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November 16, 2004

少子化問題を直視すること

ここで二つ、私たちの生活を根本から変えてしまう問題について、図表を載せます。
(それぞれ、クリックすると図表が拡大します。)

この二つを見ると、経済学やマーケティングに関わる人であれば、ぞっと背筋が寒くなるはずです。

図表1:日本の出生数と出生率の推移
birth_rate.gif

図表2:日本の人口ピラミッド
population_pyramid.gif

では、何が社会上問題なのか、もう一度、私なりの解釈でまとめてみます。

1.少子化問題は経済成長を妨げる

各国のGDPは下記の書式で計算されます。

1人あたりGDP(付加価値生産額)×人口数

そうすると、当たり前ですが、人口が減ると経済成長がないわけです。これまで、今まで通りの商売をしていれば、勝手に市場が成長しました。ところが、今まで通りの商売をすると、特殊な市場を除いて、ほぼ確実に市場が縮小する時代がやってきます。

ところが、成長は七難隠す、と私は言っていますが、企業で成長というのはなによりも組織の活力を保つ万能薬なのです。

二桁の売上高・利益成長をしている企業で組織が元気でないところはありません。一方、売上高が下がってきている企業で元気なところも見たことがありません。これは、人間の動機付けがどのようになされているか、ということから抜本的に生じてしまうものなので、しかたないのです。

2.これまで団塊の世代を中心に展開してきた市場のしくみが崩壊する

例えば、日経新聞。この主要な読者層は団塊の世代です。他のビジネス系の雑誌もたいがいそうです。そうすると、ビジネス系の雑誌・メディアは団塊の世代が引退してこういった雑誌を読まなくなると、エコノミクスが成立しなくなります。

また、主要なブームというものは、団塊の世代が中心に展開してきました。例えば、テレビに出ているタレントの平均年齢。私はちゃんと統計を取ったことがありませんが、きっと10-20年前に比べて、すごく年齢層が上がっている気がします。

団塊の世代がこれまでの生産世代から年期・消費世代に移行したときに、これまで当たり前だと思っていたいろいろなしくみが成り立たなくなるわけです。

3.企業の役割が小さくなる

これは1-2と異なり、必ずしも悪いことかどうかはわかりませんが、定年後や早期退職したスキルある年代の人たちが増えることにより、これまで企業を中心に展開してきた社会構造が、より非営利団体に支えられたり、企業勤めではない人たちの役割が大きくなることになります。

こうやって少子化の問題を考えると、全く他人事ではない、ということがよくわかります。あえて書きませんでしたが、年金問題の破綻は人口ピラミッドから考えて、自明なわけです。

では、自分はこの問題にどう対処するのか?

私は団塊世代と団塊ジュニアの間の、いわゆる新人類世代のしっぽです。また、たまにメディアや識者の集まりに呼ばれて少子化問題についてワーキングマザーの代表として提言をすることがありますが、まだ私の中で、この問題は未消化です。

ミクロ的に考えると、少子化をテコにしてビジネスや投資で儲ければいい、ということもありますが、マクロ的には本当にそれでいいのだろうか、と考えています。

もっとも、自分にできることは少ないので、とりあえずネットを中心に、非営利団体のサポートをしていくしくみをより整備できたら、というのが一つの個人的な目標になっています。

この記事を読んでくださった皆さん、ぜひ一度、少子化は自分の生活や将来に何をもたらすのか、図表を眺めながら、俯瞰してみることをお勧めします。

2004 11 16 [2.実体験観察から] | 固定リンク

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コメント

投稿者: りょう (Nov 17, 2004 12:20:11 PM)

ムギさん こんにちは

いつもブログを読ませていただいております。
今回の話題について考えていることを書きます。
GDPの構成要素は、大雑把に言って投資と消費です。
消費はこれまた大雑把に言って人口×消費額です。
これは人口が減れば、消費額をその分、増やさなければ
減りますね。
投資は公共投資と民間投資に分けられますが、企業の投資は
最終的には消費者の消費に支えられているわけですから
国内消費が減れば国内投資が減るのは当然です。
公共投資は、元は税金ですから、国内の付加価値額が
あがらないところから税金は税率を大幅にあげないと
増えません。
 ムギさんがおっしゃっている人口停滞がGDPの停滞に
つながる、というのは至極最もで予想されていることだと
思います。

 たとえば、日本人に根深くある土地神話ですが、
人口が減ってGDPが停滞している国で、土地(供給量は減らない)の
需要は増加するのでしょうか?需給が緩めば価格は下がるのが
大原則ですよね。
 少子化ということは、例えば1人ッ子同士が結婚した
場合、そのカップルには親の家が2つあります。地域及び
時期の問題はあるでしょうが、大雑把に言って新たに家を
取得する必要はなくなるわけです。1つ住んでも1つ余る。
 年金の問題等が取りざたされて老後の経済的な問題が
話題になると、親の家、もしくは土地があるから
アパートでも建てて、というのをよく聞きますが
アパート経営が成立するのは、借りる人が居る、
つまり、人口増、あるいは都市への流入人口増が
大前提となります(時期的なズレや地域的なズレによる
マーケットがあることはここでは省いています)。
アパートさえ建てればなんとかなるんでしょうか?

一方、日本は狭い国土に世界的にみて、消費水準の高い国民が
1.2億人も住んでいます。減るといっても、1億人というのは
そこそこの規模です。
この大勢の消費する人間を支えるための生産力と消費を支える
経済力というのは、それほど低いものじゃあないと思います。
どんどん成長、どんどん増加しないと元気じゃない、という
文化から、そこそこ満たされ、のんびりこのペースで沈滞気分にならない
文化への転換を図る必要があるんじゃないか、と思っています。
そうでないと、最初に書いたように、GDPは投資と消費ですから
投資、それも人口停滞の国内ではなく、人口がどんどん増えている
所への投資、それも先進各国がしのぎを削って市場を奪い合おうと
している所への、強引な形での投資しか、伸びていく可能性が
なく、これまで繰り返されてきたことと似たようなたくさんの不幸を産む可能性も
あるんじゃないかと危惧しています。

お邪魔致しました。

 

 

 

投稿者: ムギ (Nov 17, 2004 10:56:03 PM)

りょうさん、こんにちは。

コメントありがとうございました。

確かにマクロ経済学ではそのように習いました、はい。

Y=C+I

でしたっけ?

住宅と土地の問題は、世帯数の予測を見た時点でなるほど、という感じでした。

今後、多少は大都市集中が起きるので、都心部の住居は相変わらず高止まりしそうですが、地域部の土地の値段はどんどん下がっていくのでしょう。

おっしゃるとおり、無理な投資をして今の仕組みを長持ちさせると、ますますおかしくなるので、思いっきり、少子化になったときにも幸せに生きることができるパラダイム・フレームワークというのが必要になってくるのだと思います。

スローライフだけで十分なのか??? うーーーーん、まだまだ頭が固いです。何かいい専門家の方や本をご存じでしたら、みなさん、教えて下さい。

投稿者: あつこ (Nov 18, 2004 12:22:41 PM)

ムギさん、こんにちは。

面白く読ませていただいています。

少子化をきっかけにパラダイス・シフトというのも日本らしいと思いますが、もはや投資と消費だけで経済を考えていれば良い時代ではないということは世界的にはすでに30年くらい前から言われていることだと思います。

人間の経済活動は基本的には天然資源を利用することで成り立っていますが、地球上の資源は有限なうえに今の先進国の生活を支えるためには一年当たりの自然の復元力(伐採した木材に相当する植物の成長や汚染された土壌・水などを浄化する微生物活動など)をすでに大幅に超えてしまっているという報告があります。つまり、今までのストックを急速に食いつぶしている。
http://www.ecologicalfootprint.com/

また、人の活動範囲が急激に拡大したために、自然の復元力は急速に衰退しています。(預金につく金利が下がり続けているようなもの。)

資源の消費を多少遅くする(スローライフ)だけでは十分ではないので、最近では失われたものを積極的に再生しようという考え方があります。それを公共事業としてすすめようとしているのが自然再生事業です。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4121017528/qid=1100746519/ref=sr_8_xs_ap_i1_xgl/250-0448041-2438620

たとえば、日本はこれまで人口の増加がいつまでも続くことを見込んで水資源開発のためにダムを作り続けてきましたが、すでに水は余り始め、将来的な需要も減少することが明らかです。

一方、ダム建設によって川の生態系破壊やダム湖に沈む地域の消滅などいろいろなリスクがあります。

米国では、すでに脱ダム宣言が出されており、新しいダムは作らない、不要ななダムは撤去するということが始まっています。ダムを撤去することで、公共投資の無駄を削減することに加え、豊かな自然環境や地域社会などこれまで外部経済化されていた部分でのベネフィットが生まれるという判断です。

資源を消費し大量に廃棄することで成り立っていた経済は少子化がなくても早晩破綻するでしょう。
少子化問題に直面しているこれからの世代は、静脈産業を経済にしっかりと組み込むことを考えなければならないと思います。

静脈産業は、これまで自然の機能(土壌生物の分解能力とか、森林の大気浄化機能とか)に頼っていた部分を産業化することによって環境負荷を軽減するということで、人はそれに対する必要な対価を払うということです。

なぜなら、今までは生産と消費によって経済の環が閉じていたので、自然の持つ浄化や環境維持機能に対価を支払ってきませんでした。それによって、自然環境への負荷は増大し、資源利用も廃棄物処理も持続可能なレベルを大幅に超えてしまっています。

これからは、人間は利用した自然資源を再生したり修復したりすることに対価をはらわなければならなくなると思っています。環境税がこのところまた盛り上がってきましたが、少子化が進んでも持続可能な幸せを確保するためには、良い環境(都市環境を含む)を享受するためにお金を使うことに後続世代が価値を見出せるような仕組みを作ることだと思います。

投稿者: NIL (Nov 18, 2004 8:12:09 PM)

年金を始めとする社会保障にも問題が生じます。少子化で経済成長が鈍るので、更に対処が難しくなってしまう。
P.S. 他のココログのブログだと、「このサイトと連携する(XML)」がついているのですが、こちらにはついていません。不便なので付けてください。

投稿者: ムギ (Nov 18, 2004 11:20:43 PM)

NILさんへ

トラックバックの一覧の下にご希望のあったXML機能をつけましたので、活用ください。

投稿者: ムギ (Nov 18, 2004 11:25:35 PM)

あつこさん、こんにちは。コメントをありがとうございました。

なるほど、資源や環境の面からも明らかに問題が生じていますね。この問題は、これまで社会主義下であまり自然資源を消費していなかった国々、例えば中国やロシアが資本主義になったことで、さらに加速されているようです。

しかし、このままではいけない、その通りだと思います。

生態系を破壊してきた種族が生き残れるわけないんですよね・・・。少子化はあくまで現象にしかすぎないのでしょう。

この問題は考えれば考えるほど、根っこが深いです。

子どもたちともちょっと考えてみたいと思います。

ありがとうございました。

投稿者: このむちゃん (Nov 21, 2004 11:02:12 AM)

ムギさんはじめまして。
このむちゃんといいます。
昭和22年7月生まれの団塊世代の先頭を行くものです。2007年に我々の年齢が60歳になり定年退職者が非常に増えます。その後2年間は同様な現象が起きます。そして年金の支払額が急増し医療費・介護費用も増えていきます。戦後の高度成長経済を支えたのは我々の年代であるという自負心を持っていますが、これからは援助を受けざるを得なくなりそうで、申し訳なく思います。
そこで今後の日本のことを考えると、介護の手間を掛けず、医療費を使わなくすることが我々世代の子供たちにできる貢献だと考えます。そのために健康を維持することがとても重要だと考え、薬剤師免許証を持っておりますので自分の健康だけでなく周りの人たちの健康維持にも貢献していきたいと考えています。
体力のあるうちはなんらかの行動をして経済活動に貢献をしてみたい。しかし、定年の人生は今まで働いてきた御褒美ですから、自分流で楽しく生きたい。今後の生活は年金の範囲だけでなく今までの貯蓄を取り崩しつつ、子供には遺産を残せなくて申し分けないが、楽しくやりたい。
こうする事が、経済の活性化につながるとも考えます。
こうする事で次世代の人から見るとやはり貴重な顧客に位置付けられると思います。
お客さんですから敬意を持って接してもらいたいと思います。おれおれ詐欺などもってのほかです。お金を払うことには納得さえすればいいのですが、自尊心を傷つけられることは精神衛生上良くありません。勘弁してください。
国民全員で世代間の競争がない日本にしていきたい。
団塊世代のつぶやき

こんなスタンスで投稿をしてもいいのかな?
昨日からココログに参加してばっかりです。

投稿者: ムギ (Nov 21, 2004 11:58:05 PM)

このむちゃん(さん)、コメントありがとうございました。

こちらこそ、なかなか世代の違う方の正直なお話しを聴く機会は少ないので、とてもコメントが新鮮でした。ぜひ、これからも積極的に参加いただけると幸いです。

おっしゃるとおり、世代間の確執をどうやって乗り越えるのかはとても大きな問題だと思います。

一つのアイデアとしては、おっしゃるような団塊世代の消費市場を、団塊世代の人たちが自分で創業して市場を活性化させる、ということがあるようです。

私には団塊世代の方たちの価値観その他は心からわかることはできませんが、当事者の方たちはよくわかっていて、スキルがあって、しかも定年後でお金も暇もある。だからこそ、創業のチャンスだ、というロジックです。

このようなブログも創業にはとても適したツールですし、このむちゃんさんの薬剤師の力が団塊の世代に何かの健康でも何でも、悩みの解決を提供できるのであれば、いろいろな明るいことができそうな気がしますが、どうでしょうか?

ぜひまたいろいろと情報交換させてください。

投稿者: Uジロー (Apr 29, 2005 4:14:50 PM)

はじめまして!
大変、興味深く拝読しました。自分のところで記事を書くのに参考にさせて頂いたので、お礼まで報告させて頂きますね。ありがとうございます!

それにしても、3番目の企業の役割が小さくなる、という視点は、面白いですね。確かに、引退後の方々は、金銭的なモチベーションに基づいて働かないことも多く、何となくそんなようなことを感じてはいたのですが、ムギさんの記事を読んで、すっきりと頭が整理されました。

投稿者: ムギ (Apr 29, 2005 4:43:51 PM)

Uジローさん、はじめまして。

トラックバックとコメント、ありがとうございました。

そうなんです。企業がすべてであったのが、企業とライフワークとのバランスをとりながら、そのライフワークが企業の業績にうまく反映される、そしてその後、企業から引退した後はそのライフワークを中心に動く、といったスタイルが定着するとおもしろいと考えています。

そういうライフワークを育てるという意味ではブログはおもしろい文化ですね。

中指シフト 月配列というのも初めて聞きました。私は繰り返しブログ内で書いているとおり、親指シフト信者ですが、親指シフトと比べてどう違うのでしょうか? 親指シフトの法が打鍵数は少ないようですが・・・。

ぜひ教えてください。

投稿者: Uジロー (Apr 29, 2005 9:30:15 PM)

丁重なお返事を頂き、恐縮です!

確かに、そのライフスタイルをスムーズに離陸させるツールとして、ブログは非常に面白いと私も考えていました。表現というか宣伝は苦手だけど、膨大なノウハウを持っている団塊のリタイヤ世代が、自分の存在と知をアピールしていく手段として、とても良くマッチするんではないか、と思うんです。

にしても!ムギさんが親指シフターな方だったとは!大変失礼ながら、まだ全部の記事を読んでいなかったので、気付きませんでした。

月配列とは・・・よくぞ聞いてくれました!!
って、語り出すと長くなり、ここで書くとご迷惑になると思いますので、後ほど、トラックバックさせて頂きますね!ご興味ありましたら、読んでみて頂ければ幸いです!

って、すでに十分、長いですね。どうもスミマセン・・・。

投稿者: ムギ (Apr 29, 2005 11:59:34 PM)

Uジローさん、こんにちは。

いえいえ、長くても大丈夫ですよ。どうぞ、どんどん書いてください。

ブログをやっていておもしろいな、と感じるのが、やはり人との出会いの機会を提供してくれることです。

メールで、あるいは実際にお会いする方がとても増えました。

そして、同じようなアンテナがたっている同士なので、会話もとても弾みます。

親指シフトは、私はなくなったらどうしよう、と思うし、ノートパソコンを買うときもポイントは「以下に親指シフトをするために変換・無変換のキーボードの場所が押しやすいか」という視点で買っています。

ですので、月配列にこだわるUジローさんの気持ちもよくわかる気がします。

またいろいろと教えてください。

投稿者: K (Feb 7, 2007 6:01:32 PM)

「少子化問題」といいますが、何が「問題」なのか明確にする必要があると思います。『少子化社会対策基本法』には「平均寿命の伸長による高齢者の増加とあいまって、我が国の人口構造にひずみを生じさせ、二十一世紀の国民生活に、深刻かつ多大な影響をもたらす」とありますが、マクロな国民生活に対して具体的にはどのような影響があるのでしょうか。労働投入量の減少、年金・保険負担の世代間格差、長期的資本ストックの減少、女性就労人口の増加など…がぱっと思い浮かびますよね。
まず、少子化による人口の減少は労働投入量の制約となり経済成長を圧迫するという議論があると思います。一方で、資本ストックの蓄積が進むので一人当たりの資本装備率が高まり労働力一人当たりの生産性は高まる。従って労働投入量の減少は資本装備率の増加によってある程度相殺されるということになります(ソローの生産関数の議論ですね)。
次に「年金・保険問題」の話ですが、一般にいわれているように「世代間の支払格差の問題」は大きくないのでは、と常々考えています。なぜなら、リカード=バローの「中立命題」のように、親世代の効用関数に子の世代の効用が含まれる、つまり将来の子供の年金の負担が重くなることがあらかじめ想定されているわけだから、「遺産」という形で次の世代に継承される、という考え方が欠落しているのではないかと思うからです。
「少子高齢化」の問題ですが、高齢者の持つ高い(潜在)購買力は、一方で実際の消費(課税も含む)として、他方で次の世代への遺産として所謂「現役世代」に還元されているのではないかと考えます。一般に「少子高齢化」は労働人口の減少、高齢化対策のための費用負担の増大(社会的コストの増大)といったネガティブな見方ばかりされているような印象を受けます。
最後に、この問題は非常にプライヴェートな問題なのでマクロ的に議論するのがどうか、という思いもあります。少子化の原因が個人の最適化行動の結果だとしたら、それは「所与」の問題であって、例えば人口減少の問題点の基本観としてGDPの減少があるとは思うのですが、社会のウェルフェアに対する価値観がGDPから何か他のものに移っているのでは、という見方もできますよね。
少子化に対する施策ですが、例えば事業主が採るべき手段として、育児休業制度の充実などの雇用環境の整備などがあげられています。しかし、育児休暇に限らず”mouse year”の世の中での1年のブランクは自身のキャリア・プランに大きな影響があることは明白であり、特に仕事ができて収入が高く子供を育てる経済的余裕があるひと(家庭)ほど、子供を産まないという可能性があるわけですよね(実際には世帯収入に関わらず平均2人)。そういった意味では、キャリアをまい進する収入の高い妻/夫とロジスティクス担当の専業主夫/主婦の組み合わせがいちばん子供を産み育てやすい家庭環境とも考えられるわけで、むしろ専業主夫/主婦を優遇する制度のほうが現実的なインパクトがある可能性もありますよね。
いずれにしても、二十一世紀の国民生活がどのような状況にあれば国民の多数がカンファタブルなのか、ということをある程度明確に設定しなければ(それはとても難しいことだけれど)、「少子化対策」が奏功して人口ピラミッドが是正されたとしても、「生命を尊び、豊かで安心して暮らすことのできる社会」が実現できるとは限らないんじゃないかな、と思います。

投稿者: MUGI (Feb 18, 2007 11:09:57 PM)

Kさん、こんにちは。

とちらかというと、やはり急激な変化を避けること、変化の将来を、弱者にしわ寄せが行かないようにすること、が設計上のポイントかと思います。

ですので、リスクマネジメント的な視点で捉えるべきかと思っていますが、いかがでしょうか?

投稿者: ChunteeTrerve (May 29, 2011 11:15:20 PM)

CHEAP LUCKY STRIKE CIGARETTES CARTON

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