため、コンテンツの内容が高度化する上に、しかも大半のユーザーの要求するスペックを上回ってしまっている。一方、新規市場は魅力的に見えないために投資ができないという状態です。

だからこそ、違うプラットフォーム、例えばケータイのゲームのようなものが「破壊的イノベーション」として登場してくる余地があるのでしょう。

このように、世代ごとの文化の違いというのは侮れないものがあり、やはり10代から20代の多感で、かつ暇がたっぷりあった時期に刷り込まれてしまった文化というのは、いくつになってもなかなか抜けない、というのが実感です。

そして、その文化は世代とクリエーターに引っ張られて、自動的に古くなるので、そこにまた違う文化やコンテンツが芽生える、という循環なのではないでしょうか?

私はケータイの次の文化は、PCのインターネット常時接続に慣れた中学・高校生が何かを作っていくのだろうと考えています。そのときにゲームやケータイがパソコンに追い出されてしまうのか、あるいは共存していくのかは興味深いところです。

2004 11 23 [4.おもしろい商品の紹介] | 固定リンク

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