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July 24, 2005
Conspiracy of Fools ~ エンロン事件をドラマで再考する
私もいつも楽しみにしている、アメリカ在住Jさんのお勧めが再び届きました。今回は「Conspiracy of Fools」、エンロン崩壊の内輪話です。Conspiractyとは日本語に訳すと陰謀、というところでしょうか。
以下はJさんのレビューです。
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Conspiracy of Fools
Kurt Eichenwald
以前にJack Welchの新刊 “Winning”について紹介させてもらいましたが、その本のプロモーションでWelchは全米を回って講演とサイン会を最近までこなしていました。
その中のある会で、「最近どんな本を読みましたか」との質問に対し、Welchの答えは「主に “inside business stuff”」というもので、いわゆる「内幕もの」という感じでしょうか。例として “Disney War” と、今回ご紹介する“Conspiracy of Fools”を挙げていました。
本書はあのEnronスキャンダルの展開を、小説仕立てのスタイルで詳細に再現したものです。原著は700ページ以上あるずっしりと重い本です。
著者はThe New York Timesの記者で、ジャーナリストらしく気が遠くなるほどの膨大な文献調査と多数の関係者インタビュー(Ken Layと Jeff Skillingを含む)の裏づけの元に、交わされたであろう会話も含め、個々のシーンの再現を試みました。サブタイトルはA True Storyです。
そもそもEnronという会社ができたきっかけの合併がどのように起こったのか、Ken Layがどのような経緯でCEOになったのか、マッキンゼーのディレクターであったJeff SkillingがEnronに関わるきっかけは何だったのかなど、主人公の登場が実に親しみやすく描かれています。
本書によると、どうやらマッキンゼーは、最初は合併した2つの会社の間でOmahaかHoustonか、どちらをのちのEnronになる新会社の本社にすべきか、という問題(イシュー)のプロジェクトを請け負ったのが始まりらしいです。
また、現在のところ悪役No. 1の元CFO、Andy Fastowがスペンサースチュワート(エグゼクティブサーチ会社)の介在で証券化の実務家としてSkillingに紹介され、すぐに意気投合するシーンでは、その後の大変なスキャンダルのにおいなど微塵もありません。
そして物語は、Enronの損失隠し・負債隠しのため、数々の特別目的会社(SPV)をFastowが次から次へ作り、一部同僚とともに私腹を肥やしまくり、それに対して会計士、弁護士の何人かはその異常さに気づいて愕然とし、他の何人かは目くら判でお墨付きを与えていく情況などが、一大絵巻のように描かれます。
そしてついに隠蔽しきれなくなり、数々の悪あがきにもかかわらず、アメリカビジネス史に残る大スキャンダルとなって世の中に晒されました。
ドラマ仕立てのnarrativeはやはり大変に面白く、どんどん次から次へ先を聴きたくなります。ビジネススクールや雑誌に出てくるケーススタディは、とかく無機的で客観状況のみが提示されていて、物語としてはentertainingではないことが多いと思います。
本書は登場人物の細かい感情の機微や、苦悩・欲望などがビビッドに描かれているので、大変にリアリティのある読み物になりました。超現実主義者のJack Welchが手を伸ばすのもうなずける感じがします。
オーディオCDは全8枚のabridged版です。登場人物の数が多くて途中で迷子になりそうになりますが、幸いなことに別冊で登場人物の一覧表が入っているので、一人一人確認をしながら聴いていくことができます。
アメリカのいわゆる知的プロフェッショナルと言われる人たち、会計士、弁護士、インベストメントバンカー、コンサルタント、政府関係者などが、どんな雰囲気で仕事をしているかを垣間見るのにも役立つ一冊です。
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ちなみに、エンロンについては私が最初に就職した会社がこの事件で解散になり、その後に勤めた2社もこの事件には関わっており、個人的にも興味が深く、ぜひすぐに買ってみたいと思いました。
(参考-これまでのJさんのレビュー)
The Success Principles
Winning
flow
My Live
Difficult Conversations
blink
How Full is Your Bucket?
Execution: The Discipline of Getting Done
Spontaneous Fulfillment of Desire
What Should I Do with My Life?
Re-Imagine!
The Power of Full Engagement
2005 07 24 [3.英語-Audio Bookのお勧め] | 固定リンク
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» Conspiracy of Fools from イタリア人になれるかも?
Conspiracy of Foolsを読み終えた。
あのエンロン会計疑惑の大事件についての小説。
読み終えたというより、聴き終えた。が正確な表現です。
というのもいつものAudiobookですんで。。。
結構なヴォリュームだったが、後半の生ナマしい会話は、
一気に聞きたいと思わせる展開で思ってたより楽しめた。
内幕が暴かれる様をドキュメンタリー小説さながらに
臨場感溢れる形で書かれているので、映画を観ているようで
飽きずに聞けた。もう一度後半部分は改めて聴こうかな。
... 続きを読む
受信: Sep 9, 2005, 11:14:32 PM
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