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November 14, 2004

Suicaの傾きに学ぶデザインの力

Suica改札機の写真
改札機写真

このブログを読む方は普段、Suicaのお世話になっている人も多いと思います。

Suicaはソニーが開発した非接触ICの規格であるFeliCaを使ったICカード形式の電子乗車券ですが、上記の写真をよく見てください。この改札機のSuicaをかざす場所がわずかに13度ほど、手前に傾いているのにみなんさ気づいているでしょうか?

この傾きをデザインしたのはリーディング・エッジ・デザインのプロダクトデザイナー、山中氏です。

私は山中先生の大ファンで、最初にonQのプロトタイプのデザイナーの方だと言うことで興味を持ち、会社を訪ねていったのですが、実際に「デザインの力」についてのお話を直接お伺いして、その考え方の深さに感動しました。

例えば、上記のSuica、初めのプロトタイプではこの傾きがありませんでした。そうすると全くSuicaに知識がないお客様を相手にテストしてみたところ、アンテナの範囲でしっかりとSuicaをかざしてくれるお客様がいないことがおおく、ざっくり半分近い乗客がスムーズに改札を通り抜けることができませんでした。

この解決をしたのが13度の傾きであり、それを設計した山中氏です。

傾いていると、人間の直感的な自然の動作の中でしっかりとかざすことができ、無事通れるようになります。しかし、これもこれが解だと言うことは当時完全にはわからず、凹ませたタイプ、手前ではなく左に傾けたタイプなど、幾種類かのプロトタイプの中で手前の傾きが選ばれているのです。

山中先生の言葉を借りると以下の通りです。

「もともFeliCaが例えば0.05秒で反応するのなら、この傾きはいらなかったのだけれども、0.1秒という制約の中で、デザインによって行動をガイドする必要が出てきました。これが、デザインなのです」

「世の中では、意匠デザインをデザインと思っている人も多いようですが、実際にデザインは機能デザインも構造デザインもあり、デザインは主たる制約条件の中で、人が最も上手にものを使えるようにするのが、デザインになります」

「本当はデザインももっともっと今回のSuicaのように、多くのテストをユーザーと実際に経ながらするのがベストなのですが、どうしても開発期間が限られており、またサプライ・チェーンが細かいプロトタイプを作るようにできていないため、多くの製品について、最後は妥協の産物としてデザインが決まっていることが残念です。」

もう、上の3つの言葉は、普段、デザインということについて悩んでいる方でしたら、涙が出るほどすごい言葉だと思います。

最近、行動経済学や快楽消費の概念など、ようやく人間の心の動きを中心に考えながら、経済学やマーケティング、プロダクトデザインを考えよう、という気運が高まってきていると思います。

私も心理学はまだ学び始めたばかりですが、今後、インターネットも含めて、人間の直感的・潜在的な考え方をいかに生かすか、ということがどんどんいろいろな分野に発展していくことは間違いないと思います。

ぜひ、皆さんのビジネスにも一度、そのような考え方を持ち込んでみてください。きっとおもしろ気づきがあると思います。

2004 11 14 [2.実体験観察から] | 固定リンク

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