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November 02, 2004
なぜITは社会を変えないのか The Social Life of Information
フランクリン・プランナーに関するブログの中で、Mioさんから「なぜPDA等ではなく紙の手帳を使うのか?」という質問がありましたので、よい書籍を紹介します。
ゼロックスの有名なパロアルト研究所(PARC)所長のブラウン氏などによる情報に関するエッセイです。日本語ですとITに関する本と誤解されそうですが、中身は情報論・学習論・組織論など多岐にわたっており、原題のThe Social Life of Informationの方がより適切に中身を示しています。
この本の中で、著者は現在のできの悪いデジタル化に基づく情報処理を「トンネル・デザイン」と呼んでいまして、本来の人間の中で行われているやりとり、具体的には相手の容貌、年齢、言葉のアクセント、背景と言った総合的な情報を落としてしまうものとして懸念しています。
私はこの主張に全く同感です。まだまだPDA等は紙に比べると「できの悪いトンネル・デザイン」の製品が多く、紙に劣る面が多いため、紙の手帳を手放せなくなっています。
より詳細に本の内容を紹介すると、以下の通りです。
1.私たちは「極度にデザインされた」世界に住んでおり、各種のデザインが生み出した強みと弱みから限界を学ぶことが大変重要である
2.いわゆるITは現実の事象を極度に単純化してデジタルに押し込めるので、よほどデザイナーが優秀でないと、現実とはかけ離れたものになる
3.ビジネスの進歩はプラクティス(実践)から生まれるため、一度固定されたトンネル・デザインになると、その進歩が止まりがちになる
4.学習と組織はよくデザインされたものが必要であり、学習機能こそが知的資本蓄積の根元にある。これはデジタルや情報エージェントでは補助はできても、代替できない
5.紙は情報をコンパクトにデザインしてまとめたものであり、電子ではHTMLのようにユーザーへのコミュニケーション手法を考えたものであれば訴求するが、単なる文字の固まりでは紙に劣る
などです。
まだまだ示唆深く、おそらく著者の言いたいことの数分の一も理解できていないと思いますが、情報とは何か、ということに興味がある方には必読の書です。
近々原書も届く予定ですので、またじっくり読んでなにかわかったら記事にします。
2004 11 02 [3.お勧めの書籍2.実体験観察から] | 固定リンク
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