« オーディオブック入門講座 | トップページ | The World Is Flat ~ グローバリゼーションの流れを多面的な視点から読み解ける »

July 10, 2005

The Power of Gold ~ 金と人間の文明史

The power of gold

The Power of Gold: The History of an Obsession

今週は、経済もののストーリーを語らせると、天下一品、ピーター・バーンスタインの「The Power of Gold」を紹介します。邦訳は「ゴールド―金と人間の文明史」という邦題で出版されています。

「The Power of Gold」の話に入る前に、ピーター・バーンスタインを紹介します。ピーター・バーンスタインは投資顧問会社を起こした人で、優れた実務家である一方、経済学やリスクに関する優れた著作をいくつものこしていて、経済学や金融を学ぶ人にとって、「リスク」「証券投資の思想革命」などは必読の書と言われています。

「The Power of Gold」は、ピーター・バーンスタインの最新作で、金を題材として、神話の時代からどのように金が珍重され、装飾物から通貨としての地位を獲得し、その後、ニクソンショックを迎えて地位が凋落するまで、数千年にわたる歴史について、金を中心に書き下ろしたものです。

金、は日本ではMoneyとGoldが同じ金、と書くように、もともとの貨幣は金が中心でした。金は、品質が変わらないこと、柔らかい金属で伸ばしたりすることが簡単にできること、非常に密度の高い金属で貯蔵性に優れることなど、さまざまな他の金属にはない性質があります。

このオーディオブックの中では、金が神話のミダス王の時代から始まり、アジアとの交易に使われ、鋳造技術の発達により装飾品から通貨としての地位を手に入れ、そして戦後に信用創造及び紙幣の発達により、最後は金本位制が崩壊して再び一コモディティの地位まで落ち込むまで、金にまつわるさまざまな物語やエピソードを交えて、人間の欲望を書き出していきます。

日本に関しては、マルコポーロのジパングのエピソードを中心に簡単に触れられています。日本に限らず、金という素材がどのように人びとの欲望を動かし、虜にし、そして最終的にはその地位を失っていったのか、壮大な物語を聞いてみると、身の回りにある金についての見方も変わりますし、人の欲望や経済の本質が見えてくるような気がします。

この本を文章ではなくオーディオブックで勧めるのは、隙間時間に少しずつ、いろいろなエピソードを聞いていくのに向いているためです。邦訳は470ページにも及びますが、オーディオブックで聞いておもしろいと感じた場合には、邦訳や原書を読んでもおもしろいと思います。

人の欲望と経済に興味がある方にお勧めします。

2005 07 10 [3.英語-Audio Bookのお勧め] | 固定リンク

トラックバック

この記事のトラックバックURL:

この記事へのトラックバック一覧です: The Power of Gold ~ 金と人間の文明史:

コメント

カテゴリー