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May 07, 2005
Gorilla Game, Inside the Tornado ~ ハイテク・マーケティングの名著を聞く
Gorilla Game Inside of the Tornado
今回は、キャズムを提唱したことで有名なGeoffrey A. Mooreの名作カセット2本を紹介します。すべての作品は、アメリカではベスト・セラーになりました。
Inside the Tornadoは日本で買うことが可能ですが、Gorilla Gameは品切れ中のようです。カセットテープですので、ご注意下さい。また、どちらの本も邦訳がありましたが、すでに絶版になっています。復刊ドットコムで投票等しているようです。
さて、この2本の内容ですが、ひとことで表すとハイテク・マーケティング企業が成長する際に起こりうる生態系の観察になります。ゴリラゲームはそれを株式投資の対象として考えるもの、トルネードはキャズムを超えるときに何が起こるのかを深く観察した内容です。
Geoffrey A. Mooreのキャズム理論を知らない方のために簡単に解説します。ハイテク製品は、アーリー・アダプターからアーリー・マジョリティーに移るときに「キャズム」というマーケティングの罠が存在し、それまでの進歩的なリスクテーカーから比較的保守的なメイン・ストリームの層に移るためにはそれまでとは全く違うマーケティングやプロダクト開発手法を採らなければならない、ということを丁寧に解いたものです。
ゴリラゲームでは、上記の理論について、さらに深い考察を加え、生態系のトップになる企業をゴリラとよび、その模倣者をモンキー、違う生態系を独自に作るがメジャーになりきれない企業をチンパンジーと呼びます。そして、なぜゴリラがトルネードと言われるような、アーリー・アダプターからアーリーマジョリティーに市場が広がるときにゴリラが生じるのか、わかりやすく、観察します。
ちなみに、ゴリラとはどういう企業を指すのか。例えば、マイクロソフトやインテル、オラクルなどです。彼らが生態系のトップにいて、彼らに忠誠を捧げる企業がたくさんいます。そして、彼らがちょっと仕様を変更すると、みながそれに向かってわーーーーっと応援するような形で自社製品の仕様変更も行うわけです。
そして、何がどう売れようと、その生態系で物が売れると、最終的にはゴリラ企業にその利益が落ちるようになっています。このように、ゴリラ企業とは、一定のテクノロジー・アドバンテージを背景とした、バリューチェーンの王様なのです。
ゴリラゲームの投資戦略としては、ゴリラ候補になる株をバスケットで買っておいて、ゴリラにならないものは売却し、ゴリラになったものを持ち続ける、ゴリラが自分の勢力を守れなくなった段階で売却する、と言う非常にシンプルな手法を提唱しています。
また、トルネード経営では、調子よく売れ始めた製品・サービスの経営者やマーケティング担当者がしなければならないこととしてはならないことを、まとめています。例えば、トルネードの段階においては、オーバースペックは禁じ手、品質改善よりはスループットを中心に行うこと、ニッチマーケットを埋めていくこと、などいろいろ示唆があります。
ハイテク関連や、マーケティングに興味がある方には、お勧めの2本です。邦訳は入手が難しいですが、英書は簡単に入手できますので、カセットではなく本を好む方は、下記をどうぞ。
Inside the Tornado
The Gorilla Game
ゴリラ、キャズム、トルネードなどはGeoffrey A. Mooreが提唱して以来、マーケティング関連書には繰り返し引用される用語となっています。わかっているようでわかっていないこれらのことば、原書に当たってみることをお勧めします。
2005 05 07 [3.英語-Audio Bookのお勧め7.投資・ファイナンス関連] | 固定リンク
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