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June 12, 2005
Poe's Heart and the Mountain Climber~不安と上手に付き合う10箇条
Poe's Heart and the Mountain Climber
今回は、脳科学の観点から、自分に不安が生じたときに、脳の中でどのような変化が起きていて、どううまくこの不安と付き合えばいいのか、前回紹介したMozart's Brain and the Fighter Pilotと同じRichard, M.D. RestakのAudio Bookを紹介します。
邦訳は、脳トレ[不安に負けない編]という表題で発売されています。
最近、うつ病・NEET・自殺・社会の階層化など、私たちの不安を不必要に喚起するような出来事が増えてきているように感じています。
作者のリチャード・レスタックは、この不安について、脳の仕組みから正面勝負を挑み、「なぜ不安が生じるのか」「恐怖と不安、ストレスはどう違うのか」「動物も不安を感じるのか」「不安からとき離れたときに人間はどうなるのか」など、様々な不安に関するテーマについて、言及していきます。
この本を聞くと、不安の発生メカニズムや、その対処方法について、現実的な処方箋を得ることができます。
その中でも、私が特におもしろいと思ったのは下記の内容です。
1. マスコミや商用情報は、私たちの不安をあおることであえて視聴率や売上を稼ごうとしている
そう、人の注目を集めたり、ものを買わせたりするのにもっとも効果的で良い方法は、「人の不安をあおること」です。なので、現実の確率以上に病気の、テロの、健康上の不安をあおります。
「今の状態ではあなたは○○の不安を抱えているから、××に乗り換えるべきだ」というのが現在の主たる広告手法です。
これは、全うに受け止めると、こちらの神経が持ちません。
2. しかし、不安は脅威に対していち早く判断を行う能力であり、必要なものである
実験で、ボスザルに扁桃体と言われる不安を感じ、制御する部分を削除したところ、そのボスザルはボスザルとしての役割を果たすことができなくなり、ヒエラルキーの底辺に追いやられました。
一方、前頭葉がこの扁桃体に対して別の信号を送り、バランスを取るように脳が動きます。アメリカで、不安症や精神症の人を救うために行った、前頭葉を切断するロボトミー手術が結局は問題になったのは、この機能を切断し、人間らしさを保てなくなったためです。
3. 不安と上手に付き合うための10箇条
不安を上手に付き合うため、作者は下記の10項目を推奨します。
(1) 不安の原因を突き止める
(2) 不安を認めて、制御するための日記をつける
(3) 不安を感じていないときには、あえて感情に必要以上に関わらない
(4) 不安を煽るシナリオを反芻していたら、あえて蓋をする
(5) 不安なときには規則的な生活を心がける
(6) 不安が高まってきたら、自分の中の優先順位を守る
(7) 不安の温床となるような、暇な時間を作りすぎない
(8) 不安を抑えるため、些細なことよりは、大局的な視点を心がける
(9) 不安になったら、1人で我慢せずに、家族・友人に相談する
(10) 不安になったら、エクササイズをする
引きこもりやうつ病の一番いい対処方法は、「規則正しい生活をし、特に日光を浴び、運動をすること」だと言われているのも上記と照らし合わせると、うなずけるところです。
不安になってしまうのは仕方がないし、不安も必要なものなのですが、必要以上の不安を感じないよう、不安の仕組みを知り、その対処をうまくしていく方法を日常に組み込んでいく、という発想はおもしろいと思います。
不安は排除することは不可能だし、排除してもいけないものなので、上手に、上手に付き合っていきましょう。
2005 06 12 [3.英語-Audio Bookのお勧め8.自己研鑽・Selfhelp] | 固定リンク
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コメント
投稿者: じょうざえもん (Jun 18, 2005, 11:14:19 PM)
なるほどって思いました。
1 今の、特に日本のマスコミと消費者向けの販売促進はほとんど不安促進ですね。特に、健康とダイエットについての情報は異常な状態だと思います。私は仕事として消費者向けのインセンティブを企画していますが、仕事とはいいながら、そんなに健康健康しなくてもいいじゃんと思ってしまいます。お酢を飲んだか飲まないか、サプリメントを飲むかどうかによってどれだけ幸せが変るんだろうかって。ダイエットについてもしかり。未許可の中国製ダイエット薬で死亡者がでるなんて国、お孫さんが生まれて幸せな60代の女性がダイエットする国って(別に20代ならしていいと言うわけではないけれど)なんだろうって思います。不安なので、何かせずにはいられないんですね。
2はごもっとも
3もなるほど、ですが、ただし「原因をつきとめる」のはどうかとは思います。不安は人生に必要な要素だし、つきとめるとほっとけなくなると思うから。「原因をつきとめず」にその他の項目を実行するのはどうでしょう。
息子が心理的なトラブルを抱えているので、いろいろ他人と話をしたり、情報を得たりすることが多いですが、原因をつきとめるのがよい解決と思えなくなってきました。たとえ、背が低いことが原因であっても、言葉がうまく話せないことが原因であっても取り除くのは困難ですものね。
ちなみに我が家のオカメインコは家族が出かける気配がすると「ぴーぷぅ、ぴーぷぅ」と呼び泣きをします。これは不安から
呼んでいるのでしょうか?雛鳥のときは「じょー」と泣いてたので私のHNとして使わせてもらってるのですが。
投稿者: ムギ (Jun 20, 2005, 2:48:15 AM)
じょうざえもんさん、こんにちは。
コメントありがとうございました。
どうなんでしょう、でも問題をもし解決したければ、やはり原因を調べるのは必要だと思います。それでもっと悪くなることもあるかもしれませんが、曖昧にしていると次に進めませんので。
オカメインコ、うちも呼び鳴き、すごいです。ピーー、ピーーーとよくやっています。ちなみに、雄ですか? 雌ですか? うちは雄です。
投稿者: じょうざえもん (Jun 20, 2005, 9:41:47 PM)
ムギさま
たしかに、曖昧だと次に進めませんね。この件に限らず問題のありかを明確にする中に「原因をつきとめる」事が含まれていると思います。
我が家のオカメインコは小六のひとり息子が弟分がほしくて「活発で人なつっこい」ので絶対オスと思い込んでお迎えしたのですが、どうも「とてもお転婆な」メスのようです。気が小さくて、寂しがりでおかしいですが、飼い主そっくりとの噂も。
投稿者: こびと (Jun 24, 2005, 9:05:47 AM)
こんにちは。
「あれも買わなくちゃ、一応これも買っておかなくちゃ」なんてついつい買い物してしまうので、まさに戦略にハマっています。
アソシエ読みました。
自転車ステキでした。
これからもがんばってくださいね。
投稿者: ムギ (Jun 25, 2005, 9:08:07 AM)
こびとさん、こんにちは。
そうなんです、ついつい不安にされると買っちゃいますよね。で、使わないものの山が(苦笑)。買うのを我慢する、というのも大事なスキルような気がします。
アソシエ、見ていただいてありがとうございました。あの自転車でいつも都内を走り回っています。たまにバイク便のお姉さんと間違えられたりしますが、都内で赤と黒のツートンのMTBをみかけたら、おーーーっとか思ってください(笑)。
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