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February 26, 2005

Difficult Conversations ~ 言いにくいことを上手にコミュニケーションする

Difficult Conversations

Difficult Conversations: How to Discuss What Matters Most
by Douglas Stone, Bruce Patton, and Sheila Heen

アメリカ在住のJさんから新しいお勧めが届いています。Jさんが何十回も聴いた名作です。日本では「言いにくいことをうまく伝える会話術」という題名で書籍の邦訳が出ています。

同じようなトピックでは、アサーティブについてもみなさんの評判がよく、こういう技術をもっと学んでいきたいと思います。

以下はJさんからいただいたメールです。

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昇給・昇進を交渉する、恋愛関係を解消する、部下に厳しい勤務評定を言い渡す、困っている人に対し力になれない旨を伝える、他人の傍若無人な振る舞いに立ち向かう、圧倒的多数の賛成の中で独り反対意見を述べる、謝罪する...

ハーバード大学の中にnegotiationを研究する部門やプロジェクトがあります。本書はそこの研究者3人によるものです。

職場で、家庭で、または隣近所で、difficult conversations は日常的ですが、往々にして私たちは、difficult conversationsというものを避けて済ませたいものです。で、自分だけで我慢して不満を抱え込む...日本人の心理はとりわけそうかも知れません。

しゃべっても避けてもいずれにしても不愉快、じゃあ、どうしたらいいのでしょうか。著者たちはまずdifficult conversationsには3つの要素が混在していると論じます。

1つ目はThe “What Happened?” Conversation。何が起きたのか、誰が何を言ったのか、本来はどうなるべきだったのか、ということについての意見対立ですが、実際は事実をめぐる攻防ではなく、前提条件、話し手の意図(intention)、誰のせいかというblameなどについて、話しているわれわれが勝手に思い込みを持ってしまうことが問題を起こします。

2つ目は The Feelings Conversation。相手を前にした自分の中の感情をどうすべきか、あるいは押し殺すべきか。結末についてはしょうがないけどただこちらが傷ついたことをわかってほしいのに、というようなケースです。

3つ目はThe Identity Conversation。話題はある仕事の進み具合だったり、隣の家の騒音だったりするが、それらについて話すことが自己イメージや自信、自分の人格というものが揺さぶられてしまうことがあります。

そしてそれぞれに対して、実際のさまざまな会話の例を紹介しながら、ヒントと処方箋を多数提示していきます。その基本線は、表面的な思い込みをできるだけ排し、言いっ放したりあるいは相手をねじ伏せようとするのではなく、 “learning conversations”のスタンスに切り替えていこう、というものです。一部をご紹介します。

例えば、blameの発想からcontributionの発想へ、というのがあります。若手が上司にプレゼンの資料を渡したが、それが違うクライアントへの資料で、上司は現場で大恥をかいた。こんな状況では通常blameの発想で、「お前、何て事をしてくれたんだ、2度とこんなことは起こさないでくれ、もし今度あったら...」となります。

それに対してcontributionの発想では、2人以上の人間が関わっている以上、悪意や怠慢ということとは無関係に、それぞれがトラブルに対して何かしらcontributeしていると考えます。例えばたまたま上司が妙にカリカリしていて、ひるんだ部下が確認したい旨を言い出せなかったのかも知れない、など。こういったことを対話の中から引き出せれば、話は感情的にならず、今後どうしたらいいかが明確になります。

あるいはintentionとimpactを混同しないようにすること。自分のintentionはわかるが相手のintentionはわからない。相手から自分が受けたimpactはわかるが自分が相手に与えたimpactは見えない。そこに思い込みや早とちりを生む土壌があります。「あいつ、俺に恥をかかせようとしてんだな」とか。

また本書では、感情というものときちんと付き合い、押し殺すのではなく注意深く表現することを勧めます。しかしその場合も落とし穴があって、感情表現を間接的にする私たちの癖が、話をさらにややこしくすることになりがちだといいます。

例えば、友達だったらこういうとき普通は何かするものだよ(judgments)、どうしてそんなに冷たくするんだよ(attributions)、お前、何て無神経なやつなんだ(characterization)、君がすぐに返事をくれればいいんだよ(problem-solving)、などと言葉で言ってしまいますが、感情表現は「僕はさびしかったんだ(I felt lonely)」と一人称であるべきなのだ、といいます。

実際にどんな言葉遣いをしたらいいかまで紹介しています。例えば、Can you say a little more about how you see things? What information might you have that I don’t? What impact have my actions had on you? Say more about why this is important to you? など。

本書はあるエグゼクティブ・コーチの方から2年ほど前に紹介していただいたものです。個人的には、聴いた回数でいうと本書のCDは圧倒的にナンバー1です。間違いなく20回以上は聴きました。古い言い方をすれば、昔のレコードだったらもう擦り減って溝がなくなっているぐらいです。

今私はアメリカ国内の職場に身をおいていますが、このCDを聴いて以来、職場での人間関係のマネージが飛躍的にやりやすくなりました。(ついでに言えば家族での会話にも同様の効果がありました。)

英語修得という視点からは、一方でボキャブラリー・文法・発音・ヒアリングなどという技能的なことがあって、他方には現場でネイティブとがんがんしゃべってという実践面とがあります。私は長年この2極の間に何かが大きく欠落しているような気がしていたのですが、このDifficult Conversationsのような内容はこのギャップを埋め得るるものの一つではないかと感じました。ビジネス英会話に即効性があります。

ウエブサイト、www.difficultconversations.comもご参照ください。また、これを書いている今まで知らなかったのですが、邦訳が「言いにくいことをうまく伝える会話術」というタイトルで出ているようです。そんなひどい邦題ではないですが、個人的には白痴っぽい漫画の表紙はやめて欲しかったですね。

(参考-これまでのJさんのレビュー)

blink
How Full is Your Bucket?
Execution: The Discipline of Getting Done
Spontaneous Fulfillment of Desire
What Should I Do with My Life?
Re-Imagine!
The Power of Full Engagement

2005 02 26 [3.英語-Audio Bookのお勧め] | 固定リンク | コメント (2) | トラックバック

February 22, 2005

音声学習を続けるための3つのコツ

意識と無意識

少し間が空いてしまいましたが、今回はどうやって音声学習を続けるか、ということについて説明したいと思います。

このブログで紹介している音声学習も含め、社会人学習でもっとも難しいことは「続けること」だと思います。

どうしても、毎日が忙しいため習慣化するまでにはいろいろな言い訳が先に立ってしまって、なかなか続けることができないまま、効果が出る前に終わってしまいます。

そこで、経験則から出てきた3つのコツを紹介したいと思います。これはあくまで私の体験上のまとめですので、他の方法が合っている人もいると思いますが、とりあえず試してみてください。

音声学習を続けるための3つのコツ

1. (Input) 身の回りにたくさんの音声コンテンツ・機器を用意する。
2. (Process) 勉強ではなく、音楽を聴く気分で、無意識に気楽に聴く。
3. (Output) アウトプットにつながる場所を用意する。

以下、具体的に説明していきます。

1. (Input) 身の回りにたくさんの音声コンテンツ・機器を用意する。

音声学習は、隙間時間にコツコツと聴くことが大事です。そうすると、まずはMDとかMP3などを持ち歩くこと。次に食卓、家の書斎、寝室、会社のオフィスなど、ふだん過ごす場所に、MDプレーヤーやCDプレーヤー、コンテンツを置いておきます。

イメージで言うと、ひまなときに、ついついテレビをつけて見てしまう、あるいはウェブ・サーフィンをしてしまう、というのがあると思いますが、同じような感覚で、ちょっと時間があったら、とりあえずヘッドフォンをかぶる、あるいは近くにあるMDラジカセの音を入れる、パソコンのi-Tunesを立ち上げる、などテレビとほとんど同じ感覚でアクセスできるように、周りに心がけます。

幸い、最近の音楽機器はコンテンツに比べると値下がりのスピードが速いので、ちょっと前に発売されたものであれば、MDプレーヤーでもMP3プレーヤーでも、1万円~2万円で買うことができますので、ヘッドフォンと共に、どこでもいつでも聞けるようにしておいてください。

MP3プレーヤーを持ち歩くのもいいと思いますが、この場合は換えの電池を必ず持ち歩くことを忘れないようにしてください。

参考に、私が用意している機器は下記の通りです。

持ち歩き-MP3、Hi-MD再生専用機
パソコンの周り-MD/CD/カセットラジカセ、Hi-MD録音再生機
食卓-MD/CDステレオ
寝室-使わなくなった古いMDウォークマン、CDウォークマン
会社-通常のMD録音再生機

そうすると、鞄の中に数枚のMDがあれば、自分の行動半径であれば、いつ・どこにいっても、テレビをつけるのと全く同じ感覚で、MDの再生を始めることができます。

2. (Process) 勉強ではなく、音楽を聴く気分で、無意識に気楽に聴く。

学習だと思うのではなく、音楽を聴くのだ、という感じで聴けば十分です。どうしてかというと、音で聴く、ということは意識してヒアリングする、ということをしなくとも、聴いているだけで無意識の記憶の方に入っていきますから、必要なときに意識をする・しないにかかわらず、アウトプットできるようになるからです。

私たちが記憶や学習と言うことを考える際に、意識しているそうと無意識に蓄積しているそうでは、3%対97%ぐらいの割合で、無意識層の蓄積が大きいというのが最近の学説になっています。

勉強を意識してするのではなく、気持ちのよい音楽を聴きながら、気がついたら無意識層に内容が自然と入っている、そのような感覚で十分です。

ですので、できれば音質のよい音声機器やヘッドフォンがあった方が、気持ちがよく音声学習を続けることができます。外を散歩しながら、日本でも英語でもよいオーディオをよい機器で聴いて歩いていますと、とてもいい気分になります。

3. (Output) アウトプットにつながる場所を用意する。

せっかく無意識に蓄積したのに、アウトプットをしなければ中身は出てきません。アウトプットにつなげるためには、自分の現実的な目標を使うのが一番です。

職場の昇進試験でもいいですし、TOEICでもいいですし、売上ノルマの達成でもいいです。あるいは、このブログ/メルマガのように、とりあえず内容を人に話して聞いてもらう、というのがいいと思います。

ブログに書くのが面倒だ、周りに聴いてくれる人がいないということであれば、自分専用のメモを作ってもいいし、自分の説明をボイスレコーダーに話して録音してもいいです。

自分でもびっくりするくらい、無意識に聴いていたオーディオの内容を覚えていて、びっくりすると思います。

学習の結果は、リニアではなく、幾何級数的、それもときどき階段状に上っていくと言われています。少し試してみて、あまり効果がないな、ということでやめてしまうのではなく、自分の好みのオーディオを見つけて(極端な話、自分が覚えたい内容を自分で吹き込むのでも十分立派なコンテンツです)、継続してみてください。

音声学習により、みなさんが自身の新しい能力に気付かれることを願っています。

2005 02 22 [2.音声学習のこつ] | 固定リンク | コメント (8) | トラックバック

February 13, 2005

audibleのファイルをMP3にする方法

連休だったのでaudibleの研究をいろいろしていました。

audibleの最大のボトルネックの一つであった「.aa」という専用ファイル形式の変換にいちいちCDに焼き付けるめんどくささに悩んでいたのですが、ようやくブレークスルーを見つけました。

詳しいことはAudible to mp3というここの記事を読んでいただきたいのですが、goldwaveというソフトウェアを使うことでファイル変換が可能になります。

ただし、利用の際には以下にご注意ください。

1. シェアウェアなので55カナダドルかかります。
2. 正式サポートではありません。
3. .aaのファイルの読み込みとそれをMP3に落とすのにも、それなりの時間(数十分~数時間)はかかります。
4. Audible Managerを立ち上げておくとgoldwaveをhang upさせるので、かならず落としておくこと。

記事の中では、Audible ManagerのVersionを3.5に落とすように要求していますが、4を守る限り、今のバージョン(4.0)でも特に支障はないようです。

いろいろ制約条件は多いのですが、、CD経由よりはそれでも格段に早くMDに落とすことができるようになったので、満足しています。

これで、audibleの音質がよくなればいうことはないのですが、それはないものねだりということで。

ほんとうに、デジタル系の著作権のいい解決方法は必要ですね。

2005 02 13 [2.音声学習のこつ] | 固定リンク | コメント (4) | トラックバック

February 11, 2005

audible活用法

audible logo

今回は、audibleという、Audio Bookや雑誌の朗読版をダウンロードする専門サイトの紹介です。

これまでCDやテープのような、書店系の販売店を通じて流通しているものを中心に紹介してきましたが、ブロードバンド環境がある方はaudibleも併用すると、より多彩なコンテンツが手に入るようになります。

audibleのCD・テープなどと比べた場合のメリット、デメリットは以下の通りです。

メリット

1.ウォール・ストリー・ジャーナル、The NY Timesのような新聞、Fast Companyやハーバード・ビジネス・レビューのような雑誌類の要約版を定期的に音声で購読できる。

2.月額会員になれば、いろいろなAudio Bookを$10-$20の割安な価格で聞くことができる。

3. ちょっと古い物ですでに絶版になったカセットなどが手にはいる。

デメリット

4.聞く環境を整えるのがそれなりに面倒。容量の大きなHDDのあるPC、ブロードバンド回線は必要。ダウンロードまでに専用のプログラムやプラグインもいくつか必要。ブラウザーもIEとネットスケープのみ対応。

5.ダウンロードに短いとはいえ、それなりの時間(数分程度)がかかる。

6.著作権の関係で、Audibleのフォーマットに対応しているプレーヤーが必要。残念ながら、日本メーカー品にはほとんど対応なし。そのため、書き込み可能なCDドライブもあった方が無難。

7.特殊な分野以外は品揃えがBook系については書店系よりもやや劣り、有名なものが中心になる。

8.圧縮率が高いため、同じ作品であればCDよりも耳で聞いてわかるくらい、かなり音質が劣る。

そのため、使い方としては、ちょっと手軽に読んでみたいAudio Bookを買うとか、好きな雑誌があれば定期購読をしたり、1ヶ月分だけ買ってみるのにむいていると思います。私はWall Street JournalとかFast Companyとかを定期購読しています。

また、月額会員も$15(月1冊+雑誌一種類コース)または$20(月2冊コース)ですので、安価にAudio Bookを試してみたい方にお勧めです。Audio Bookも多くの商品は会員になった方が10-20%くらい安くなります。

もっとも、ボトルネックはやはり聞くまでのめんどくささ。CD Bookであれば、届いてパッケージを開ければそのままいつでも・どこでも聞くことができますが、Audibleからダウンロードしたものはとりあえずパソコンにはいるので、それをそのままパソコンから聞くか、CDに焼くか、対応しているMP3プレーヤーにデータを移す必要があります。

MP3プレーヤーは、私はAudible以外の用途ではほとんど使わないので、Creative MuVo MICRO N200という安いものを使っています。i-Tunesとi-Podにも対応していますので、i-Podで愛用している人も多いようです。

日本でも、このようなビジネスが早く出てくるといいのですが、オンライン化する前に、そもそものコンテンツ自体が不足しているので、まだまだ先の話になるかとは思っています。

最後に、ふだんからシリコン系のプレーヤーを使い慣れている人でしたら問題なく使いこなせると思いますが、いままでほとんどCDへの焼き付けやMP3プレーヤーを使ったことがない方にはそれなりにハードルが高いと思いますので、もし始めることを決心したら、丸半日以上は時間があるときにどうぞ!!

2005 02 11 [2.音声学習のこつ] | 固定リンク | コメント (7) | トラックバック

February 10, 2005

Blink: The Power of Thinking Without Thinking - 「瞬時の判断」の力

blink

Blink: The Power Of Thinking Without Thinking
by Malcolm Gladwell

Tipping Pointで一世を風靡した著名なジャーナリスト、Malcolm Gladwell氏の最新作のBlink(瞬時の判断)のレビューがJさんから届きました。おもしろくて一気に聞いてしまったそうで、とてもインパクトがある内容だったそうです。アメリカでもベストセラーになっています。

以下はJさんのレビューです。期待して読んでください!!

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アメリカでこの1月に出版されたばかりの本書は、人間の持つ瞬間的・直感的な判断力、英語でいうsnap judgment、 hunch、 rapid cognition、unconscious associationなどの重要さと強力さについて、非常に興味をそそられる事例を次から次へたたみかけるように紹介しながら論じたものです。

そうした「瞬時の判断」というのは、しばしば多くの情報を吟味して時間をかけた意思決定よりもはるかに優れていると、著者のMalcolm Gladwellは語ります。タイトルのBlinkは「まばたき」を意味します。先週のThe New York Timesベストセラーリストでノンフィクションの部初登場2位でした。

著者によれば本書には大きく3つの目的があります。

一つ目の目的は、瞬時の(instantaneous)自発的に(spontaneous)沸きあがってくる(bubbling up)優れた判断というものが確かに存在し、それは誰もが持っており活用できるものであるということを明らかにすること。

Gladwellの言葉では、 “thin slicing”(薄く切り取ること)と呼ばれています。事例として紹介されているのは、

例えば:

· カリフォルニアのゲティ美術館が、ある古代ギリシャの彫像(kurous)を10億円近くで購入しようとした。専門家による14ヶ月の鑑定では本物であるとの結論、しかし古代美術品の目利きの専門家たちは一目見た「瞬間」に、おかしいと感じる。よく調べると実は贋物だった。

· 前回の “How Full is Your Bucket?”でも紹介されていた、たった15分の会話の分析から将来の離婚可能性を予測したJohn Gottmanの分析。

· 大学のクラスの良し悪しを、教授のしゃべる様子を音を消したビデオで10秒、または5秒、または2秒学生に見せて、評価させる。その後数ヶ月かけた実際の学期末の学生の評価とほとんど一致していた。

· ある人の性格を把握するのに、その人の学生寮の部屋やベッドルームを30分だけ観察して判断した結果が非常に正確であった。

この部分だけで一冊の本にしてもいいくらい、とりあげらるケースは大変面白く、詳細な上に分析も鋭いのですが、Gladwellはそこで簡単に終わりません。

二つ目の目的は、しかしながら、こうした瞬時の判断は時として状況や文脈に左右されて、誤った結果を招くこともある危険性にも着目すること。

事例としては:

· 被験者に作文のクイズをしてもらう。その中に意識的に「老い」に関する単語を多く散らばらせておくと、その後部屋から出て行く被験者は歩くのが勝手にゆっくりになっている。Primingと呼ばれるそうです。

· 人は誰でも意識的(conscious)に持つ価値観と無意識(unconscious)に持つものがあり、後者は知らず知らずの連想性(implicit association)を帯びていて、瞬間的な判断はこうした連想性に影響されやすい。男性-仕事・女性-家庭であるとか、白人-善・黒人-悪など。(これについてはwww.implicit.harvard.eduで実際にテストをすることができます。Gladwell自身も何度もやって、その結果に驚きました。彼は白人のお父さんと黒人のお母さんを持つ “half black”の立場です。)

· いわゆる偏見ではない「見た目の印象」に惑わされるケース。Fortune 500のCEOは圧倒的に長身の人が多い。180センチ以上の人はアメリカ人男性全体の14%、CEOでは58%。

· いわゆるブラインドテストでペプシに惨敗したコカコーラが、ブラインドテストで万全のテイストを作って投入した新しいコカコーラが無残な失敗に終わったのはなぜか。ブラインドテストは、一口すすっただけで判断する意味でthin slicingです。

· Herman Miller社の(今では超有名な)メッシュを多用したエルゴノミックなオフィスチェアーが、テスト段階では見た目が散々な評判だったが、マネジメントが発売を強行したところ、空前のヒットになったのはなぜか。

そして三つ目の目的は、こうした瞬時の判断は、無意識のドアの後ろにあるものだが、実際のcontrolしeducateすることができ、それによって生活や世の中がもっとよくなる可能性を論じること。

そして全体のまとめのような位置づけで、ニューヨークであった悲劇、黒人Amadou Dialloがパトロール中の白人警官4人に誤って射殺された事件を詳細に取り上げ、表情の微妙な(ミリ秒単位の)変化によるmind readingやmomentary autism(瞬間的な自閉症)などを取り上げています。

本書では、この手の話題には珍しく、rapid cognitionがどのような脳のメカニズムで起こるのかなどといった科学的解説は一切ありません。またジャーナリストらしく、文献調査で終わるのではなく、実際に研究者や業界の人に会いに行き、自らも体験してみることで、文章にリアル感と迫力が出ています。

Malcolm Gladwellは、高級週刊誌The New Yorkerの専属ライターで、前作Tipping Pointで一世を風靡して以来、引っ張りだこです。一年に25回講演を行い、今や一回あたり400万円だそうです。HPなどの会社は彼にコンサルティングを頼もうといろいろ働きかけているようですが、彼自身は自分はあくまでもジャーナリストであるとの矜持を崩さないようです。

CD7枚ですが、私は話に引き込まれ、一気に聴いてしまいました。Tipping Pointの時より朗読が上手になった気がしました。彼のThe New Yorkerでの長文記事は一部のビジネススクールでの必読になっているそうです。本書のexcerpts、またThe New Yorkerの過去の記事はwww.gladwell.comで読むことができます。

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ちょうどJさんがアメリカでこのCDを聞いているときに、私がたまたま別のブログにおなじMalcolm GladwellのTipping Pointに関する記事を書いていて、Jさんはびっくりしたそうです。

私もblinkは発売直後に買っていたのですが、まだ積ん読、のままでレビューをいただくまで、封を切っていない物の一つでした。

あわてて昨日聞き始めて、まだ途中ですが、確かにTipping Pointの時にはやや聞きづらいと感じた著者の朗読の早口の癖も直っていますし、聞きながら「へぇ」「なるほど」「そうだよね」と納得の連続です。

アメリカは1990年代にこういった無意識や脳の力・仕組みの研究について国策としてものすごい労力を使って研究しており、考え方がすごく深まっています。それを上手な切り口でわかりやすくまとめてくれるMalcolm Gladwellの力には脱帽ですし、繰り返し聞いてみようと思っています。

(参考-これまでのJさんのレビュー)

How Full is Your Bucket?
Execution: The Discipline of Getting Done
Spontaneous Fulfillment of Desire
What Should I Do with My Life?
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The Power of Full Engagement

2005 02 10 [3.英語-Audio Bookのお勧め] | 固定リンク | コメント (4) | トラックバック

February 06, 2005

Present - 「チーズはどこへ消えた」の作者が送る寓話

The Present

The Present: The Gift That Makes You Happy and Successful at Work and in Life

チーズはどこへ消えたで有名な、スペンサー・ジョンソンの寓話のCDです。

チーズと同じで、「プレゼント」が何なのかはここでは種明かしをしないことをします。

CDも1枚組、ボキャブラリーも比較的平易で、値段も1,000円しませんので、ヒアリング力をつけたい初心者の方にお勧めします。

この「プレゼント」考え方は、スペンサー・ジョンソンの別の作品である1分間マネジャーで初めて知ったときには感動しました。

ちょっとだけヒントをだしますと、Power of Nowと考え方はほとんど同じです。

プレゼント、と日本語で言ってしまうと贈り物、ですが、英語でPresentの別の意味は・・・と考えると、なんとなくわかると思います。

このCDの中では、知恵ある老人がある若者に、幼少期からこの考え方を少しずつ教えて、若者が何か壁に当たるたびに考え、老人と会話をして新しい考え方を身につけていく、という流れになっています。

日々、「Present」に悩んでしまう私たちですが、「Past」「Future」という考え方と、いま「Present」に何を感じ、何を見つけなければならないかと言うことに優しく、柔らかな気づきを与えてくれるCDです。

「チーズはどこへ消えた」に感動した方でしたら、きっとこちらの本でもおもしろい発見があると思います。

2005 02 06 [3.英語-Audio Bookのお勧め] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

February 03, 2005

How Full is Your Bucket? あなたの心のバケツの満たし方 ~ アメリカのJさんのお勧め第6回

package

How Full is Your Bucket?: Positive Strategies for Work and Life
by Tom Rath and Don Clifton

いつも大好評のアメリカ在住のJさんのお勧めですが、新しいものが届きました。今回は少し軽めのものということですが、How Full is Your Bucket?、日本語にすると「あなたの心のバケツの満たし方」というところでしょうか。

内容を一言で表すと、positive psychologyやstrength psychology、すなわち「ポジティブシンキングの心理学」に関するもの、邦訳未発売です。共著者のDon Cliftonは邦訳があるものだとさあ、才能(じぶん)に目覚めようも著しています。

過度なポジティブシンキングは現実逃避になりますが、適度なpositive psychologyやstrength psychologyはとても心身の健康によいということをいろいろな調査でわかりやすく教えてくれます。

以下はJさんからいただいた内容です。

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「5対1の魔法の比率」-1970年代、John Gattmanというアメリカの心理学者が、結婚して間もない夫婦700組以上について、2人の間の会話を15分だけ観察し、そのビデオテープを詳細に分析して会話の中のやり取りをpositiveとnegativeに分類し、その比率をとりました。

そしてnegative1に対しpositive5以上であるかを基準にして、将来の離婚の予測を立てました。その10年後に追跡調査をしたところ、予測は何と94%の正確さで当たっていました。

有名な研究結果だそうですが、本書は日常生活におけるpositive emotionsの重要性について書かれたものです。短く(CD2枚)文章も平易です。著者はpositive psychologyやstrength psychologyといわれる分野の第一人者であるDon Cliftonと、彼の孫にあたるTom Rathです。朗読はすべてTom Rathが行っています。

Don Cliftonがこの分野を追求しようとしたきっかけは、朝鮮戦争で捕虜(POW)に取られたアメリカ兵は、北朝鮮側から身体的な扱いはそこそこであったものの、精神面でのpositiveさをとことん奪われたことで死亡率が群を抜いて高まったという研究結果でした。

そこでCliftonは、もし徹底したnegativityが人を殺すまでの(negativity kills)強力な力を持っているならば、逆にpositivityをとことん極めると、ものすごくいいことがあるのではないかとの問題意識を持ち、その後の50年の人生をかけて研究を続けたそうです。

学校の指導でも、職場での業績評価でも、人間はとかくnegativeな側面や欠点に注目しがちである。通信簿があれば、アメリカの親は例えば子供の通信簿の英語のAを喜んで励ますのではなく、数学のFをとことん言い立て、個性を尊重するよりもバランスよく皆と同じようになることを望む。

職場ではうまくいったことよりも “areas of improvement”などの名目で欠点の克服ばかり言い立てる、と指摘します。

(余談ながら、アメリカは日本に比べて「ほめて伸ばす」教育だと一般に言われていますが、在米年数が長くなり、自分の子供が学校へ行くようになって、この著者たちが述べるように必ずしもそんなことはないな、と私も薄々感じ始めていました。)

そうではなくて、もっとpositiveに、他人に親切に心のこもったほめ言葉(praiseとrecognition)を短くてもいいからもっと頻繁にかける、そうすれば日常生活は会社も学校も家庭ももっと生産的で健康的なものになる、そしてそれはさまざまな調査で証明されている、というのが本書の趣旨です。

それは単に気持ちいいというだけでなく、ビジネスとしての業績向上が確実に達成できると断言しています。「Positiveであれ」とのメッセージ自体はいろいろな本に書かれている極めて当たり前のことですが、「バケツ」の比喩がとてもうまく生きていて、印象に残るcompellingな1冊です。

Every moment counts -私たちは生活のいろいろな局面で他人とのやり取りの“moments”が発生し、それらはneutralということはまずなく、必ずpositiveまたnegativeな経験になります。そして私たちひとりひとりの心の中にバケツがあります。

-Positiveな経験をすると、バケツに水がたまってきます。
-Negativeだとバケツから水が漏れ出て行きます。

バケツが空だと気持ちが荒みます。充実した生活を送るためには、このバケツを常に満たしてあふれるようにすること、そしてその一番の方法は、他人のバケツに水を注いで上げることでそれが自分のバケツを満たすということだ、と著者たちは論じます。

本書の中でいろいろな調査結果がたびたび引用されます。

例えば
「positiveな人はnegativeな人より平均寿命が10年長い(対して喫煙による寿命の差は5-7年)」、
「optimisticな人は年に一度医者にかかるかどうか、対してpessimisticな人は平均3.5回以上かかる」、
「optimisticな人は風邪の治りが早い」、
「職場でのnegative emotionsのコストはアメリカに限っても生産性の低下など年間で3500億ドル、付随して起こる健康問題による医療費も含めると保守的に見ても1兆ドル、これはアメリカのGNPの10%に相当」

など。

さらに、いろいろな“bucket filling”や“bucket dipping”の具体例が紹介されます。その中にはTom Rath自身の幼少時からの経験や祖父Don Cliftonへの感謝の手紙も紹介されます。そして最後の方に実践的な5つのstrategiesが紹介されます。

1.バケツの水漏れを防ぐよう気をつける;
2.正しいことwhat is rightに光を当てる;
3.親友を持つ、できれば職場に;
4.予想もしないやり方で行なう(give unexpectedly);
5.例の「自分が他人にしてもらいたいこと」でなく、相手が本当にしてもらいたい形で感謝を表す。

このCDにはすばらしいおまけがついていて、それはwww.bucketbook.comでのStrengthFinderという、自分の本当のstrengthを知るためのテストを無料で受けられる個別のコードが書いてある名刺大のカードがケースの中に入っているのです。著者からのbucket fillingのためのプレゼントだそうです。

孫のほうのTom Rathは、若いときから癌を何度も体内に発見しつつも、周りの家族・友人からバケツにたくさん水を注いでもらったおかげで、現在まで元気でいるといいます。実はおじいさんのDon Cliftonも末期がんに襲われ、本書を人生最後の著作にしようとの気合いで作業を始めました。彼は本書の第一ドラフト完成の1週間前、2003年9月に亡くなりました。それで朗読はTom Rath一人で行なわれたのです。

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ちなみに、おまけで付いているStrengthFinderはとてもおもしろいもので、これだけでもこのCD代1,800円の価値があると思います。

私はさあ、才能(じぶん)に目覚めようの付録として受けましたが、おもしろいので周りにもたくさん勧めました。

これは、34の強みの中から、自分が何を強みと感じて価値観を持っているか、ということを5つ選んでくれるものです。私は自分にあって、周りにあまりなかったもので「Inpu(収集心)=好奇心が強い知りたがり屋」「Ideation(着想)=できごとをうまく説明できる見方」があり、笑ってしまいました。

このCDを聞いて、自分のバケツや周りのバケツにPositiveを注ぎ込みたいと思います。ちなみに、このバケツに水を注ぐ、という考え方は幸せの心理学という書籍の中にあるストロークという概念にとても近いと思います。

ブログもバケツを互いに注ぎ合う道具なのかもしれません。Jさん、いつもありがとうございます。

(参考-これまでのJさんのレビュー)

Execution: The Discipline of Getting Done
Spontaneous Fulfillment of Desire
What Should I Do with My Life?
Re-Imagine!
The Power of Full Engagement

2005 02 03 [3.英語-Audio Bookのお勧め] | 固定リンク | コメント (4) | トラックバック

February 01, 2005

Memory Optimizer - 「覚える」ということについての考え方を変えてみる

Memory Optimizer

Memory Optimizer by Vera F.Birkenbihl with Paul R. Scheele

今回は「Memory Optimizer」、すなわち、「記憶を最適化」するセミナーCDの紹介です。

Memory Optimizerはフォト・リーディングを開発したPaul R. Scheeleが運営しているLearning Strategies Corporationで売っているものです。

Learning Strategies CorporationではPhoto ReadingやこのMemory Optimizer、さらにはMillion Dollar VocabulalryやParaliminal Learningなど、これでもか、これでもかといったラインナップで無意識などを活用した最新の学習方法を紹介していますが、Memory OptimizerはPhoto Readingの次くらいに大きく宣伝していたので、試しに買ってみました。

これは人の名前が覚えられない、出かけたときに忘れ物に気付いて取りに帰る羽目になった、えっとあのそのあれなんだけれども、など少し前には思い出せたものが思い出せなくなる、などについての処方箋として紹介されているものです。

忘れ物をしては年中家に取りに帰り、同じ人の名前を平気で何回も聞いてしまう私にはぴったりと思って注文しました。きっと、同じような悩みを持っている人は多いと思います。

さて効果のほどはどうか。

感想としては、$230+送料の値段なりの効果はあったと思います。なぜなら、言われると当たり前のことなのですが、ここまで整理して、しかもCD11枚もかけてしつこく、わかりやすく記憶の仕組みとそれを向上するテクニックを説明してもらったことはありませんでした。

それでは、具体的な内容を説明します。

頼んでから3週間、ようやく届いたパッケージを開けると、赤い薄いテキストとCDが11枚組。講習自体は9枚組、残りの2枚はトレーニングCDとパラリミナルCDです。とりあえず、全部聞きました。全部聞くだけでも1週間かかってしまいましたが、講演形式のセミナーではなく、セミナーの先生と生徒との会話という形で進んでいきますので、比較的平易に聞いていくことができました。

このCDは「Piggy Bank Time」、つまり隙間時間等にちょこまかと聞いて、大事な時間は一切使わないでくれ、というのがコンセプトです。また、この「Piggy Bank Time」はMemory Optimizerの大事なコンセプトの一つでもあります。

そして、出張中にコツコツと1週間聞いた中で、なるほど、と思ったことは例えば、以下の点です。

1.メモリーとは静的なものではなく動的なものである。したがって、覚える・思い出す、というよりも
-要素を正しく構成して頭の中にMemory Webを作り
-そのMemory Webから再び構築をし直すこと
が私たちが言っている思い出す、というプロセスである。

2.従って、正しく頭に入っていないものは、その後活用できるわけはない。また、頭に入れても数十年使わないものはそのまま再構築できなくなって当たり前である。

3.メモリーとはその人が経験してきたものであり、人格を形成する大事なものである。多くのことをメモリーに入れること、例えばフィクションをたくさん読んで・見て他人の経験を自分のメモリーに入れることは自分の人生も考え方もリッチにする。

4.The Anchorman List(ABC順に自分の知っていることを整理したリスト)などを活用することで、考え方も深めることができるし、自分のMemory Webから意識層に記憶を出すのが早くなる。

5.自分が興味がない分野や苦手な分野のLearningには、徹底的に「Piggy Bank Time」を使うべし。例えば、テレビのちょっとしたコマーシャルの間にちょこまかとビデオを見たり、聴いたりするだけでいい。これで、飛躍的にMemory Webの質が高まる。

このほかにもいろいろなるほど、があったのですが、詳しくはぜひ、CDを直接聞いてみてください。

とはいえ、この手のノウハウものは実行しないと全く意味がないので、とりあえず、私も自分の日常の持ち物のThe Anchorman Listを作ってみました。思ったよりも楽しい作業で、確かにこのリストを覚えていれば、「あ、サイフ忘れた」「あ、システム手帳忘れた」などと家に帰ることは格段に減りそうです。

もっとも、このCDでも繰り返し言っていましたが、「学習には平原状態(Plateu)を超えて、突然大きく飛躍するので、Plateuの状態を好きになりなさい」ということなので、すぐに効果を得ると言うよりは、Photo Readingと同じで、「学習に対する心構え」を教えてくれるCDだと思うとわかりやすいかもしれません。

Photo Readingに興味を持たれた方でしたら、セットで考えるとおもしろいアイデアですので、一度聴いてみることをお勧めします。

2005 02 01 [4.英語-講演のお勧め] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック