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August 07, 2005

レクサスとオリーブの木~グローバリゼーションを理解する

レクサスとオリーブの木

The Lexus and the Olive Tree: Understanding Globalization

今週は、NY Timesの記者で、「The world is flat」の著者のThomas L. Friedmanの作品を再び紹介します。

この本ですが、ちょうどアジア危機の前後に書かれた本で、どのような流れでグローバリゼーションが進みつつあるのか、著者が豊富な実体験を元に、いろいろなケースや統計を引きながら、こつこつと説明していく良書です。

一部のレビューでアメリカ礼賛のように書かれているものが多いようですが、実際にはそのようなことはなく、アメリカに対しても十分に批判的に考えています。ただ、本のテーマとして一貫して流れているのは、いかにグローバリゼーションが不可避かつ不可逆なものであり、それが各国の旧システムとどのような葛藤を引き起こしているのか、という説明になります。

グローバリゼーションの象徴がレクサスであり、旧システムの象徴がオリーブの木なのです。

邦訳も上下2巻と成っていることからわかるとおり、とても長い本ですが、章立てが丁寧に分かれているので、暇な時間にこつこつと聞くのに向いたAudio Bookになっています。

私にとって、特におもしろかった部分は、アメリカの部分でも日本の部分でもなく、それ以外の国の事例でした。例えば、

・なぜフランスの官僚制は陳腐化して競争に負けていったか、
・スリランカとシンガポールでは、1970年はスリランカの方が栄えていたのになぜ逆転していったのか、
・中東の国々の問題は何か、
・ロシアは今後どうなっていくのか、

など、目鱗なエピソードが満載でした。

グローバリゼーションがいいか悪いかという価値観の論議以前として、実際にグローバリゼーションに対応していった国々が明確に高い成長を達成してきて、Winner Takes Allになっている、それに対してこの本が出された後に発生した、アジア危機や9.11など、歪みが生じているのも事実です。

しかし、それでも筆者は、グローバリゼーションは不可避であり、地域ナショナリズムとグローバリゼーションの融合やバランスの取り方こそ、政府や国民がいま考えるべきポイントであり、そこに目をつぶってはいけない、ということを主張します。

日本ではあまり有名な本ではありませんが、海外のマネジメント層は題名を聞くとだいたい「ああ、あの本ね」とわかる程度には有名な本ですので、海外と仕事をする機会が多い方、あるいは普段から国際面をよく目を通している方にお勧めです。

2005 08 07 [3.英語-Audio Bookのお勧め] | 固定リンク

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» 『レクサスとオリーブの木―グローバリゼーションの正体』(上巻) from A Critique of The Universe
『レクサスとオリーブの木―グローバリゼーションの正体』という本の上巻を読みました。著者はアメリカ人ジャーナリストで、インターネットによって加速した世界の資本移動をさまざまなエピソードによって具体的に説明しています。 原著は1999年の出版ですが、まだまだ現在の世界にも通用する議論です。 インターネットではモノの売買でユーザーと売り手との垣根をとっぱらわれましたが、それ以上に世界に大きなインパクト�... 続きを読む

受信: Oct 3, 2005, 12:32:34 PM

コメント

投稿者: asumidd (May 20, 2007, 3:43:43 PM)

毎回HPを楽しく拝見しています。ムギさんのHPをみてAudibleに興味を持ち昨年会員になりました。色々とダウンロードして楽しんでいますが、日本の訳本を読むのとはまた違い生のニュアンスが伝わり勉強なります。年収10倍UPの本も拝見しました。非常に具体的でわかりやすくよい本ですね!最近Audible/Podcast英語関係のブログをはじめましたのでもしよければ立ち寄って見てください。またお邪魔します。
 

投稿者: ムギ (Jun 5, 2007, 12:15:14 AM)

asumiddさん、

コメントありがとうございます。Podcastのブログは多いのですが、Audibleのブログはほとんどないので、うれしいです。

私はAudibleでは、ここで紹介するのもどうかと思うくらい、マニアックなものをよく、DLして聞いています。

いつまでも続いてほしいサービスです。

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